お嬢様は崖っぷち


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第十一話≪お嬢様は崖っぷち≫

金ヶ崎陵華(かねがさき・りょうか)は激怒した。
必ず、こんな理不尽な殺人ゲームから脱出してやると心に誓った。

「どこの誰だか知らないけど、この陵華様に首輪をはめて、無理矢理ゲームをやらせようだなんて、
身の程知らずにも程があるわ! 殺し合いなんて、誰がするもんですか!」

声高にこのゲームのルールに反逆する事を宣言した茶髪ツインテールの制服姿の少女は、
自分のデイパックを開けてランダム支給品を確認する。

「普通のカッターナイフに……何これ、ニンテンドーDS!?」

多くの同級生が持っている(勿論自分も持っている)タッチペン操作が売りの携帯ゲーム機が
ランダム支給品として出てきた事に驚く陵華。
しかし元々持っているし、こんな状況で渡されても不要なのだが。ソフトも無いし、
あってもこれで遊んでいる場合等では無い。
陵華はニンテンドーDSをデイパックに戻し、カッターナイフを装備した。
事務用のLサイズのカッターナイフだが、一応武器には成り得る。
殺し合いに乗る気は無いとは言っても、もしも襲われた時に丸腰では不安だ。
襲ってきた相手が刀や銃を持っていたらそれはもう逃げるしか無いが。

「それにしても、ここはどこなのかしら」

そう言って陵華は辺りをぐるりと見回す。
前方には海が広がり、反対側には草原と舗装が傷んだアスファルトの道路、手前側に豪邸があり、
遠くの方に西洋風の城と思しき建物が見える。
地図を見て確認すると、どうも今自分がいるのはエリアA-7のようだ。
海の方へ用心しながら近付いていくと、背筋に寒気が走るような光景に出くわした。
切り立った断崖絶壁である。高さは50メートルはあるだろうか。
一番下は鋭い岩が散乱しており、波が打ち付け白い泡が沢山浮き出ている。
どう見ても落ちたら一巻の終わりです本当にありがとうございました。

「ああああ怖っ、は、早く離れよ」

竦む足を無理矢理立たせ、崖際から離れようとした、その時。

「おい」

突然背後から声をかけられ、驚いて声の方向へ振り向く。
そこには緑色の半袖のジャケットを着た、黒髪を中央で分けたような髪型の人間の若い男性が立っていた。
そう男性の姿を確認した直後、何故か急に重力を感じなくなった。
――崖の端の方に立っていたのが災いし、陵華の足元が崩れたのだ。

「え?」

一瞬何が起こったか理解出来なかったが、落ちる直前、咄嗟の反射神経とも言うべきか、
崩れた崖の端の部分にしがみ付く事に成功した。




「いや~危なかったなぁお前。大丈夫か?」
「『大丈夫か?』じゃないわよ!! 見て分からないの大丈夫な訳無いでしょ!!
貴方がいきなり話し掛けてくるからよ!!」
「悪い悪い……いやでもあんな危ないトコにいたお前もどうかと思うが」
「うっ……」

陵華は崖にしがみ付いている所を声を掛けてきた男性に救助された。
救助された後男性に向かって物凄い剣幕で激怒したが、
自分も痛い所を突かれ黙り込んでしまう。

「とりあえずここにいると人目に付きやすいからよ、あそこのデカい家に行こうぜ」

そう言って男性は近くにある豪邸を指差す。
陵華は一瞬逡巡したが、見ず知らずの自分を救助してくれた事を考えると、
信用しても良さそうだと判断した。

豪邸には車庫や庭園、小さいながらも離れもあり、相応な金持ちが住んでいたと思われた。
車庫に停まっている車もかなりの高級車である。
男性は物珍しげに見ていたが、陵華にとってはこの程度の豪邸、大した事は無かった。
彼女は国内有数の海運業を営む大富豪の娘である。
彼女にとってみればこの豪邸も、普通の家と同じだった。
玄関には鍵がかかっておらず、容易に中に入る事が出来た。
豪邸内に入り、一階にある応接間と思しき部屋でお互い向かい合ってソファーに座った。

「えーととりあえず自己紹介な。俺、四宮勝憲(しのみや・かつのり)。雑貨屋やってんだ。
どうぞ、よろしく」
「私は金ヶ崎陵華よ。よろしく、四宮さん」
「金ヶ崎……? あ、もしかしてあの大富豪の?」

どうやらこの四宮勝憲という男性は金ヶ崎という大富豪は知っていたようだ。

「そ。さすがに名前ぐらいは聞いた事あるでしょ?」
「あるある」
「まあそれはさておき、四宮さんはこれからどうするつもりなの?
あそこで私を助けてくれたっていう事は、この殺し合いに乗ってはいなさそうだけど」

