明日無き幸福、呼笑亡き明日


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047:明日無き幸福、呼笑亡き明日

「……」

無数のライフル弾を全身に受け肉塊のようになってしまった四人の死体を、
悲しげな表情でカイテルが見下ろす。
吉沢雪はカウンターの奥で死体から目を逸らすように座っていた。
つい数刻前まで会話していたはずの四人が今では血塗れの死体となっている。

「……くそっ」

カイテルは濃厚な死臭に耐えながら、四人が持っている武器を回収し始めた。
そこへ、二人の新たな訪問者が現れる。
リューグとヴァレリアは、外にあった雌獣竜の死体にも驚いたが、
役場内に漂う濃密な血の臭いと、ぐちゃぐちゃになった四体分の死体にはもっと驚いた。

「うあ……!?」
「ひっ……!?」
「…誰だ?」
「誰…?」
「…お、俺達は殺し合う気は無い。あんたら、は…?」
「…無いよ。俺も、雪も。こいつらは、俺達の仲間だった。外で死んでいる雌獣竜も、な。
だけど…その雌獣竜に、この四人は殺されちまった。俺と雪も、殺されそうになって……」
「……そうか」

そこまで聞いて大方の事情を理解したリューグは、それ以上何も聞く事はしなかった。
ヴァレリアも同様だった。

「……俺、リューグ。こっちがヴァレリアちゃん」
「俺はカイテル」
「…吉沢雪です」

自己紹介の後、リューグとヴァレリアはつい数分前に、
アインリアと言う魔狼に襲われそれを返り討ちにした事を話した。
役場で死亡した五人と、リューグとヴァレリアが言った一人を合わせると、
第二回放送後の死亡者は六人。つまり、この殺し合いでの生存者は、
ここにいる四人のみ、と言う事になる。
カイテルはメモ帳による筆談で、首輪の解析を自分が行っている事、
そして、もう少し調べれば解除出来る事を告げた。

〔本当なのか? リューグ〕
〔…期待してくれて良い。もう少し調べれば分かる カイテル〕

首にはめられた忌々しい金属製の首輪が外せれば、
小中学校にいるはずの主催陣に殴り込み、この殺し合いを破綻させる事が出来るはず。
今ここにいる全員が生き延びられるかどうかはカイテルの手に委ねられる事となった。

◆◆◆

午後15時11分。
稲垣葉月、レックス、大木弓那、黒牙、そして十数人の兵士がいる、
バトルロワイアル運営本部が慌ただしくなる。
島役場にいた生存者四人が、全滅したのだ。

「同士討ちでもしたのか…?」

レックスが訝しげに言う。

「今から確認しに行くんだけれど、レックスも行く?」
「行く行く」

稲垣葉月に誘われレックスが控室に使っていた教室を飛び出す。

「この殺し合いも終わりかあ…長いようで短かったね」
「そうだね……」

ソファーに座り行為をしている黒牙と弓那が言う。
だが、直後、二人はこの殺し合いがまだ本当の意味で終わってはいない事を知る。

ダダダダダダダダダダダダッ!!

「!!」
「何!?」

外から響く銃声。驚いた黒牙と弓那が教室の窓から外を見る。
校門付近で、機関銃らしき物を掃射するワイバーンの姿が見えた。
いやそれだけでは無い、武装したドラゴン、エルフ娘、狐耳娘が見える。

「あいつら…! まさか自力で首輪を!?」
「うわ…まずいよ…こっち来るよ」

参加者にはめられた首輪は、万が一外れるとその参加者が死亡したと言う信号を送る仕様になっている。
どうやら先程モニターで四人死亡と表示されたのはそれのせいだったようだ。
「ある人物」から借りた兵士は十数人程度。しかも然程装備も良く無い。
どうやら応戦してくれているようだが、長くは保ちそうにない。

「黒牙と弓那あああ!!!」
「!! レックスさん……」

背中に葉月を乗せた黒狼レックスが息を切らせて二人がいる教室の中に入る。

「参った……あいつら首輪外しやがるなんて」
「もうすぐここにも来るわね…多分兵士達じゃ止められないと思う」
「よし……逃げるか」
「早く!」

もはやこれまでと諦めた主催陣四人は、魔力を持つレックスと黒牙の力により、
元の世界へ帰るための光のゲートを作りだした。
そして、さっさとその光に飛び込もうとした――――が。

……

身体が突然、全く動かなくなった。
呼吸は辛うじて出来るが、声も出せない、指先を動かす事さえ出来ない。
俗に言う「金縛り」のような感じである。

「…いけないなァ、勝手に主催を放棄しちゃあ」

四人の背後から、聞き覚えのある声が響く。

「ちょっと前の殺し合いで無茶しちったから…しばらく療養してて…それで、
お前ら四人に任せてみたのに、駄目みたいだったな…まあいいさ」

その「男」は、ゆっくりと指先を四人の方に向け――――。

「とりあえず連帯責任。お前ら四人、一度死ね」

ザシュッ!!

教室が鮮血で染まった。

数分後。

「ハァ、ハァ、ハァ……!? な、何だ、こりゃ」
「え……う、うあ!?」
「……?」
「ひっ……こ、これは」

警備兵達を倒し、その場所に辿り着いたカイテル、吉沢雪、ヴァレリア、リューグが見たものは、
首を切り落とされた主催者四人の無惨な死体と、青白く輝く光の柱だった。

「よぉ、ここまで生き残れた四人、おめでとうさん」
「!!」

教室の端に、頭部を包帯でぐるぐる巻きにし素顔を隠した、青年と思しき年格好の男が立っていた。

「だ、誰だ?」
「ん……俺かい? 俺は……『神』さあ」
「……神、だと……おい、ふざけてるのか!?」

グロスフスMG42の銃口を男に向けながら、怒気の籠った口調でカイテルが言う。

「ふざけてなんかいないさ……まあそういきり立つな。
お前らを元の世界へ返してやるよ。そこの光の柱に入ればお前ら帰れるよ」

男はそう言うが、信憑性など四人にとっては皆無に等しかった。

「…信じられないって顔してんな。本当だって……。
じゃあ俺、帰るから。もし運命が許すなら、また会おうぜ。バイバイ」
「! 待っ……」

そう言うな否や、男はフッと「消えた」。

「……」
「………」
「終わったのか…これで」
「……うう」

静寂が包む。殺し合いの会場で、生きている者は本当に、彼ら四人だけになった。
謎の男が「元の世界に帰れる」と言っていた光の柱を、四人はただ黙って見詰めていた。


【稲垣葉月  死亡】
【レックス  死亡】
【大木弓那  死亡】
【黒牙  死亡】


【カイテル  生還】
【吉沢雪  生還】
【ヴァレリア  生還】
【リューグ  生還】


【バトルロワイアル終了】


I'll for you 時系列順 風に吹かれて歩いてゆくのさ
I'll for you 投下順 風に吹かれて歩いてゆくのさ

二度と人を愛せず カイテル 風に吹かれて歩いてゆくのさ
二度と人を愛せず 吉沢雪 風に吹かれて歩いてゆくのさ
I'll for you リューグ 風に吹かれて歩いてゆくのさ
I'll for you ヴァレリア 風に吹かれて歩いてゆくのさ
EX俺オリロワ第一回放送 稲垣葉月 死亡
EX俺オリロワ第二回放送 レックス 死亡
EX俺オリロワ第二回放送 大木弓那 死亡
EX俺オリロワ第一回放送 黒牙 死亡
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