生きてる喜びと痛みを


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34:生きてる喜びと痛みを

行為を終えた尾上誠人はそそくさと服を着る。
一通り終えた後はすっかり恥ずかしくなりミリアの顔がまともに見られない。
ミリアはその辺に落ちていた手拭いで秘部を拭く。

「一杯出したね……気持ち良かったでしょ?」
「……///」
「あんだけ激しくヤっておいて、今更恥ずかしい何て無いでしょ?www」
「い、いや……」

そうは言われても何故か恥ずかしくなってしまうと言うもの。
ミリアはそんなコヨーテ獣人少年を可愛いと思いつつ、後始末を続ける。



誠人とミリアに触発されたのか隣の部屋にいる狐獣人の男布施信昭とと狐耳の少女吉良一葉も行為をした。
そして、互いに服を着始める。

「……すみませーん、誰かいますか?」
「誰?」
「女の子の声ですね」

玄関の方から突然少女の声が響く。

「俺が見てくる。一葉ちゃんはここで待って…あ、出来れば二人の様子見てきてくれる?」
「は、はい」

信昭がマニューリンMR73回転式拳銃を携え玄関に向かった。
一葉は信昭の事を心配しつつも、隣の部屋にいる誠人とミリアに事の次第を伝えに言った。

信昭が玄関先で見たものは、全裸の美少女だった。

「ど、どうした…?」

いくら変態だらけの殺し合いとは言えこうも堂々と全裸で出歩く少女がいるのだろうか。
だが現実に目の前にいる。信昭は若干動揺しつつ少女に話し掛けた。

「…音が聞こえて…もしかして、人いるのかなと思って」
「あ、ああ……俺は布施信昭。君は……林、良枝ちゃん、かな」
「はい…」
「しかし…どうして、全裸なんだ?」
「……」


ガシャアアン!!


「!?」

少女、林良枝になぜ全裸なのか尋ねるのと、裏手の方からガラスが割れるような音が聞こえたのは、ほぼ同時だった。

「な、何だ、何の音っ」

グサッ

「――――――っ」

信昭が良枝に背を向けた瞬間、背中に激痛を感じた。

「誰か仲間がいるんでしょ? でも心配する必要は無いよ」
「……な……に……?」
「…みんな私達が殺すからね、あんたも含めて!」

良枝は千枚通しで狐獣人の男の背中を何度も何度も、執拗なまでに刺す。
内臓を傷付け、信昭に確実なる致命傷を与え、信昭は喉の奥から熱い液体が込み上げるのを感じた。
背中が焼けるように熱い。意識が遠くなる。

「…か…ずは……ちゃ…まこと…ミリア……さ………に…げ…………」

同行者達の無事を切に願いながら、信昭は床に崩れ落ち、息絶えた。

◆◆◆

凄まじい物音に、扉を開け廊下に出た誠人とミリアが見た物は、
首を斬り飛ばされる瞬間の狐少女、そして、大鎌を操る白い狼の姿だった。
鮮血で廊下の床や壁、天井が赤く染まる。

「……な……え? え?」
「くっ…!」

呆然とする誠人に対し、実戦慣れしているミリアは即座に反応し、動いた。
木刀を携え、白狼に向かって突進する。

「ミリアさん!?」
「下がってて、誠人君――――はぁっ!」
「!」

白狼、キリルは自分に向かって走り来る全裸の女に少々驚きつつも、
大鎌を使って防御の体勢を取る。
直後、渾身の力で振り下ろされた木刀の一撃を、キリルの大鎌が捉え、大きな金属音が鳴った。

(ちぃ…こいつ、剣士か…中々強いな……ここは狭いから身体のデカい俺にはちょっと不利だ。
外に連れ出すか……? もう一人は銃を持っているしな)

体格の大きいキリルは屋内での戦闘は不利と考え、
ミリアと誠人を外に連れ出すべく玄関の方へ走る。ミリアと誠人はそれを追った。
視界の端に首を失い死んだ狐少女が見えたが今はまだ弔う余裕も無い。

「!」
「なっ…布施さん」

玄関先で、二人は変わり果てた狐青年の姿を発見する。
背中をめった刺しにされ、血塗れで横たわっていた。

「……あいつら!!」

怒りに震えたミリアは玄関扉から一気に外に飛び出した。


ダァン! ダァン! ダァン!!


