もしも神がいるのなら……。


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40話 もしも神がいるのなら……。


「…落ち着いたか?」
「ぐすっ……うん」

目を真っ赤に腫らしたフェリシアを、大神勇吾は優しく気遣う。
放送で彼女の知人である「ガロン」の名前が呼ばれた時、
フェリシアは「嘘だ」「信じない」と激しく取り乱し、泣き喚いた。
その様子は見ていてとても痛ましいものだったと、当事者である勇吾は思う。

「…ガロン…ガロン…」
「……」

泣き止んだとは言えフェリシアはまだ精神的なショックから完全に立ち直ったとは言い切れない。
そう言えば、放送で呼ばれた名前の中には、分校跡を調べに別行動を取っている、
岸沼良樹と大沢木小鉄の知人の名前も含まれていた。

(あいつら、大丈夫だろうな…)

知人を失い今までのフェリシアのようにショックを受けているのでは、
また、彼らが調べに行った分校跡のあるエリアは禁止エリアに指定された。
気を付けてくれれば良いのだが。

(…様子が気になるが…もし入れ違いになったらそれこそマズイしな)

「…ヨシキと小鉄君、大丈夫かな…」
「…ああ…」

良樹と小鉄の事が段々と心配になってくる二人。
その時教会入口の扉が音を立てて開いた。

「!」
「ヨシキ、小鉄君?」

二人が帰ってきたのかと、勇吾とフェリシアは思ったが――。

「…おや、俺と同じ人狼に、猫女か…」
「……! 誰だ!?」

教会内に入ってきたのは灰色の毛皮を持った人狼の男だった。
右手には回転式拳銃と思しき物を持っている。

「…俺は大槻牙信。あんたらは?」
「…大神勇吾」
「フ、フェリシアよ」
「ふぅん……」

牙信は二人を交互に見ながらゆっくりと歩き距離を詰め始めた。
何か不穏な気配を感じ勇吾とフェリシアは身構える。

「…残念」
「……何?」

牙信の言った言葉が理解出来ず勇吾が聞き返す。

ダァン!

直後、一発の銃声が響いた。
勇吾は胸元に衝撃を感じる。見れば、胸元から血が溢れていた。
ドクン、ドクンと脈が打つ度に噴水のように血が噴き出る。

「……え? う、嘘、い、嫌あああ!! ユーゴ!!」
「……ッ…は……ふ、フェリシア……逃げ」

言い終わる前に、ユーゴの意識は消失し、身体が床に崩れ落ちた。

「う、うわああああああ!!」

不安定になっていたフェリシアの精神が更に、勇吾の死によって揺さぶられ、壊れそうになる。

「…残念。フェリシアちゃんだっけ? あんた、人間じゃないしなー。
人間だったら丁度食べ頃だったのに」
「……!」

牙信の下卑た言葉の数々に、フェリシアの怒りが燃え上がる。

「…許さない…許さない許さない許さない!! 殺してやる!!」

鋭い爪を翳し、フェリシアが獣の表情で牙信に向かって突進して行く。
牙信はフェリシアに向けて回転式拳銃――コルトキングコブラの引き金を再び引いた。

ダァン!

フェリシアの右肩が大きく抉れ血が噴き出るが、彼女の怒りの突進を止めるには至らない。
そして、牙信に大きく飛び掛かり、右手の爪を渾身の力で振り下ろした。

ドガァッ!!

だが――それは床を大きく抉るだけに終わる。
寸での所で牙信が身体を横に捻り、かわしたのだ。

「甘いんだよ…!」

勝利を確信した牙信は弾倉に最後の一発が残ったキングコブラの銃口を、
フェリシアの胸元に向ける。
だが、フェリシアは思いも寄らぬ行動に出た。
床に突っ込ませた右手を軸に大きく下半身を捻り、凄まじい速さで、
牙信の横面めがけて回し蹴りを放ったのだ。

「!! な―――!?」

流石に牙信もこれは想定していなかった。

そして、銃声と、何かが思い切りぶつかったような鈍い音が聖堂内に響いた。




「……う」

首が有り得ない方向に曲がった人狼の死体の傍で、
フェリシアは腹に空いた大きな穴に目をやる。
真っ赤な血液が絶え間なく噴き出る。血溜まりが見る見る内に広がって行く。
喉の奥から鉄錆の味がする液体が込み上げる。

もうすぐ、自分も死ぬ。勇吾や、この襲撃者の狼男のように、そして、ガロンのように。

「ガロン……今から私も…そっちに行くからね」

暗くなっていく視界の中、震える声で、フェリシアはそう呟いた。



【大神勇吾@ブラッディロアシリーズ  死亡】
【大槻牙信@オリキャラ・男  死亡】
【フェリシア@ヴァンパイアシリーズ  死亡】
【残り15人】



Two cruel people 時系列順 直美千里行
Two cruel people 投下順 直美千里行
頭が四つもあれば発想も……。 フェリシア 死亡
頭が四つもあれば発想も……。 大神勇吾 死亡
蒼見えぬ木下闇 大槻牙信 死亡
ツールボックス

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