不実な夢に溺れた僕は

38話 不実な夢に溺れた僕は


「裕也! 何て事するの…小さな動物を虐めるなんて」
「……」
「うさぎだって命なのよ…蹴られたりしたら痛いの」
「よせ…春奈…裕也」
「……」
「命を弄んではいけない…分かるね」


(ウゼェ……命に差が無い事ぐれぇ分かってるよ。だからやってんだろ)


(兄貴も姉貴も…俺よりちょっと早く生まれたからって偉そうに…俺とアンタらは
違う人種なんだよ…分かりあえる訳ねぇだろ……)



◆◆◆



(ここには口うるさい兄貴も姉貴もいない……俺の好きなようにやれる。
あの学校の時と同じように……全く気分が良い……そう、こんな風にな)

朽ち果てた豪邸の前で、刻命裕也は血塗れで地面に倒れる、
コートを着た金髪の女性と青と白の毛皮を持つ狼を見下ろしていた。

「はぁ…はぁー……う……い、痛い……!」

金髪女性――浅井きららは銃撃を受けた腹を押さえ苦しむ。
今まで感じたどの痛みとも違う暴力的な痛覚が気絶さえ許さない。

「ヴ……ヴヴヴヴ」

狼――シクルゥは、何とか立ち上がろうとするが、
胸と腹に空いた穴から血が噴き出し、それを阻んだ。

「無様だなぁ……ピクピク痙攣して」

笑みを浮かべながら刻命は、一人と一匹を銃撃するのに使用した回転式拳銃、
S&WM629クラシックを、まずはきららに向ける。

「い、嫌、嫌いやイヤ………!!」

きららが最期に目に焼き付けた光景は、銃口を向けながら歪んだ笑みを浮かべる少年の顔だった。

ダァン!!

.44マグナム弾の弾丸がきららの左目を撃ち抜き、後方に血と脳漿の雨を降らせる。
反動できららの身体が大きくビクンと震えた。
そして、刻命は次に血塗れで立ち上がろうともがく狼に視線を向ける。

「ウッ…グルルルルル」

牙を剥き出し威嚇するシクルゥだが、動く事が出来なければ然程意味をなさない。

(うう……身体が……言う事を聞かない……死ぬのか…こんな……。
……死ぬ……誰が? ……嘘、だろ?)

拳銃を持ち、ゆっくりと近付いて来る少年を見詰めながら、
シクルゥは生まれて初めて死の恐怖と言うものを感じていた。
まだ死にたくない。生きて主人であるレラの元に帰りたい。
こんな見知らぬ土地で、こんな見知らぬ少年の手に掛かるのは嫌だった。

(冗談じゃない、やめろ、やめろ……やめ……!!)



ダァン!!



「さてと…この辺は禁止エリアになるみたいだしな…装備を貰って、
さっさと移動するとするか……」

頭が吹き飛んだ狼と金髪の女性の死体を交互に見ながら、
刻命は一人と一匹の武装を回収し始めた。



【シクルゥ@サムライスピリッツシリーズ  死亡】
【浅井きらら@オリキャラ・再戦組  死亡】
【残り18人】



【一日目/午前/G-2豪邸付近】
【刻命裕也@コープスパーティーBCRF】
[状態]良好
[装備]S&WM629クラシック(0/6)
[道具]基本支給品一式、.44マグナム弾(18)、クロスボウ(1/1)、クロスボウの矢(15)、
サバイバルナイフ、スペツナズナイフ(2)、数字の羅列が書かれた紙
[思考]
1:殺し合いを楽しむ。
[備考]
※Cp3にて持田由香と遭遇する前からの参戦です。


※G-2一帯に銃声が響きました。



揺れる蜃気楼 時系列順 Two cruel people
揺れる蜃気楼 投下順 Two cruel people
あの日貴方を塗り替えた幻 刻命裕也 青年は牡馬の夢を見る
ここまで来るともはや立派な動物虐待 浅井きらら 死亡
ここまで来るともはや立派な動物虐待 シクルゥ 死亡

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最終更新:2011年01月25日 20:28
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