三発の銃声。ミリアの身体が激しく動き赤い物が見えたかと思うと、その場に倒れた。

「…! あ……あ、み、ミリアさん!!」

その様子を見た誠人は迂闊にも、ミリアと同じく無警戒で外に飛び出してしまった。


ダァン!


「うあ!!」

幸いだったのは銃弾に当たる事無く民家の中に身を隠せた事だろう。
銃を構えた良枝と、鎌を携えたキリルはコヨーテ少年のいる廃屋の玄関の方に目をやり、
完全勝利を確信したのか互いにニヤリと笑みを浮かべる。

誠人はドラグノフ狙撃銃を両手に持ち抱えたまま、玄関の壁に背を預け途方に暮れる。
その目には涙が滲む。信昭は自分の足元で血塗れで横たわり動く様子は無い。
一葉は言わずもがな。ミリアも絶望的だ。

(どうしよう…俺、ここで死ぬのかな……)

自分は自動狙撃銃を持ってはいるが、相手は二人(正確には一人と一匹)。
片方は良く分からない力で鎌を自在に操り身体能力も人間の比では無い。
逃げ出したい思いに駆られる誠人。しかし、自分の童貞を奪ってくれた女性を見捨てる事も出来なかった。

(死にたくない……でも……ミリアさんは見捨てておけない……覚悟、決めるか)

誠人は銃を握る手に力を込め、心を決める。

「……ああああぁぁあああぁああ!!!」

そして、玄関扉をくぐり、一気に外に飛び出した。

そんな誠人に、巨躯の白狼が突進し牙を剥く。
正に飛び掛かる瞬間、誠人はドラグノフの引き金を引いた。


ダァン!!


「……っ! がああぁぁあぁああぁぁああぁあああ!!!!?」

白狼が突然、悲鳴を上げてのたうち回り始めた。その股間は真っ赤に染まっている。
ドラグノフの銃弾は彼の陰茎を抉ったのだ。
さしものキリルも、雄の一番大切な部分を損傷すれば平常ではいられない。

「キリル!!」

良枝が叫ぶ。直後、もう一発の銃声と共にその柔らかな乳房の間、つまり心臓の辺りに穴が空いた。
そのまま良枝は道路に崩れ落ち、血溜まりを作って動きを止めた。

「う…ぎいいぃぃいい……」

涙と涎を流し、股間を両前足で押さえながら苦しむキリルの頭に、誠人はドラグノフの銃口を向け、

ダァン!!

引き金を引いた。
キリルの頭は見事に破裂し、脳漿と血を撒き散らし、神狼キリルは死んだ。
その後、道路に倒れたミリアに駆け寄る。身体に三発の銃弾を受け血塗れのミリアはもう虫の息だった。

「ミリアさん、しっかりしてくれ……っ!」
「……ま…こと……君……」
「死なないでくれ……!」
「……私は…もう駄目みたいだけど……」
「……!」

「……あなたは、生き延びて……」


そう言うと、ミリアは目を閉じ、その身体から力が抜けた。


「……ミリアさん……」


ただ一人生き残ったコヨーテ獣人の少年が、女性の身体を抱き抱えたまま、嗚咽を漏らす。



【♀08番:吉良一葉  死亡】
【♂14番:布施信昭  死亡】
【♀12番:林良枝  死亡】
【♂06番:キリル  死亡】
【♀14番:ミリア・クリスティーナ  死亡】
【残り7人】



【昼/C-3廃集落中岡家前】
【♂05番:尾上誠人】
[状態]精神疲労(中)、上着無し、深い悲しみ、絶望感
[装備]ドラグノフ狙撃銃(7/10)
[持物]基本支給品一式、ドラグノフ狙撃銃予備マガジン(3)、M24型柄付手榴弾
[思考・行動]
0:殺し合う気は無い。
1:……。
[備考]
※特に無し。



033:黒夢 目次順 035:駆け引きや嘘はもう捨てて

031:大丈夫じゃない、問題だ 尾上誠人 038:終焉の時
031:大丈夫じゃない、問題だ ミリア・クリスティーナ 死亡
031:大丈夫じゃない、問題だ 布施信昭 死亡
031:大丈夫じゃない、問題だ 吉良一葉 死亡
032:街角は色めく少女らの縄張り キリル 死亡
032:街角は色めく少女らの縄張り 林良枝 死亡
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