0話 殺戮及び欲望遊戯開始の刻
「おいお前ら、えーと、全部で30人か。お前らをここにお前らを集めたのは俺だ。
まあ待て! 分かるよ! いきなり集められて困惑したり憤慨したりすんのは。でも今は俺の話を聞いて欲しい。うん」
薄暗い大広間。ステージの上で広間にいる大勢の人々に向かって演説するのは頭に包帯を巻いた若い男。
「俺は荒神健児。それでな…今日お前らに集まって貰ったのは――――」
「殺 し 合 い を し て 貰 う た め だ」
荒神健児と名乗った男の一言にざわついていた人々が沈黙する。
「これからお前らには、殺し合い――バトルロワイアルをして貰う。
最後の一人になるまでだ。最後に生き残った一人を元の世界に帰してやるよ。
……まあでも、いきなり、殺し合えなんて言われてもピンと来ないと思ってなぁ……はい、持ってきて!」
人々が抗議や罵声を発する中、それを無視して荒神がステージの袖の方に向かって何か命令する。
すると赤いブレザーを着た黒髪少女と、黒と赤の毛皮の人狼の青年が、
台車に乗ったマネキンを持ってきた。
荒神はズボンのポケットから小さなリモコンを取り出し、
それをマネキンの首に向けた。マネキンの首には金属製の黒い首輪がはめられている。
「おいお前ら! 自分達の首に首輪がはまってんだろ?
それなあ、無理に外そうとしたり、逃げようとしたり、ゲーム潰そうとしたりとかすると爆発するからな」
爆発する――その言葉を聞いた途端、首輪を触れていた何人かが一斉に手を下ろした。
そんな人々の反応を見て満足気に笑う荒神。
「ゲーム開始記念の花火と行こうかぁ」
そしてリモコンのスイッチを押す。
ピィーーーーー。
バァン!!
短い電子音の後にマネキンの首輪は爆発し、マネキンの首が飛んだ。
意外にも、それを見ていた人々から悲鳴は上がらない。
余りの出来事に、悲鳴を上げる事も出来ず絶句していると言った様子だ。
しかし首輪の威力と恐怖は全員が思い知った。
怯えている者ばかりでは無く、荒神に向かって嫌悪、怒りの表情を向けている者も多い。
「とまあ、こうなるから。はい、片付けて」
荒神の命通りに、少女と人狼がマネキンと残骸を片付ける。
その後、荒神は殺し合いの詳しいルールを説明した。
◆◆◆
【基本ルール】
参加者全員で最後の一人になるまで殺し合って貰う。
最後まで生き残った一人が優勝者となり元の自分の世界へ帰る事が出来る。
参加者の間のやり取りに反則は無くゲーム会場の施設の利用も自由。
ゲームの確実な進行の為、参加者全員に特殊金属製の首輪を装着する。
首輪は無理に外そうとしたり、立入禁止エリアに進入したり、
主催者に刃向かったり(ゲーム進行に大幅な支障を来す恐れがあると判断された場合)
すると爆発する仕掛けになっている。首輪を爆破された参加者は死亡する。例外無し。
ゲーム開始の際、支給品の入った肩提げ式のデイパックを参加者に渡す。
デイパックは四次元構造で、参加者(死体含む)、明らかに規格外の物以外は、
何でも入れる事が出来重量も変わらない。
基本支給品一式として最初から入っている物は以下の通り。
■ルール小冊子
■地図
■名簿(男女別五十音順、顔写真付)
■コンパス
■懐中電灯
■懐中時計
■メモ帳と鉛筆
■水と食糧
■武器などのランダム支給品(1~2個)
0:00、4:00、8:00、12:00、16:00、20:00に主催者からの放送が行われる。
内容は死者と禁止エリアの発表。放送から一時間後に指定のエリアが禁止エリアになる。
また、地図の外や上空100メートル以上も禁止エリア扱いとなっており、侵入すると首輪が作動する。
12時間新たな死者が出なかった場合、その時点での生存者全員の首輪を爆破する。
つまり優勝者無し(ゲームオーバー)となる。 また、参加者が全員死亡しても同様。
魔法や特殊能力の類は威力、効果を大幅減少。
ゲームを破綻しかねないものは使用不可能とする。
【時間帯表記】 ※早朝開始
早朝:4~6 朝:6~8 午前:8~10 昼:10~12 日中:12~14 午後:14~16
夕方:16~18 夜:18~20 夜中:20~22 真夜中:22~24 深夜:0~2 黎明:2~4
【マップ】
|
01 |
02 |
03 |
04 |
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06 |
07 |
A |
海 |
海 |
森 |
崖 |
崖 |
ホ |
海 |
B |
海 |
豪 |
森 |
店 |
森 |
平 |
公 |
C |
森 |
森 |
家 |
店 |
家 |
家 |
港 |
D |
森 |
家 |
家 |
学 |
家 |
交 |
港 |
E |
平 |
病 |
家 |
家 |
平 |
畑 |
灯 |
F |
海 |
平 |
平 |
教 |
田 |
田 |
海 |
G |
海 |
海 |
展 |
森 |
森 |
海 |
海 |
海・・・普通の海
森・・・森林地帯
崖・・・断崖絶壁
ホ・・・ホテル
豪・・・豪邸
店・・・店舗が建ち並ぶ区画。商店街
公・・・海浜公園
家・・・民家が建ち並ぶ区画。住宅街
港・・・港湾区画
学・・・木造校舎の小中学校
交・・・交番
平・・・平原地帯、草原や道路等
病・・・小規模の病院
畑・・・畑地帯。農家点在
田・・・田圃地帯。農家点在
灯・・・灯台
教・・・教会
展・・・展望台
◆◆◆
「……分かったかな? まあ分からない事はルール冊子見てくれれば大丈夫だと思うから」
ルールの説明が終わる。しかしいまいち理解し切れない者が多いようだった。
「……それじゃあ、殺し合いスタートと行こうか! 頑張って殺し合ってくれよ」
荒神の笑い声と共に、まばゆい光が人々――殺し合いの参加者達を包み、
次の瞬間には、人々は広間から消え失せ、荒神のみが残っていた。
荒神健児――◆ymCx/I3enUは、再び自分の大好物の催し物が開けた事に上機嫌だ。
「始まった始まった……きっと今回もエロくてグロ~な事になんだろうな。楽しみだ。
……黒牙に弓那、手伝って貰うから宜しく」
「ああ。分かった」
「うん」
【ゲーム開始:残り30人】
最終更新:2011年05月29日 19:59