喜びも悲しみも虚しいだけ

3話 喜びも悲しみも虚しいだけ

紫色の髪の女性、桜井華弥は住宅地の道路を、
支給されたコンバットナイフを持って歩いていた。
デイパックの中にはもう一つのランダム支給品である文鎮――書道の時に紙を押さえるのに使うあれ――
も入っている。ナイフは分かるがなぜ文鎮を支給したのかは分からない。

「……!」

前方の曲がり角から、黒と白の毛皮を持った竜が現れる。
華弥は近くに停めてあった車の陰に隠れ、様子を窺う。
竜の方は華弥に気付く様子は無く背を向けて奥の通りを歩き始めた。
その無防備な背中に、華弥は静かに、しかし素早く突進した。

「ん? あ!?」

竜――ヴィンフリートが気付いた時には遅かった。

ザクッ!

「ぎゃあああぁあああ!?」

背中に深々とコンバットナイフの刃が突き刺さりヴィンフリートは悲鳴を上げる。

「痛っ…何をするんだ!」
「うるさい、早く死んでよ!」

華弥は一回コンバットナイフを引き抜く。黒い刀身に赤い液体がぬめりと付着する。
傷口から血液が流れ落ちアスファルトに赤い斑点模様が出来た。

「ぐっ…やめろ!!」
「うあっ」

背中の激痛に耐えながら、ヴィンフリートは長くしなやかな尻尾を思い切り薙ぎ払い、
華弥を弾き飛ばした。

ガンッ!

華弥は激しく塀に叩き付けられ、塀にヒビが入る。
そしてズルズルと地面に崩れ落ちた。

「あ…ご、ごめん、大丈夫?」

我に返ったヴィンフリートが身動きしない女性に駆け寄る。

「う…うう」
「あ、良かった、生きてる……」

気を失ってはいるが華弥の息はまだあった。
殺し合いに乗っているようだが命まで奪いたくは無い。殺され掛けたが。
竜種である彼にとっては背中の刺し傷はまだ致命傷では無かった。
華弥が持っていたコンバットナイフを自分のデイパックに突っ込み、気絶した彼女を抱き抱える。
放っておく訳にもいかない。

「どこかの家で寝かせるか……」

ヴィンフリートは適当な民家の中で華弥を横にさせる事にした。


【早朝/D-3住宅街】
【桜井華弥】
[状態]全身打撲(軽度)、気絶
[装備]無し
[道具]無し
[思考]
1:生き残るために殺し合いに乗る。
2:(気絶中)
[備考]
※特に無し。

【ヴィンフリート】
[状態]背中に刺し傷(命に別条無し)
[装備]???
[道具]基本支給品一式、???(1~2)、コンバットナイフ、桜井華弥のデイパック(基本支給品一式、文鎮)
[思考]
1:殺し合いからの脱出を目指す。
2:人間の女性(桜井華弥)を保護。意識を取り戻したら説得してみる。
[備考]
※特に無し。


≪キャラ紹介≫
【桜井華弥(さくらい かや)】 20歳/女/人間/OL/現代日本風国家出身
紫色のロングヘアの美女。普通のOLとして働いている。合コンや買物好き。
そして獣姦好き。家で飼っているシェパード犬二匹と夜の運動会を毎日開いている。
普通にさばさばした性格。

【ヴィンフリート】 19歳/♂/竜/職業不明/RPGファンタジー風世界出身
黒と白の毛皮を持つ竜人体型の竜。自分の尻尾を使って前立腺自慰をするのが趣味。
温厚だが酒を飲むととてもエロくなる。


海は広いな大きいな 目次順 磨り減る精神

GAME START 桜井華弥 酒は飲んでも飲まれるな
GAME START ヴィンフリート 酒は飲んでも飲まれるな

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最終更新:2011年05月24日 21:38
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