灯り無き眼光

35:灯り無き眼光

「随分死んでるな…おい」

廃工場内、事務所跡の机の上に座り、
放送で名前が呼ばれた人物の顔写真の上に×印が描かれた参加者名簿を見ながら、
狼獣人の高校生の青年犬神彰浩。
たった4時間で死亡者は22人。残りは自分を入れ20人しかいない。
禁止エリアは何れも遠く離れたエリアであり、気にする必要は無さそうだ。

「…くそっ! モタモタしてられないな…」

殺し合いから脱出しようにも、自分と同じように殺し合う気が無い参加者が後何人いるのか。
もしかしたら生き残りのほとんどが殺し合う気になってしまっているかもしれない。
早急に行動する必要があると彰浩は思わざるを得なかった。

「とにかくメシ食って……南に行ってみるか……」

軽く食事を取った後、島の南部市街地を目指す事にした彰浩。
だが、カツ、カツ、と、乾いた音が彰浩の耳に届く。

「……?」

音の方向に恐る恐る振り向くと、入口から青と白の巨躯の狼が入ってきた。

「…? あんたは……アインリア、だな?」
「……」

魔狼、アインリアはコクリと頷く。
その口元は血塗れで、彰浩に向けられる視線はどう考えても友好的なそれでは無い。

「…君は犬神彰浩君、だな」
「あ、ああ」
「…初対面でいきなり、悪いが――――」
「……!」

「死んでくれ」

アインリアが彰浩の喉笛目掛けて飛び掛かった。
しかし寸での所で彰浩は横に身体を反らしかわす。

「畜生! マジかよ!」

彰浩は抜き身の打刀をアインリアに向けて思い切り振り払った。

ザシュッ!

「うぐっ!」

アインリアの左肩の辺りから鮮血が飛び散る。
痛みに顔を歪めたが、大した怪我では無い。

「ガァウ!」
「うあっ……」

そして、彰浩に再び飛び掛かり押し倒した。
その際、彰浩の持つ打刀の刀身をガチリと咥えた。
強力な顎の力で、打刀は全く動かなくなってしまう。

バキッ!!

「なっ…!? 嘘だろ!?」

彰浩の目の前で、打刀の刀身が噛み砕かれ、業物の刀はただの鉄屑と化してしまった。
直後、刀身の破片を吐き出し、アインリアは彰浩の喉笛に食らいついた。

「がぁ…あ……!」

鋭い牙が容赦無く彰浩の喉に食い込み血が滲む。
彰浩は必死にアインリアを引き剥がそうともがくがもうどうにもならない。
そして執行の瞬間が訪れる。

ブチッ

鮮血が噴き出し、周囲一帯を真っ赤に染めた。

「ァ……がぁ………い゛や……だ……じ…に……だ……ぐ……………」

視界が真っ赤に染まっていき、遠くなる意識の中、
彰浩が最期に視認したのは、返り血を浴びて毛皮が赤く染まった魔狼の姿だった。

「…ふぅ…」

血の臭いが辺りに漂い、アインリアは僅かながら興奮していた。
興奮を収めるため、自分を慰める事にする。
適当な台の上に横になり、包皮に覆われる自分の息子を舌と口を使って包皮から引き摺り出し、
ピンク色のそれをしゃぶる。

「んっ…ちゅぷっ…ちゅっ……ピチャ…ピチャ」

しばらくしゃぶると、息子は大きく固くなる。
口を放すと、先端から透明な汁を垂らし血管が浮き出し、
ピクピクと脈打つ立派な赤黒い雄へと彼の息子は成長していた。

「良い子だ。可愛がってやるからな…」

愛おしげに言いながら、魔狼は自分の雄を自分の口で愛撫し続け、快感を得る。


【犬神彰浩  死亡】
【残り18人】


【午前/C-3廃工場】
【アインリア】
[状態]左肩に切り傷、返り血(大)、自分を慰めている、快感
[服装]無し(服を着る習慣無し)
[装備]無し
[持物]基本支給品一式、H&KUSP45(8/12)、H&KUSP45予備マガジン(3)、
シグザウアーP226(15/15)、シグザウアーP226予備マガジン(3)、
ブローニングオート5(4/5)、12ゲージショットシェル(15)、SVT-40(10/10)、
SVT-40予備マガジン(5)、ダマスカスソード
[思考]
1:殺し合いに乗る。優勝を目指す。可愛い女の子は犯してから殺す。
2:ふぅ…気持ち良い…。
[備考]
※放送は聞いています。


※打刀は破壊され廃工場内に放棄されました。


大往生ってこんなに凄絶だったっけ 時系列順 磨きがかかるマイペース共
大往生ってこんなに凄絶だったっけ 投下順 磨きがかかるマイペース共

見せ掛けの選択無き道 犬神彰浩 死亡
心無口に心静かで心弄んでみても アインリア どうあがいても深淵の闇

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最終更新:2011年02月27日 02:22
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