守りたい、守られてる

8話 守りたい、守られてる



言っておこう。
この物語は決していい終わり方ではない。
それでも君は、


この現実を受け入れることはできるか?


○ ○ ○ ○ ○


「……」

葛西英明(かさい ひであき)は手に刀を持ち立っていた。
この刀は妖刀「花菱」である。
この刀とともに紙が入っていて説明が書いてあった。

「この刀を抜けば、自分ではなくなる。ただし、何か一つ願いが叶う」

自分の願い、それは何なのだろう。
生き残る?違う。
永遠の命?そんな物でもない。
俺の願いはただ一つ。

西山恵梨香を守る事だ。

○ ○ ○ ○ ○

話は遡り、二人が小学生だった頃。
学校のアイドル的存在の幼馴染であった彼は、彼女と話せていたわけではなかった。

一方の葛西は?
顔も悪くはないがよくはない。
運動神経もそこまでよくなかった。
喧嘩でもあまり勝てない。
そんな、「ド」が付くような普通の人間だった。

そんな時に、ある事件が起きた。


彼女が、高校生たちに誘拐されたのだ。


学校で一番強かった男は脅え動かず、誰も助けに行こうとしなかった。
その中唯一助けに行ったのが、葛西英明である。
しかし、何人もの高校生を前に勝てるはずもなく、多くの傷を負った。
病院を出たのがその2年後。
しかしそのころには、彼女の姿はなかったのであった。

以上、説明終了

○ ○ ○ ○ ○

そして、自分が彼女に再開したのは去年だった。
しかし、彼女は自分の事など一切覚えてなかった、仕方のない事ではあるが。

「守りたい人がいる…そのために…力を貸せ!」

刀を抜いた、その瞬間彼は死を迎えたのである。
自分という精神の死を。


「何やってんだよ…お前」

久世竜二(ひさせ りゅうじ)は葛西の前に立つ。
彼も刀、九五式軍刀を左手に持っていた。

「……マモル」
「え…?」
「オレガマモッテヤラナキャ」
「う、うおっ!」

刀と刀が交差する。
久世はなんとか受け止める事が出来た。
葛西の動きはもはや人間と言えなく、受け止めるので精いっぱいだ。
右から薙ぎ払うように見せかけ、無理やりに上から叩き斬るように変えたり、普通の人間では出来ない動きばかりだった。

「くそっ……こうなったら!」

久世はポケットから楕円状の物を取り出し、ピンを抜き下に叩きつけた。
そこから、灰色の気体が出てくる。
葛西の視界は遮られ、曇りが無くなったころには久世はなくなっていた。

「……」

追いかけるのをあきらめ、葛西は北に向かった。
その北には、自分を犠牲にするほど大事な人がいるのであった。

【一日目/朝/C-4総合公園】
【葛西英明】
[状態]妖刀による人形状態
[装備]妖刀「花菱」
[所持品]基本支給品
[思考・行動]
基本:守る。
1:殺す。
2:北に行く。
[備考]
※自我は完全に崩壊しました。

○ ○ ○ ○ ○

「はぁ…はぁ…」

久世竜二は家の形を模した遊具の下に隠れていた。
向こうはどこかに行ってしまったため、安心する。

「もうすこし…ここにいよう」

【一日目/朝/C-4総合公園】
【久世竜二】
[状態]健康
[装備]九五式軍刀
[所持品]基本支給品、スモーク手榴弾
[思考・行動]
基本:この殺し合いを止めたい。
1:しばらく隠れる。

【オリキャラ紹介】
【葛西英明】
22歳:男:顔に傷が残って、強面
西山恵梨香の幼馴染。
昔怪我を負い、病院から出た時には彼女はいなかった。
去年から彼女のマネージャーをしているが、彼女は自分の正体を知らない。

【久世竜二】
16歳:男:七三分けの髪型
刀の使い方の心得がある。
高校生だが、留年して違う高校に入学した。

男三人、三人旅~いきなり完結編~ 目次順 取られる苦しみと、取る悦び

START 葛西英明 剣に吸われし赤き液体
START 久世竜二 これは非常事態ですか? いいえ、案外そうでもありません

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最終更新:2011年05月27日 22:04
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