39:一番楽な方法
千葉望は疲れ切っていた。突然殺し合いに巻き込まれ、目の前で人が何人も殺されるのを見た。
自分もいつ殺されるか分からない。今何人が生きているのだろうか。
一緒に行動していた妖狐、日宮高延は放送で主人の名前が呼ばれほとんど錯乱に近い状態となり、
主人を捜しに行くと言って出て行ったきり、行方知れずになっている。生きて再会する可能性は極めて低いだろう。
「もう…嫌…誰かに、殺されるくらいなら」
持っていたベレッタM92FS自動拳銃を自分の喉元に突き付ける。
「グッバイ、リアルワールド」
ダァン!
同時刻、安田愛はふらふらと市街地を歩いていた。
「あの頃に戻りたい…ただ好きにエッチするだけだったあのこ頃に戻りたい」
心身ともに疲れ果てたハスキー種犬獣人の少女は、周囲を警戒する事も無く道路のど真ん中を歩く。
殺し合いにおいてそういった行動は危険以外の何物でも無いのだが。
幸いにも、彼女が遭遇したのは、殺し合いに抗う者達だった。
「そこのお嬢さん」
「…?」
突然、老人の声で声を掛けられる愛。ぶるぶると震えながら声の方に顔を向けると、
和服姿の老人、金髪の美女、濃淡の灰色毛皮の大きな狼、水色の毛皮の獣竜の一行がいた。
「あなたは…安田、愛さん?」
「……(コクリ)」
「安心しろ、俺達は殺し合いには乗ってないよ」
「…衣服が乱れてるけど…何かあったのか?」
「……」
愛はそれまであった事を包み隠さず四人に話す。
「…安心せいお嬢ちゃん、わしも一人殺してるんじゃ」
「…そう、なのですか」
「正当防衛なら仕方無いわ…って言っても、キツいよね…怪我、大丈夫?」
「大丈夫、です」
額賀甲子太郎と浅井きららの言葉に愛は少し励まされたような気がした。
完全に、とはいかないが、少しは気が楽になったのは確かである。
「…これから俺達、公民館に向かうんだが、愛も一緒に行くか?」
狼、浅井政喜が愛に尋ねる。
「……一人は嫌…一緒に行っても、良い?」
今までずっと単独で行動していた愛はその誘いを断る気にはなれなかった。
甲子太郎、きらら、政喜、そして比良坂守治は愛を受け入れ、仲間にした。
「ところで愛ちゃん、何かその…機械に詳しいとかそんなの無い?」
守治が愛に質問する。だが愛は首を横に振った。
「そうか…首輪何とかしないといけないから、機械に詳しい奴いれば、と思ってるんだけど」
「ごめん…」
「え? いやいや、謝る事無いよ」
【千葉望 死亡】
【残り7人】
【昼/D-5市街地】
【安田愛】
[状態]腹部に被弾(命に別条無し)、精神的ショック(大)
[服装]高校制服
[装備]コルトローマン(6/6)
[持物]基本支給品一式、357マグナム弾(8)、打刀
[思考]
1:死にたくない…。
2:額賀さん、きららさん、政喜さん、比良坂さんと行動。
[備考]
※中元梓紗はクラスメイトです。
【額賀甲子太郎】
[状態]左頬に傷
[服装]着物
[装備]直刀
[持物]基本支給品一式、仕込杖
[思考]
1:殺し合いを止める。首輪をどうにかしたい。襲われたら戦うが出来るだけ殺したくは無い。
2:きららさん、政喜君、守治君、安田君と行動。
[備考]
※紫前武尊を知っています。
【浅井きらら】
[状態]良好
[服装]一応私服
[装備]Cz75(15/15)
[持物]基本支給品一式、Cz75予備マガジン(15×3)
[思考]
1:殺し合いはしない。生き残りたい。政喜から離れない。
2:政喜、守治君、額賀さん、愛ちゃんと行動。高延君がちょっと心配。
[備考]
※特に無し。
【浅井政喜】
[状態]良好
[服装]無し
[装備]剣鉈
[持物]基本支給品一式
[思考]
1:殺し合いはしない。生き残りたい。きららから離れない。
2:きらら、守治、額賀さん、愛と行動。
[備考]
※特に無し。
【比良坂守治】
[状態]疲労(少し回復)
[服装]無し
[装備]AK-47(30/30)
[持物]基本支給品一式、AK-47予備マガジン(30×5)
[思考]
1:殺し合いはしない。生き残りたい。
2:きららさん、政喜、額賀さん、愛ちゃんと行動。
[備考]
※特に無し。
※千葉望はひっそりと死にました。
最終更新:2011年04月09日 22:39