32話 俺得ロワ4th第一回放送
島の至る所に設置されたスピーカーから、大音量のサイレンが鳴り響く。
そのまるで何かの鳴き声のような音は聞く者の心を不安にさせた。
そしてサイレンが鳴り止み、僅かな静寂の後、いよいよ放送が始まった。
声は、やや低めの若い男の声だった。
『……これより、第一回定時放送を始めます。
まずは禁止エリアから。
午前9時より、B-4、D-4、E-1、E-5、G-2の五つ。
繰り返します。午前9時より、B-4、D-4、E-1、E-5、G-2の五つです。
次に、午前8時までの死亡者の氏名を五十音順で発表します。
阿部高和
いろは
ガオガモン
ガロン
清原サトコ
倉沢ほのか
シェリー・ラクソマーコス
篠崎あゆみ
シリウス
鈴木正一郎
鈴木宥
田々邊福男
月神雄牙
春巻龍
真鏡名ミナ
三浦京太
道下正樹
以上、17人です。
これにて第一回放送を終了します。
残り26人の皆様のご健闘をお祈りします……』
再び大音量のサイレンが鳴り、放送は終わった。
◆◆◆
「……ふぅ」
放送機器が置かれた殺風景な部屋で、一人の男が一息つく。
「……比叡サン」
「ん? あー、サチコ君」
その男の元に、血のように赤いワンピースを着た少女が現れる。
そう、「現れた」のだ。扉から入ってきた訳では無く、ふっと姿を見せた。
「上手ク、行ッテル?」
「ん、ああ……もう17人死んだよ。何だか幽霊になってウロウロしてるのもいるな」
「…クスクスクス」
殺し合いの経過を聞き、サチコと呼ばれた少女は満足そうに笑い始める。
「まだ喜ぶのは早いぜ。この殺し合いが終わらないと、
死んだ奴の魂はお前のお母さんのトコには送れないからな」
「ウン、分カッテル……ウフフ……」
スッ、と、サチコの姿が消えた。
部屋には男一人が残される。
「……」
ほんの一瞬だけ、男――比叡憲武こと◆ymCx/I3enUが、
憐れむような表情を浮かべたが、彼はすぐに仕事に戻った。
【残り26人】
【一日目/午前/?-?運営本部】
【比叡憲武(◆ymCx/I3enU)@???】
[状態]良好
[装備]無し
[道具]無し
[思考]
1:殺し合いの完遂。
[備考]
※特に無し。
【篠崎サチコ@コープスパーティーBCRF】
[状態]良好
[装備]無し
[道具]無し
[思考]
1:オ母サンノ所ヘ……一杯……。
[備考]
※少なくともCp4より前からの参戦です。
最終更新:2011年01月22日 01:27