解らない訊きたくないまだ真実は


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33話 解らない訊きたくないまだ真実は


エリアA-4市街地の一角。
岸沼良樹と大沢木小鉄はとある廃墟内にて放送を聞いた。

『……これより、第一回定時放送を始めます』

「…男か…この声」
「こいつがこの殺し合いのボスなのか…?」

良樹と小鉄は初めて耳にする主催側の人物の声に傾聴する。

『まずは禁止エリアから。午前9時より、B-4、D-4、E-1、E-5、G-2の五つ』

指定されたエリアに印と時刻を書き込む二人。
拠点にしている教会のあるエリアは大丈夫のようだが、
これから行こうと思っていた分校跡のあるエリアが禁止エリアに指定されてしまった。

『次に、午前8時までの死亡者の氏名を五十音順で発表します』

「……!」
「死者……」

いよいよこの四時間の間に死亡した者が明らかになる。
良樹と小鉄は、それぞれ知人友人の無事を祈りつつ、耳を傾けた。

『阿部高和』

まず一人目。二人共知らない名前だった。

『いろは』

二人目。

『ガオガモン』

三人目。まだ知らない名前である。

『ガロン』

「!」
「ガロンって…確かフェリシアの」

小鉄と良樹が教会で待機しているフェリシアから聞いていたガロンの名前が呼ばれた。
しかし考える間も無く次々と死者の名前は呼ばれる。

『清原サトコ』
『倉沢ほのか』
『シェリー・ラクソマーコス』

そして三人程、知らない名前が呼ばれた。
だが――。

『篠崎あゆみ』

「……え?」

良樹は自分の耳を疑う。今、確かに、自分の良く知っている名前が――。

『シリウス』
『鈴木正一郎』
『鈴木宥』
『田々邊福男』
『月神雄牙』
『春巻龍』

「なっ…! 嘘だろ…春巻が」

担任教諭の名前が呼ばれ、衝撃を受ける小鉄。

『真鏡名ミナ』
『三浦京太』
『道下正樹』
『以上、17人です。これにて第一回放送を終了します。
残り26人の皆様のご健闘をお祈りします……』

サイレンが再び鳴り響き、放送の終了を告げた。
放送内容自体は非常に淡々とした完結なものだったが、
良樹と小鉄に多大な衝撃を与えるのには十分だった。特に良樹は深刻だった。

「……」

篠崎あゆみ。しのざきあゆみ。シノザキアユミ。shinozakiayumi。
何度も何度も死者として放送で呼ばれたその名前を心の中で反芻する。
間違いであって欲しいと彼は願ったが、一字一句違わない。
紛れも無く、彼が知っている「篠崎あゆみ」の名前――それが放送で呼ばれた。
「死者」として。

「…ああああぁあぁぁああああぁああぁぁぁああ!!!!」
「! よ、良樹にーちゃん…」

突然頭を抱えて大声を張り上げる良樹に小鉄が驚いた。

「う、嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だ、嘘だああああああ……あいつが、あいつが死んだなんて…!!
信じねぇ、俺は信じねぇぞ!! し…信じてたまるかぁぁあぁあ」
「良樹、にーちゃん……」
「ハァ、ハァ、ハァ……うっ……うううう……」

いくら頭で否定しようとしても、僅かに残った理性が、
「篠崎あゆみ」の死を受け入れようとする。
それが良樹本人にとって何よりも耐え難い事だった。

「……」

床に突っ伏し嗚咽を漏らす良樹を、小鉄はどうする事も出来ず、見ているしか無い。
こういう時どうすれば良いのだろう。
今まで楽しく遊ぶ事しか考えてこなかった小鉄にとってその答えを導き出すのは、
余りにも難しかった。

ダァン!

