「このままでいいんだよ」

織斑一夏は驚愕していた。
突然参加させられた殺し合いに?否。
殺し合いに幼馴染やクラスメイトが参加していたことに?否。
目の前の光景に、だ。
深い森の中。
倒れている小さな女の子。
震えている自分。
そして、目の前に立つ一人の少年。
少年が口を開く。抑揚のない、しゃべり方で。

「『だから』『僕は悪くない』」

十数分前

「桃香さーん、愛紗さーん、星さーん、翠さーん、どこですか―!」
暗い森の中を、一人の少女が歩いていた。
諸葛亮孔明。
有名な名を持つ彼女であるが、真名を朱里と言い、別人と言えば別人である(本人と言えば本人だが)。
彼女は現在、元からの仲間を探していた。何をするにも、合流してからだと考えたのだ。
彼女には確信があった。自分の仲間は、こんな殺し合いに乗ることはないと。そして、簡単に殺される人間ではないと。
(とはいえ、私はみなさんほど強くありませんからね。合流して安心させないと…)


自分の弱さを自覚するゆえに、皆が心配するのではないか。彼女はそのことを考えていた。もう一つ、彼女が合流を急ぐのは理由があった。
彼女は軍師であり、戦う人間ではない。仲間がいてこそ、真価を発揮できるのだ。
知恵を、策を授ける。それが彼女が合流を急ぐもう一つの理由だった。
とはいえ、いまだに仲間は見つからず、のども乾いてきたので少し休憩することにした。
(えーっと、お水お水…)
袋の中をあさり水筒を探すが、出てきたのは水筒ではなく金属の塊だった。
子供が持つには大きいそれは、黒光りし、穴が開いていた。
「なんでしょう、これ…?」
あの老人が言っていた殺し合いに役立つ道具だろうか。
握って使う道具だとはなんとなくわかる。
この穴はなんだろうか。
持ち方はこうだろうか。
などと、あれこれ考察していると、
ガサッ
近くで草が動く音が聞こえ、思わず身構える。
「誰か、いるんですか…?」
音のしたほうへそう尋ねると、一人の少年がひょっこりと顔を見せた。知らない人だ。
「あ、あの、私諸葛亮といいまして、今知り合いを探してまして、それで―」
金属塊を持ったまま自己紹介をする諸葛亮。その時、


―え?」
彼女の体に、剣が突き刺さった。
最後に見たのは、目の前の少年の笑顔だった。

「なっ―」
織斑一夏は驚愕した。
知り合いを探し、森を歩いていたら女の子と出会った。
その女の子の自己紹介(諸葛亮の名前には聞き間違えかと思ったが)に頬が緩んだところで、
その子に、剣が突き刺さった。
一瞬、何が起きたかわからず、表情が固まった。
一夏が事態を把握仕切ったのは、諸葛亮が倒れた後だった。
女の子が倒れた後、正面に立つのは学生服の少年。
「『ごっめ~ん』『もしかしてお話し中だった?』」
抑揚のないしゃべり方で話しかける少年。
「『ほら』『その子銃持ってたからさ』『君を撃つんじゃないかと思ったんだよ』」
その声に悪気はない、悪意もない。
「『それで思わず持ってた剣投げて突き刺しちゃったんだよね』『僕投げるの得意だから』」
ただただ気持ち悪いだけ。
「『僕は君を守ろうとしたんだよ』『決して人殺しが好きなんじゃないよ』『だから―』」
例えるならば、負。
「『だから』『僕は悪くない』」

こうして、物語は最初の場面へと戻る。



「『ところで』『君の知り合いは今どうなっていると思う?』」
その一言に一夏が反応する。
知り合い。つまりはこの殺し合いにともに呼ばれた三人
「お前…箒とセシリアと鈴のこと知ってるのか…?」
「『いや』『君の知り合いなんて知らないよ』」
あくまで白々しく、ふざけたようにしゃべる少年。
「『だけど』『ふーん』『君の知り合いって箒とセシリアと鈴って名前なのかー』」
その言葉に、一夏は絶句する。自分は、この少年に知り合いの名前を教えてしまった。
「さ、三人の…」
「『ん』」
「三人の名前を知って、何をするんだ…」
「『ふーん』『何をする』『ねえ』」
少年が一夏へと近ずく。近くに立ち、顔をずいっと目の前まで寄せると、ゆっくりと言った。
「『君の考えてることじゃない?』」
瞬間、一夏の手が袋へと伸びる。
しかし、少年の動きはそれ以上に早かった。

