「ちょっ、と…。は、なし…て」
「…………」
エステル。
森。
二人の今の体勢は、森がエステルに跨ってエステルの首を絞めた状態である。
もちろんこんなことしたらいくら中学生の握力とはいえ人は死ぬだろう。
そう。
森はエステルを殺そうとしている。
理由なんか無い。
ただ、もう、何も考えたくなかったから。
植木は死んだ。
佐野は死んだ。
鬼塚は死んだ。
大切な人は皆、死んだ。
それは、どんどん、着々と、彼女の精神を蝕んでいった。
しかしそれにしたって、エステルは森を力づくでもどかせないほどヤワじゃない。
しかしそれでも彼女をどかせない。
これが意味するのは、
エステルも同じ様に、気が滅入っている。
いや気が逝っている。
目の前で大事な仲間が死んだ。
自分の無力さのせいで。
自分の弱さのせいで。
遊撃士としての誇りがズタズタになったのだ。
守ると言ったのに守れなかった。
A級遊撃士としての意地も、
剣聖の娘としても誇りも、
1人の戦士としての強さも、
全てが一瞬で
消え去った。
葬られた。
滅せられた。
破られた。
無くなった。
壊された。
彼女の全てが否定された気分だった。
そしてエステルは、そのまま死んだ。
◇
「…」
背後にはモンスター。
森。
動かない。
動こうともしない。
その行動に何の生産性は無い。
ただ死をも待つだけ。
そしてその期待に答えるかのごとく、モンスターは森に攻撃を加えた。
一瞬。
一瞬にして、彼女は死んだ。
【エステル・ブライト@空の軌跡:ログアウト(死亡)】
【森あい@うえきの法則:ログアウト(死亡)】
最終更新:2011年05月16日 19:01