時間的にまだ放送前の時間である。
ここはネットスラム。
2人分の人影がある。
「あなたでしたか。主催者は」
「ああ。そうだよ。実に久しぶりだな《――――》」
「それほどでも。しかし何故このようなことを」
「そういえば《――――》はこの世界で『ヘルバ』というハッカーをやっていたな」
「ええそうですね。僕はこの世界では『ヘルバ』というキャラを演じています」
「そういえばお前は男だろう。何故女PC何だ?」
「いえいえ。女ハッカーって格好よさそうじゃないですか」
「フッ。あの時と同じようなことをやっているのか」
「ええそうです。今はこのゲームの参加者であるカイトとも中々仲良くやっておりますので
できればこういうことは控えて頂きたいと思うのですが。《――――》」
「そうだな。でも始めてしまったものは仕方が無いだろう。どうせだから最後まで僕は続ける」
「…。まぁOKをもらえるとは思っていませんでしたが」
「では続けさせてもらおうか」
「しかしアウラを何故攻撃しているのです?」
「彼女は僕のこのゲームに手を加えようとするからね。撃退するほかなかろう」
「それならばさっさと済ませてしまえばよろしいのでは?」
「いや、先ほどからその様にしているのだが。彼女は賢いな。僕が作ろうとしても
半年は少なくてもかかるだろうな。実にすばらしいAIもあったものだな」
「…そうでしょうね。伊達に『究極のAI』を名乗っていませんよ」
「ふむ。『究極のAI』か。中々的を射た表現だ。
しかしさっきその『究極』のおかげで、確か戦場ヶ原という女を潰してしまった」
「なるほど。先ほどからうろうろしているスケィスは《――――》が操っていたんですか」
「そうだ。といってもあれはただの復元(コピー)だがな。
それほど強い力はもっていない。所詮少しLVの高いモンスター程度といったとこか」
「それで最初の質問に戻りますが、何故このようなことを」
「本当に分からないか?」
「…。なんとなくは分かっていますよ。しかしですね――――」
ピッー!ピー!ピッー!
「おや。そろそろ時間のようだから一回解散だ」
「……そうですか」
「しかしお前は相変わらず僕たちにしては常識的で善良だな。そういうところが好きなんだがな」
「それはどうも。ありがたきお言葉、誠に感謝しております」
「ではさらばだ《――――》」
「ええ。ではまた《――――》」
ほぼ同時にここから2つの人影は消えた。
最終更新:2011年05月06日 00:28