「うわっ!」
「!!」

突然、一発の銃声が響いた。
驚いて我に返った良樹は、廃墟入口付近に拳銃らしき物をこちらに向けて立つ、
小鉄と同年代ぐらいの、頭に星のマークがある少年の姿を認めた。

「じ、仁!」
「小鉄っちゃん……久し振り」

少年――土井津仁は、コルトディテクティヴスペシャルの銃口を親友である小鉄と、
その隣にいる良樹に向けながら話した。

「な、何してんだよ仁、何でそんな物向けるんだよ!?」

小鉄には、親友であるはずの仁が自分に危険な銃を向けていると言う事実は受け入れ難かった。
先程の銃撃も、ほぼ間違い無く仁によるものなのだろう。
つまり、自分や良樹に向けて、親友は銃弾を放った。何故?

「……優勝したら、大金持ち……」
「……は?」

仁の言った事がすぐに理解出来ず、疑問符を投げ掛ける小鉄。
そこへ良樹が横槍を入れた。

「…『優勝したら、一つだけ願いを叶える』…って、ルールにあったな…それか」
「……! 仁、お前……!」
「…そうだよ。優勝して、願いを叶えて貰う……もう、貧乏から、抜け出せる……!」

小鉄は親友が自分に銃を向ける理由をようやく理解した。
そして、理解するのと同時に沸々と怒りが小鉄の中に沸き起こる。

「ふ…ふざけんなよ!! お前はそんな…自分の欲望のために、
平気で友達殺せるような奴じゃ無いはずだろ!? 目ェ覚ませよ仁!!
んな事してお前の母ちゃん喜ぶとでも――」
「うるさい!!」

ダァン!!

二発目の銃声が小鉄の怒号をかき消した。
左頬に痛みを感じた小鉄がそこに手をやると、手の平が赤い液体に塗れていた。

「う、あ」
「小鉄…! 大丈夫か!?」
「…誰にも僕の邪魔はさせない…小鉄っちゃんでも例外じゃ無い!
みんな殺す! 春巻先生も、篠崎あゆみって人も殺した!! もう後戻りなんて、
出来ないんだよ!!」



「――何だって?」



良樹の顔色が変わった。
それは「春巻先生を殺した」と言う仁の言葉を聞いた小鉄にも言える事だったが、
良樹のそれは小鉄のそれを遥かに凌いでいた。

「今、なんつった、お前…篠崎を、何だって?」
「よ、良樹、にーちゃん?」
「……お兄さん、あのあゆみって人の知り合いなの?
言ったでしょ? 僕が『殺した』って」

殺した。殺した? 目の前の仁と言う小鉄の友人が、誰を?
篠崎、あゆみ。殺した? 篠崎あゆみを―――仁が、殺した。
良樹の中で、何かが音を立てて切れた。

ドゴッ!!

「―――ぁ」

次の瞬間、良樹の全体重をかけた渾身の蹴りが、仁の腹にまともに入り、
仁は短い悲鳴を上げて軽く数メートル吹き飛ばされた。
その際、持っていたディテクティヴスペシャルを手離し床に落としてしまう。

「げ、げえええええっ、げほっ、げほっ」
「――お前が」

腹を押さえて床に這い蹲り血反吐を吐く仁に、静かな声でそう言いながら、
ゆっくりと良樹が近付いて行く。

「――お前が篠崎を殺したのかああああああああああ!!!!!」

そして、良樹は床に倒れた仁を何度も何度も蹴り、踏み付けた。
どう考えても高校生の男子の力で小学校低学年の児童の身体を蹴ったり踏んだりすれば、
タダで済むはずが無い。

「ぎゃ、あああ、ああああ!! 痛い、痛い、痛い!!」
「お前が! お前が!! このクソガキ!! よくも!! よくもおお!!
死ね!! 死ね!! 死ね!!」
「ゴフッ、げ、ェ、アアアアアアアアアアア!!! ご、でっちゃ、だすゲ、デ!!
こて、ちゃあ゛っ、ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛―――――――――!!!!」

