16:予期せぬトラブル致命的
市役所一階オフィスで、一人の獅子獣人の高校生の少年が短機関銃トンプソンM1921を乱射していた。
翌日の朝刊トップを飾りそうな行動だが今は殺し合いの最中なのである意味問題無い。
そう言う問題でも、無いのだが。
「はぁ、はぁ、何なんだこの変な快感、すげー気持ち良いんだが……」
獅子獣人の少年、青木勝昭はM1921を掃射している内、妙な高揚感と快感を感じていた。
「これが『トリガーハッピーって奴か? …違うか? まあ、良いや。
…どこだ? どこにいるんだ? その辺にいる事は、分かってるんだよ」
壁や調度品が穴だらけになり机の上の物が荒れ床に散乱したオフィス内を歩く勝昭。
「……ッ」
机の陰では、狐獣人の男、糸賀昌明が困り果てていた。
(参った…いきなりサブマシンガン持った相手に襲われるなんて)
ダダダダダダダダダッ!!
再び掃射。穴の空いたファイルや書類が机の上から昌明の頭上に降り注ぐ。
このままでは間違い無く殺されてしまうだろう。
(嫌だ、こんな所で死にたく無い…! …そうだ、俺、支給品まだ確認して無い。何が入ってるんだ…?)
急いで自分のデイパックを開け中身を漁る昌明。
そして二丁の自動拳銃とそれぞれの予備マガジンを発見した。
ワルサーP99と、QSZ-92-5.8。選んでいる暇は無く、昌明は咄嗟にQSZを手に取った。
ガタッ
背後で妙な物音が聞こえ、自分の下に広がる陰が大きくなったような気がした。
「見付けた」
「……あ、あ!?」
振り向き天井の方を見上げると、机の上から獅子獣人がM1921を自分に向け、
見下ろしていた。その顔は笑っていた。
自分が銃を向けるよりも、相手がM1921の引き金を引く方が早いだろう。
終わった。全て――昌明は死を覚悟した。
ガチッ
「……あれ?」
だが、獅子獣人の少年、勝昭がM1921の引き金を引いた時、予期せぬ事が起きた。
まだ弾倉に弾は残っているはずなのに弾が発射されない。
作動不良なのか、弾が不発だったのか、どうなのかは分からないが――――。
それが勝昭の運命を決定付けた。
ダァン! ダァン! ダァン!
昌明が勝昭に向けQSZを発砲した。
胸元と腹部を弾が貫通した勝昭はM1921を落としてよろめき、机の上から転落した。
そして、起き上がってくる事は無かった。
昌明が机の列を越えて、少年の様子を見に行くと、血溜まりを作って動かなくなっている。
死んでいる事は明白だった。
「……」
そうしなければ自分が危なかったとは言え、一人の人間(獣人だが)を殺してしまった事に、
昌明は少なからず罪悪感を感じた。
【青木勝昭 死亡】
【残り35人】
【早朝/F-1市役所一階オフィス】
【糸賀昌明】
[状態]良好
[服装]裸の上に浴衣っぽい着物
[装備]QSZ-92-5.8(16/20)
[持物]基本支給品一式、ワルサーP99(15/15)、ワルサーP99予備マガジン(15×3)、
QSZ-92-5.8予備マガジン(20×3)
[思考]
1:生き残る。
2:……。
[備考]
※特に無し。
≪オリキャラ紹介≫
【青木勝昭(あおき かつあき)】
17歳の獅子獣人の少年。柔道部に所属する筋肉質な身体。明朗な性格で友人は多い。
……以上。他に書く事無し。
【糸賀昌明(いとが まさあき)】
23歳の狐獣人の青年。売春夫。男を相手とするのがほとんどだが稀に女とも寝る。
幼少期に父親に掘られたのをきっかけにそっちの道に目覚めた。前立腺の開発に余念が無い。
料理が得意で、特にカレーは絶品との事。
最終更新:2011年03月24日 01:31