パニックはろくな事を引き起こさない


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ヤバい。
これはやばい。
何がどうやばいのか。
そんな詳しい事とかを説明するまでもなく、言うなれば即座に現状がこの上もなくやばいものだと志村新八は理解していた。
例えるなら、めらめらと燃え盛る炎が、触れなくても『熱い』と分かるようにこの現状はやばい。

「…銀さん、神楽ちゃん、長谷川さん……」
名簿に無情に記されていた三人の名前は新八に相反する二つの感情をもたらす。
一つは、『自分は一人じゃない』という安心感。
もう一つは『仲間が命の危険に晒されている』事に対する焦燥感。
それらの感情は唯でさえ冷静とはとても言い難い新八の思考をぐちゃぐちゃに引っかき回す。


「なんとかして早いところ銀さん達と合流しなきゃ…」
新八が考えた事、それは一刻も早く銀時たちと合流する事。
今まで何度も危険な目に合って来た新八達万事屋だったが、それを乗り越えてきたのはひとえに銀時の力が大きかった。
新八は、銀時に対し絶大な信頼を置いていた。
だから、この場も銀時と合流する事が生き残る術だと、そう思った。

「とはいったものの……どこに銀さんたちはいるんだろう?」
新八が今現在いるこの場所は、D-1の港。
港とは言っても、小舟が二艘ある程度の小さな港だった。
軽く見まわしてみたものの、人影は確認できなかった。
「うーん……そうだ、支給品確認しなきゃ。」
そう呟くと、新八はデイパックをごそごそとあさり始めた。
丸腰では不安で仕方ない。
もし刀とかが入っていれば良いのだが……



「こ…これは……!」
出てきた『それ』を見ると、新八の目に輝きが増す。
そうだ、これさえあれば銀さんや神楽ちゃんにもすぐ会える、
そう、新八は思った。
そして、出てきた『それ』をしっかりと構えると、新八はゆっくり、そして深く息を吸い込んだ。



「銀さあああああああああああああん!!!!!!!!!神楽ちゃああああああああああああああああん!!!!!!!長谷川さああああああああああああああああん!!!!!!!どこにいるんですかああああああああああああああ!!!!!!」



辺り一帯に、新八の絶叫が響き渡った。
そう、新八に支給されたそれは……拡声器。
それもなかなか高性能であり、よく声が通る高級品であった。
それから新八は、何かに取りつかれたかのように仲間の名前を呼び続けた。
そしてその声が枯れはじめ、一休みしようかと思った時だった。
新八の目の前に、少女が現れたのは。



「さっきから騒いでいたのは…あなた?」
「ほえ?」
新八ははじめ、その少女の美貌に目を奪われてしまっていた。
目鼻立ちの通った端正な顔つき、あふれ出ている妖艶な大人の色気は新八の頬を赤く染める。
だが、その少女をもう一度確認した時、新八の眼に緊張が走る。

少女の手には、その美貌に似つかわしくない鈍く光る鋭い鉤爪が装着されていた。

「…君は?」
「あなた、ここがどういうところだか分かっているの?殺し合いなのよ?それなのにあんなに騒いでるなんて……もし『乗っちゃった』人が呼び寄せられたらどうするの?」

ゆらり、と少女が動いた。

「――私みたいに。」


ひゅん、と鉤爪が虚空を切り裂いた。
新八は間一髪身をひねりかわす。
「あら……ただのメガネくんじゃなさそうね……」
「なななな、何をするんですかあなたは!危ないじゃないですかあ!」
「あなた…まだ自分の状況を理解してないのね…」
そう言うと目の前の少女はにっこり笑った。
その様に、新八は直感した。

これは、本当に、冗談抜きにやばい。
今自分にあるのは何もない状況だけだ……
ならばどうするか。





「…うおおおおおおおおおおおおお!!!」

新八は、少女に背を向けると必死に駆けだした。
あの少女は、間違いなくこの殺し合いに『乗っている』。
それだけじゃない。
彼女の眼は…かつて戦った鬼兵隊の高杉を思い出させる冷酷さと残虐さに満ち満ちていた。
そんな『覚悟』を持った相手と闘うだけの『覚悟』を、新八はまだ持っていない。
だから、新八は逃げ出した。
逃げながらも、新八は拡声器のスイッチを入れていた。

「助けてえええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!」

港とその周辺一帯に、また新八の絶叫が響き渡った。





「…逃がしちゃったか……」
落胆するわけでもなく、少女は淡々とこぼす。
少女の名は相馬光子。
彼女はこの殺し合いとほとんどよく似た状況にいた事がある。
大東亜共和国、戦闘実験第六十八番プログラム。
選抜された中学三年生のクラス全員を、隔離されたエリアで生存者一人になるまで互いに殺し合わせると言う狂気の沙汰で、彼女は何人ものクラスメートを殺してきた――そして、死んだ。
そう、彼女は死んだはずだった。
桐山和雄に顔面を銃で吹き飛ばされて、確かに死んだ。
だが、彼女は今ここにこうして生きている。
これはどういう事なのだろうか?
「……まぁいいわ、ここにいる全員を…奪ってみせる。」
ゆっくりと、相馬光子は歩き出す。




【D-1港/1日目朝】
【志村新八@銀魂】
[状態]:肉体疲労(中)、声枯れ気味、精神の動揺(中)
[装備]:高性能拡声器@現実
[道具]:基本支給品一式(アイテム確認済み)
[思考]1:とにかく逃げる!逃げる!
   2:銀時、神楽、長谷川と合流したい

【相馬光子@BATTLE ROYALE】
[状態]:健康
[装備]:手甲鉤@忍たま乱太郎
[道具]:基本支給品一式(アイテム確認済み)
[思考]1:『奪う側』に立ち、全員を殺す。
   2:殺せそうな人を探す。






実は、新八が絶叫をまきちらしながら駆け抜けたこのエリアには、相馬光子以外にもう一人参加者がいた。
その参加者は…蒼葉梢。
彼女は今、気を失っている。
鳴滝荘の住人である桃乃の死に直面してしまった事、白鳥や珠実達から引き離され一人ぼっちになってしまった事、それらの現実に消耗しきっていた精神は、先程の新八の絶叫で飛んでしまった。
さて、ここでこの蒼葉梢という少女について語らなくてはいけない事がある。
それは、彼女がとある病気を抱えていると言う事。
その病気とは――解離性同一性障害。
平たく言ってしまえば、多重人格である。
精神的ショックを受けると彼女は『変身』してしまうのだ。

彼女が目覚めたとき、どの人格になっているかは……
誰にもわからない。

【D-1港・とある住宅の中/1日目朝】
【蒼葉梢@まほらば】
[状態]:気絶中、精神的ショック(極大)、精神不安定
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式(アイテム未確認)
[思考]1:気絶中
[備考]:この思考は『蒼葉梢』の思考であり、他の人格の思考がどうなっているかは不明。




【備考】
D-1とその周辺五マスに新八の絶叫が響き渡りました。

014:恋する男の子は盲目で恋人を思うともう止まらないの 投下順 016:メガネの少年少女
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