痛みの数だけ強くなるとも限らない

29:痛みの数だけ強くなるとも限らない

ジャッカル獣人の男が、廃墟の病院に足を踏み入れる。
放送で呼ばれた名前は最初に見せしめになった一人を含む14人。
先刻出会った中根玲奈なる全裸美少女の名前は呼ばれなかった。

男、石黒雅則は、診察室にて凄惨な現場に遭遇する。

「これは…!?」

首を切断された女性、胴体に銃撃されたと思しき穴がいくつも空き、血を流して死んでいる緑色の竜の、
二つの死体と、座り込んで呆然としている金髪ショートの白衣姿の女性がいた。

「おい、あんた…」
「……あ」
「あ…俺は石黒雅則。俺は殺し合う気は無い…信じて、くれるか?」
「……(コクリ)」

白衣の女性、浅井うららはこれまでに起こった事を、震えた声で雅則に話した。

「……大変、だったな」

その言葉が適切がどうかは分からなかったが、雅則はそう声を掛けるしか出来なかった。

「…うららさん、だったか。あんたもこの殺し合い、乗ってないんだろ?」
「ええ」
「…俺と一緒に行動しないか?」

雅則はうららに共に行動する事を提案する。
脱出する手段を探すためにと言うよりも、うららの事を放っておけないと言う雅則の気持ちが大きかった。
普段女を良く漁る彼だが流石に目の前の、惨殺を目にし、同行者に死なれたと言う悲劇惨劇を経験した
女性に対し行為を求める気にはなれない。嫌らしい気持ちは一切無い。

うららは首を切断された女性、片山美咲の持っていた銃器を回収する。
竜の青年、アーネストに持たせていたチェーンソーは雅則にも扱えそうにないので、放棄する事にした。

「…石黒さん、あの…」
「ん?」
「…犬の耳と尻尾を持った、中高生ぐらいの女の子見てませんか? 浅井さららって言って…私の妹なんです」
「……いや、すまないが見てない」
「そう……」

妹、さららの事が余計に心配になるうららだったが殺し合いが始まり第一回放送を聞いた後になっても、
未だ妹の安否は分からず。放送で名前は呼ばれなかったが、だからと言って今現在もさららが無事かどうかは分からない。
もしかしたら瀕死の重傷を負って辛うじて生きている、と言う状態かもしれないのだ。

「俺も捜そう。放送で名前を呼ばれなかったのなら、まだ望みはある」
「ありがとう…」

自分を守り命を落とした竜の青年の死体と、自分達を襲撃し竜の青年に返り討ちにされた女性の死体に、
それぞれシーツを被せる。野ざらしにするのは流石に忍び無いと思ったためだ。

「…石黒さん、怪我してるわね」
「ああ…襲われてな…撃たれた」
「…大した事は無さそうだけど…消毒して、包帯を巻いておくわ。多少包帯と消毒薬が残っているから」
「頼む」

うららは雅則の怪我の応急処置を始めた。


【午前/E-2廃医院一階診察室跡】
【♂03番:石黒雅則】
[状態]胴体に二発貫通銃創(命に別条無し、現在処置中)
[装備]マカロフPM(6/8)
[持物]基本支給品一式、マカロフPM予備マガジン(3)、日本刀「鬼姫」
[思考・行動]
0:殺し合いには乗らない。
1:うららに傷の手当てをして貰う。
[備考]
※中根玲奈が殺し合いに乗っている事を知りました。
※自分が参加者を一人殺害している事は話していません。

【♀01番:浅井うらら】
[状態]精神疲労(中)
[装備]コルトローマン(6/6)
[持物]基本支給品一式、.357マグナム弾(18)、ワルサーカンプピストル(1/1)、26.6㎜榴弾(3)、
S&WM29(5/6)、.44マグナム弾(12)、イジェマッシMP-443(10/17)、MP-443予備マガジン(3)
[思考・行動]
0:殺し合いには乗らない。妹のさららを捜す。
1:石黒さんの手当てをする。
[備考]
※特に無し。


※E-2廃医院一階診察室跡にアーネスト、片山美咲の死体がシーツを被せられた状態で放置されています。
また、二人のデイパック(アーネスト:基本支給品一式、片山美咲:基本支給品一式、サバイバルナイフ)、
チェーンソー(バッテリー残り95%)が放置されています。


028:ちょっと気になるあいつ 目次順 030:人生山あり谷あり奈落あり

018:部外者はモニタ見ながら拍手喝采 石黒雅則 036:脆く砕ける宝石
027:夢を飾り眠る 浅井うらら 036:脆く砕ける宝石

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最終更新:2011年05月03日 12:34
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