狼の使い魔と食堂のおっちゃん


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第八話≪狼の使い魔と食堂のおっちゃん≫

俺、黒牙(こくが)は、林道に沿って山を下りていた。
今の目標はただ一つ、使い魔である自分のマスターである
弓那(大木弓那 おおき・ゆみな)を探し出し、
こんな理不尽なゲーム――バトルロワイアルから脱出する事。
そのためにまず弓那を探さないと……正直どこにいるか全く分からないけど。

いつものようにテレパシーを使って探そうと思ったら
テレパシーが全く使えない。
いやそれどころか俺の特殊能力ほぼ全て使えなくなっている。
これは、運営側が何かゴチョゴチョやったんじゃないかと思う。
しかし、だから何だと言うのか。特殊能力が使えなくとも戦う事は出来るさ。

だが、さっき自分のランダム支給品を確認したけど、
出てきたのは新品のビデオテープ3点セット。
ビデオテープでどうやって戦えと言うのか。ふざけ過ぎだ。
それとこの首輪……爆発するとは物騒だし危険だな、何とか外せないものか。
弓那に首輪はめてもらえるなら大歓迎だしそれなら外したく無いけどな~。
それでリード付けて散歩してもらったり
そして****な事や****したり****しちゃったりwwwwうはwwww
……はっ、いやいや妙な妄想はやめておこう。うん。

やがて林を抜けた。辺りは草原で、すぐ近くに道路と酒場らしき建物がある。
海が近いのかな、風に乗って潮の香りがする。
とりあえずあの酒場に入ってみようか。

カラン、カラン……。
入口の扉を開けると、扉に仕掛けられていた鈴が鳴る。

「誰だ?」

店の奥から年配の男の声がした。俺は咄嗟に身構える。

「あー待て待て。俺は殺し合いにゃ乗ってねぇよ」

男は殺し合いには乗っていないと言うが……。
迂闊に信用する訳にはいかないな。
入口の扉を閉めて、カウンターの椅子に座った男に近付く。
男は白い……ラーメン屋の主人が着るような白い服を着た
50代ぐらいの人間のオッサンだった。
どうも顔が赤いように見える。男の前のカウンター上には
ウィスキーボトルとグラスが。飲んでるのか?

「本当に殺し合いには乗ってないんですか?」
「乗ってねぇっつってんだろ~。まあここ座れや。ここ座れや」
「えっ、ちょ……」

俺はオッサンに無理矢理オッサンの隣の席に座らされた。
オッサンの吐息が物凄く酒臭い……。

「俺は川田喜雄(かわだ・よしお)っつーんだ。
食堂やってんだよ、よろしくなぁ。
いきなりこんな殺し合いなんか呼ばれて参っちまってんだよ。
この酒場見っけて、中に入っても誰もいねーから
ウィスキー失敬してたって訳だ。
お前はなんつーんだ名前ェは、狼の兄ちゃんよォ」

オッサンは自己紹介をするとグラスにウィスキーを注ぎ、
それを口に流し込んだ。

「あー、俺は黒牙って言います。使い魔やってるんです」

俺も自己紹介する。どうも本当に乗ってはいないようだ。
飲んだくれみたいだけど。

「ふーん使い魔ねぇ……まあいいや。お前ェも飲め」

そう言って川田さんは別のグラスに氷を入れてウィスキーを注ぎ始める。
いや、はっきり言って俺は酒飲んでる場合じゃない。
早く弓那を探さなくてはならないのだ。

「あ、いや、俺ちょっと知り合いを探さなくちゃならないので……」
「ん? あ~そうか……そりゃ悪かったな。早く探してやんな。
あーでもこれついじゃったからこれ一杯だけは飲んでけ」

無理に引き止められると思っていたけど案外あっさり退席を承諾してくれた。
しかし新しくついだウィスキーを飲めと勧められる。
一杯だけなら、と思いグラスの中のウィスキーを口から流し込んだ。
……やっぱりウィスキーのストレートはきつい。喉が焼けそうだ。

「ぷはっ! ……ゼェ、ゼェ、ごちそうさまです。そ、それじゃ、これで」

一刻も早く弓那を探さなくては。俺は酒場を後にした。

「無事でいてくれ……弓那」


【一日目/明朝/B-3酒場付近】

【黒牙】
[状態]:健康、酒気帯び(軽度)
[装備]:無し
[所持品]:基本支給品一式、ビデオテープ(3)
[思考・行動]
基本:マスターである大木弓那を探し出し、この殺し合いから脱出する手段を模索する。
1:進んで殺し合いはしないが、襲い掛かってくる者には容赦しない。
2:首輪の解除方法も探したい。
[備考]
※彼の特殊能力は全て封印されているようです。




「ったく、本当に面倒な事になっちまったぜ」

黒牙って名乗った狼の兄ちゃんが出てった後、
俺は再び自分のグラスにウィスキーをつぎ始めた。
俺は単なる食堂の主人だぞ?
トンカツ定食とかラーメンとかそういうの売ってるだけだぞ。
何だって殺し合いなんかしなきゃいけねえんだ。
グラスの中のウィスキーを飲み干す。
……ふう、うめえ。やっぱウィスキーはストレートだな。

「しっかし俺が死んだら、川田屋はどうなるんだ……あ、いや、
喜之の奴がいるから大丈夫か」

川田屋とは俺の経営する食堂の名前、喜之とは俺のせがれで板前を務めてる。
あいつならきっと立派に川田屋を経営してくれるはずだ。
俺は……はっきり言おう。多分、生き残れない。
決して死にたい訳じゃ無い、生き残りたいとは思うけどな。
ただの食堂経営者で飲んだくれである自分が
殺し合いなどという異常状況で生存出来る可能性など、
それこそ砂浜に落ちたダイヤモンドが見つかる確率とほぼ同等だろう。
名簿には俺の店の常連客の名前が数人あったが、
親しい訳でも無いので俺を助けてくれるかどうかは全く分からない。
おまけに首にはめられた首輪は逃げようとしたり、
無理に外そうとしたりすっと爆発するって言うじゃねえか。

「けっ……なすようになれ!!」

俺は半ばヤケになりながら、ウィスキーを再び口に運んだ。


【一日目/明朝/B-3酒場】

【川田喜雄】
[状態]:酩酊状態、自暴自棄
[装備]:不明
[所持品]:基本支給品一式(水一本消費中)、不明支給品(1~2個)
[思考・行動]
基本:なすようになる。とりあえず酒を飲む。
[備考]
※参加者の中に彼の店の常連客が何人かいるようです。





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