注文の無いレストラン

9話 注文の無いレストラン

単純に理不尽だと、赤と白の毛皮を持った雌の人狼、コンスタンツェは思った。
ここは海辺に建てられたホテルの一階にあるレストラン。
それなりにお洒落な内装だがやや古びている感が否めない。

椅子に座り、デイパックの中身を確認する。

「銃剣……かぁ」

基本支給品に混じり出てきた物は三十年式銃剣。しかし状態は余り良く無く、刃毀れや錆が多い。
下手に振り回すと、簡単に折れそうな代物だ。

「無いよりマシ、って感じかな」

しかし貴重な武器である事には代わりは無く、コンスタンツェはそれを装備した。

「殺し合い…馬鹿げた事を考える奴もいたもんね…」

コンスタンツェ自身は殺し合いに乗る気など毛頭無かった。
しかし名簿に乗っていた参加者は自分を入れ全部で30人もいる。
少なからず殺し合いに乗る者も現れるだろう。この殺し合いに知人は一人も呼ばれておらず、
誰がどんな人物なのか全く知らないのだ。

「殺し合いなんかする気はないけれど」

三十年式銃剣の刀身を見詰めながら、やや低い声でコンスタンツェが言う。

「襲われたりしたら、容赦しない…」


単純に怖いと、黒い学生服に身を包んだ人間の少年、色部義徳は思った。
ここはここは海辺に建てられたホテルの一階のフロント。
綺麗に掃除はされているがどこか古めかしさを感じる佇まいだ。このホテル自体が古いのだろう。

ソファーに座り、支給品を確認する。

「うお…拳銃…エアガンじゃねーよな…本物…だよな」

基本支給品に混じり出てきた物は自動拳銃グロック 20。
高威力の10㎜オート弾を使用する拳銃である。予備のマガジンも3個入っていた。

「殺し合いなんて…何でんな事やんなきゃいけねーんだ…ふざけやがって」

殺し合いをする勇気など自分には無い。義徳は頭を抱える。
学校で仲間とつるんで、教師や気の弱いクラスメイトをいじめたりしている程度のちょい不良少年にとって、
常に命の危険がある、本物の殺し合いなど耐えられるものでは無い。
おまけに名簿を見る限りでは自分の知り合いは一人もおらず全て赤の他人。
信用できる者が皆無と言うのも義徳の不安を更に煽った。

「…殺し合いは、したくねぇ、けど……」
「ねぇ、そこの君」
「うああ!?」
「ちょ、そんなに驚かなくたって良いでしょ」

突然死角から声を掛けられ、義徳は身体を跳ね上げさせる程驚いた。
声のした方向には赤白毛皮の雌の人狼がいた。
グロック 20を構え警戒する義徳。

「と、止まれ!」
「ちょっと、そんな物騒な物向けないでよ、私は戦う気なんか無いからさ」
「……本当かよ」
「本当よー」
「…俺も、殺し合いは、する気は無いけれど…」
「そう? じゃあさ、私と一緒に行動して、この殺し合い潰さない?」
「え…?」

人狼からの申し出に義徳はやや呆気に取られる。

「…本気で言ってんのかあんた、爆弾付きの首輪はめられてんだぞ。あの荒神とか言う奴に、
命握られてんだぞ。どうしろってんだよ」
「…そうね…でも、だからって、得体の知れない奴の言いなりになるのもおかしくない?」
「……」
「私とあなた以外にも、殺し合いする気の無い人がいると思うの、だから、そういう人仲間にしていって、
全員で考えれば…何とか、なるんじゃないかな、と思うんだけど…」
「……」

良く考えているのか、楽観的なのか良く分からない。義徳はそう思った。
しかし、これから先単独行動するのはとても嫌だったため、申し出を断る気にもなれず。

「分かった…俺は、色部義徳、よろしく」
「ありがと。私はコンスタンツェ。よろしくね」
「え? コン、何?」
「コンスタンツェ」
「ああ…分かった。よろしくコンスタンツェ」

雌人狼と少年は共に行動する事になった。



【早朝/A-6ホテル一階フロント】
【コンスタンツェ】
[状態]健康
[装備]三十年式銃剣
[道具]基本支給品一式
[思考]
1:殺し合いはしない。同じ考えの参加者を集めて殺し合いから脱出したい。
2:義徳君と行動。
3:襲撃者には容赦しないつもり。
[備考]
※特に無し。

【色部義徳】
[状態]健康
[装備]グロック 20(15/15)
[道具]基本支給品一式、グロック 20予備マガジン(3)
[思考]
1:殺し合いはしたくない。死にたくない。
2:コンスタンツェと行動。
[備考]
※特に無し。


≪キャラ紹介≫
【コンスタンツェ』 24歳/♀/人狼/職業不明/RPGファンタジー風国家出身
赤と白の毛皮を持った雌の人狼。爆乳だが本人は動き辛いと思っている。
さばさばした性格。交尾経験は豊富だが淫乱と言う訳では無い。

【色部義徳(いろべ よしのり)】 15歳/男/人間/中学三年/現代日本風国家出身
普通の不良中学生。教師イジメやカツアゲなどを行っている。
しかし所詮仲間とつるんでなければただの臆病なDQNである。運動能力は高い。


眺めの良い場所で食う飯はきっと美味い 目次順 この道が正解だとは限らないから

GAME START コンスタンツェ 壊れたリズムで踊らされ
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最終更新:2011年05月26日 19:03
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