陵華は勝憲に対しこれからどう行動するかを尋ねた。

「そうだな、とりあえず知り合いも二人呼ばれてっから、二人探すよ。
んで何とかしてこの糞ゲームから脱出する方法を探る」
「知り合いが呼ばれてるの?」
「ああ。朱雀麗雅と葛葉美琴っていうのがな。お前は?」
「いや、私は誰も呼ばれて無いみたい」
「そりゃラッキーだな。こういう状況は知り合いいない方が返って楽かも」
「ま、まあ……」

確かに殺し合いに知り合いが一人もいないというのは、気が楽かもしれない。
しかし、やはり心細いというのもあった。
だから、陵華は知り合いが二人もいるという勝憲の事が少し羨ましかった。

「お前の武器、それ?」

そう言って勝憲は陵華の持っているカッターナイフを指差す。

「えっ、あ、うん……」
「そんなんじゃ不安だろ。これやるよ」

そう言って勝憲は自分のデイパックから非常に小型の自動拳銃とその予備マガジンを
テーブルの上に置いた。
陵華はその小型自動拳銃――コルトM1908”ベストポケット”を手に取った。
以前、クラスメイトの男子がモデルガンを友人達で見せ合いしていたのを見た事はある。
しかし、手から伝わる金属の質感、重量。これは間違い無く本物の拳銃だった。
自分のブレザーのポケットに入ってしまいそうな程小型の拳銃だが、
紛れも無く他人を殺傷出来る”武器”だった。

「おい、使わねぇ時は無闇に引き金触ったり銃口向けたりすんなよ」

銃口を覗き込む陵華に勝憲が注意を促す。
言われた陵華は慌ててベストポケットをテーブルの上に置く。

「ありがと。あれ、でも四宮さんは? 自分の武器」
「俺はこいつがあるから」

そう言って四宮は再び自分のデイパックに手を入れ、中から黒光りする長い銃を取り出した。

「そ、それは? 銃?」
「そう。FN FAL。アサルトライフルって奴だな。こいつはセミオート限定モデルみてぇだけど、
主催者の連中、いいセンスしてるぜ」

勝憲はFALを構えながら上機嫌に語った。
陵華自身は銃に疎いため、アサルトライフルやセミオートといった単語には今一つピンと来なかったが、
とりあえず今勝憲が持っている銃がかなり強力らしい事は分かった。

「まあとりあえず、下手に動き回っても危ねぇからな。
もうしばらくここにいようや」
「えっ、でも、四宮さんは知り合いがいるんじゃ……」

勝憲の言葉に陵華は疑問の声を上げる。
つい先程勝憲は「知り合いが二人いる」と言っていた。名前の感じからして二人とも女性だろう。
友人なのか彼女なのか親類なのかはよく分からないが、
いつ誰に殺されるか分からないという状況なら早々に探した方が良いと思うのだが。

「二人ともそんな簡単に死ぬような奴じゃねえから、大丈夫大丈夫」

しかし勝憲はさほど心配していない様子。
自分は勿論勝憲の二人の知り合い――朱雀麗雅と葛葉美琴という二人の事は全く知らないが、
勝憲の話し振りからして彼は二人をとても信頼している事が伝わってきた。
本人がこれ程大丈夫だと言い切っているのであればこれ以上言及する事は無いと陵華は判断した。
それに、確かに彼の言う事ももっともである。
こういうゲームでは下手に動かず、一ヶ所に留まっていた方が安全だろう。

「この家の中探してみようぜ。使えるモンあるかも知れねぇし」
「そうね」

陵華と勝憲は、まずはこの広大な豪邸内を探索する事にした。


【一日目/明朝/B-8豪邸内部】

【金ヶ崎陵華】
[状態]:足に軽い擦り傷
[装備]:コルトM1908”ベストポケット”(6/6)
[所持品]:基本支給品一式、コルトM1908の予備マガジン(6×10)、カッターナイフ、ニンテンドーDS
[思考・行動]
基本:殺し合いからの脱出。
1:四宮さんと一緒に行動する。
2:豪邸内の探索。

【四宮勝憲】
[状態]:健康
[装備]:FN FAL(20/20)
[所持品]:基本支給品一式、FN FALの予備マガジン(20×10)
[思考・行動]
基本:殺し合いに乗る気は無いが、襲い掛かってくる奴は殺す。
1:陵華と行動する。
2:豪邸内の探索。
3:麗雅と美琴の捜索。
4:煙草吸いてー。
[備考]
※支給されたFN FALはセミオート限定モデルです。





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