「うわっ!」
瞬時に取り出された二本の剣によって、一夏の両肩が貫通する。その勢いで後ろの木に磔にされた体勢となる。
「ぐうッ…」
体を激痛が襲い、血が服を染める。
少年は諸葛亮に突き刺さった剣を抜くと、一夏からも剣を抜いた。うまく体勢を整えられず、その場に倒れこんでしまう一夏。
「『あはっ』『かっこわる~い』」
少年はしゃがみこみ、一夏の耳元で囁く。
「『でもね』『このままでいいんだよ』『君は弱いままでいいんだ』『弱いままあの子と一緒に震えていればいいんだ』」
「『そうすれば』『僕がみ~んなオジャンにしてあげるからさ』」
その言葉は、行動は、確実に一夏の心をへし折っていた。
「『ああ』『君とあの子の傷はなかったことにしたから安心して』『僕は弱者の味方だからさ』」
言われて気がついた。両肩を貫通していた傷が、いつの間にか消えている。痛みも、全くない。
諸葛亮もそれは同様のようで、今はすうすうと寝息を立てている。
一夏は恐ろしくなった。この少年は、一瞬で二人の傷を治したのだから。
「『最後に』『僕の名前は球磨川禊だよ』『いつまでも少年じゃ呼びにくいだろ?』」
名前とわけのわからない言葉を残すと、球磨川は森の奥へと消えていく。
一夏は、それを黙って見ているしかなかった。


「『じゃ』『縁が合ったらまた会おうか』」
その言葉を最後に、球磨川の姿は完全に見えなくなった。
一夏は、しばらくその場に倒れたままだった。

【E-9・森/一日目・深夜】
【織斑一夏@IS】
[状態]健康、球磨川への恐怖
[装備]なし
[道具]基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考]基本:殺し合いには乗らない
1:球磨川への恐怖
2:知り合いを探す
3:諸葛亮を介抱する
※傷は『大嘘憑き(オールフィクション)』でなかったことにされました
【諸葛亮(朱里)@真・恋姫?無双(アニメ)】
[状態]健康、気絶中
[装備]IMIデザートイーグル(7/7)@現実
[道具]基本支給品、デザートイーグル用予備マガジン×2、ランダム支給品0~2
[思考]基本:殺し合いの打倒
1:気絶中
2:知り合いを探す
※傷は『大嘘憑き(オールフィクション)』でなかったことにされました

【IMIデザートイーグル@現実】
諸葛亮に支給。別名ハンドキャノンとも呼ばれる大型オートマチック拳銃。今回は予備マガジン2個をつけて支給。



球磨川禊は考える。今回の殺し合いの方針を。
勿論、黒神めだかの打倒も考えている。そのためにどう動くかだ。
「『…』『まっ』『まずは傍観かなあ』」
なにはともあれまずは様子見。それが彼の結論だった。
「『まあ』『過負荷(マイナス)らしく行動させてもらうけどね』」
【E-8・森/一日目・深夜】
【球磨川禊@めだかボックス】
[状態]健康
[装備]バヨネット×5@HELLSING
[道具]基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考]基本:黒神めだかの打倒
1:過負荷(マイナス)らしく行動する
2:適当にブラブラする
3:?????
※参戦時期は改心前、括弧つけていた頃
※『大嘘憑き(オールフィクション)』にどの程度制限がかかっているのかは不明

【バヨネット@HELLSING】
アレクサンド・アンデルセンが愛用する銃剣。今回は五本セットで支給。

『大嘘憑き(オールフィクション)』
球磨川禊の持つ過負荷(マイナス)。あらゆる現実を『なかったこと』にすることができる。
ロワでは制限対象。

迷惑な存在 投下順 果報は寝て待て
実験開始 織斑一夏 [[]]
実験開始 諸葛亮(朱里) [[]]
実験開始 球磨川禊 [[]]

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最終更新:2011年04月22日 00:36
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