シーソーゲームは続いてく

37:シーソーゲームは続いてく

ガチッ

「……」

宮崎眞由美は、分解した首輪の内部構造から推測した手法を元に、自分の首輪を決死の覚悟で弄った。
そして、首の金属の感触と僅かな圧迫感が、消えた。
眞由美の手には、使った工具と、首輪が。

「………! ……………!!」
「!! ………」

喜び声を上げようとした眞由美と、狐の青年糸賀昌明であったが、
首輪から盗聴されている事を思い出し必死に声を押し殺す。
そして、眞由美は次に、昌明の首にはめられた首輪に工具を向けた。
慎重に、繊細に、首輪の回路を細工していく眞由美。昌明は祈るような思いで、目を閉じ、眞由美を信じて待つ。
そして。

ガチッ

昌明の首輪が音を立てて外れた。それと同時に、首輪は機能を喪失し、盗聴される事も無くなった。

「…あ、ああ、やった! やった!! は、外れた! 外れたあああ!!」
「うん、うん! やった、やったよ!」

二人は抱き合い、首輪による死の恐怖から抜け出せた事を喜んだ。

「……はぁ、はぁ、首輪は、取れたけど、どうする、これから」
「そうですね……」

二人は考える。このまま会場から脱出するか、それとも他の参加者を救いに行くか。
放送で呼ばれた死亡者の数からして殺し合いに乗っている者は多いか、或いは、一人で何人も殺害するような、
強者が参加者の中にはいるのだろう。昌明も眞由美もこの殺し合いに知り合いはいない。
わざわざ危険を冒してまで、救う程のものでは無いのだ、言ってしまえば。

「……」
「……」
「…逃げちゃおうぜ眞由美」
「…そうですね糸賀さん」

二人はこのまま脱出する事を選んだ。
万が一に備え武器は所持したまま、市役所を出て、西の方角へと走り去った。



運営本部の選手確認モニタにはこう表示されていた。

宮崎眞由美  死亡
糸賀昌明  死亡

と。



【宮崎眞由美  首輪解除―――脱出】
【糸賀昌明  首輪解除―――脱出】
【残り10人】


※首輪を解除した宮崎眞由美と糸賀昌明は死亡扱いになります。よって運営は二人が脱出した事に気付いていません。


狂人は狂人によって葬られその狂人は虚空に消える 時系列順 冷血なりせば
狂人は狂人によって葬られその狂人は虚空に消える 投下順 冷血なりせば
特命リサーチ 宮崎眞由美 脱出
特命リサーチ 糸賀昌明 脱出

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最終更新:2011年04月07日 22:05
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