悲鳴を上げながら、歯の折れ血に塗れた口で、仁は先程まで殺そうとしていた親友に
助けを求めた。

「あ……ああ……」

だが、小鉄は震えるばかりで動こうとしない。いや、動けなかった。
信じていた親友が、殺し合いに乗っており、既に二人を殺し、その上その二人とは、
親友と自分の担任教諭と、同行者のクラスメイト。更に、親友は自分と同行者に銃を向け、
本気で殺そうとした。
信じ難い現実の連続、更に今まで見た事が無い、良樹の――人の怒り、憎悪を見せ付けられ、
小鉄の精神は憔悴し切り、思考回路を大幅に鈍らせた。
もっとも、良樹の烈火の激情を止める事など、平常時でももはや不可能だっただろうが。

「ご、でっ、ぢ、ゃ、ぁ――――」

バキィ!!

そして、渾身の蹴り上げが、仁の顔面に入った。
直後、仁は動かなくなった。
何度も何度も蹴られ踏まれた仁は血塗れで、手足が有り得ない方向に曲がり、
皮膚は痣だらけ、顔面はとても直視出来ない程酷く損傷していた。

「ハァー、ハァー、ハァー…………!」

両目から大粒の涙を流し、激しく肩を上下させていた良樹だったが、
ふと我に返ると、床に転がる血塗れの少年と、返り血で汚れた自分の足を見て愕然とした。

「あ……お、俺……」

殺してしまった。怒りに任せて、自分は幼い少年を蹴り殺してしまった。
一気に激情は冷めて生き、自分もこの少年のように人殺しになってしまったと、
強い罪悪感が良樹を襲う。

「……うあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
「!?」

突然、背後から聞こえた叫び声に良樹は驚き、振り向く。
小鉄が頭を両手で抱え、涙を流しながら声を張り上げていた。

「もう嫌だああああああああああああ!!!!」

そして、半狂乱になった小鉄は良樹を押しのけ、廃墟から飛び出し、
拠点である教会の方向へと走り去ってしまった。
但し、この時の小鉄には教会へ行くと言う思惑は無く、その方向に走ったのは偶然だった。

「こ、小鉄!! 待て!!」

放っておく事など出来ない。
まだ自身も悲しみや怒りで全く整理がついていない心境だったが、
良樹は小鉄を走って追いかけた。



【土井津仁@浦安鉄筋家族  死亡】
【残り25人】



【一日目/午前/A-4市街地跡】
【岸沼良樹@コープスパーティーBCRF】
[状態]深い悲しみ、罪悪感、足が血塗れ、大沢木小鉄を追いかけている
[装備]FNブローニングハイパワー(13/13)、工事用ヘルメット
[道具]基本支給品一式、FNブローニングハイパワーのマガジン(3)
[思考]
1:篠崎……。
2:小鉄を追いかける。
[備考]
※本編Cp2で鉄槌の男に殴られ気絶させられた直後からの参戦です。
※土井津仁、春巻龍の特徴を大沢木小鉄から、ガロンの特徴をフェリシアから聞きました。

【大沢木小鉄@浦安鉄筋家族】
[状態]左頬に傷、錯乱、A-2教会方面へ走っている
[装備]コルトM1908ベストポケット(6/6)
[道具]基本支給品一式、コルトM1908ベストポケットのマガジン(3)
[思考]
1:ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
[備考]
※ガロンの特徴をフェリシアから、中嶋直美、篠原世以子、篠崎あゆみの特徴を
岸沼良樹から聞きました。


※A-4市街地跡の一角にある廃墟内に土井津仁の死体及び所持品が放置されています。


俺得ロワ4th第一回放送 時系列順 飛べない鳥達のレクイエムがまた
俺得ロワ4th第一回放送 投下順 飛べない鳥達のレクイエムがまた
頭が四つもあれば発想も……。 岸沼良樹 虚空の深い吐息
頭が四つもあれば発想も……。 大沢木小鉄 虚空の深い吐息
精神崩壊クラッシュミタル 土井津仁 死亡
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