その男、非常に危険につき

11話:その男、非常に危険につき


その塔は、何百年も前に軍事要塞として建設されたものだった。
故に、幾つもの砲台が海の方に向けられたまま錆付いて風化している。
中には砲弾が装填されたままの物もある。
建物の中にはかつて使われていた備品や武器が朽ち果てた状態で残っていた。
木製の椅子にテーブル、空っぽの棚、ランタン、壊れた小銃、薬莢……。

「……」

塔の四階部分。それらの遺留物を見ながら、青年、刻命裕也は塔の中を歩いて回っていた。
右手には支給品であるサバイバルナイフが握られている。

「殺し合いか……」

首にはめられた首輪を触りながら刻命は呟く。
クラスメイトの黒崎らととあるお呪いをした後、天神小学校に飛ばされたはずだったが、
気が付けば、見知らぬ土地におり、首輪をはめられ何者かから殺し合いを命じられた。

「…フククッ」

面白そうだ、と刻命は思う。
首輪で生殺与奪を握られたのは気に食わないが、
殺し合って生き延びろと言う事には何ら抵抗は無い。

(殺し合いか…良いな…面白いじゃないか……そうと決まれば……)

「おい、ちょっと良いか」
「ん……」

突然声を掛けられ刻命は足を止めた。

(? 何だ、他校の奴か…?)

「俺は鈴木正一郎って言うんだが……」
「…俺は刻命裕也。あんたもこの殺し合いの参加者の一人か、名簿に名前、あったしな」
「ああ……」

鈴木正一郎は声を掛けた目の前の、自分とは別の高校の制服を着た青年の雰囲気が気になった。
一見平穏そうに見えるが、どこか引っ掛かるものがある。
しかし、以前参加していた殺し合いで、正一郎は一方的な価値観で複数の人間を
殺し合いに乗っていると決め付け、悪だと決め付け殺害し、結果激しく後悔した経緯があった。
そのため正一郎は慎重に刻命を推し量ろうとしていた。

「刻命、だったか。俺は」

ドスッ。

言い終わらない内に、正一郎は腹に違和感を感じた。
その違和感は、すぐに強烈な熱となり襲い掛かる。

「…う…!? ぐ、あ、あぁあああぁ!!」

鮮血に染まる腹を押さえ、崩れ落ちる正一郎。
刻命は正一郎からデイパックを奪い取った。

「残念だったな鈴木さんよ…俺はこの殺し合いに賛成の立場なんだよ」
「……ッ!!」

愉快そうに言い放つ刻命に、正一郎は自分の不甲斐なさを恥じた。
この男は推し量るまでも無かった。様々な尺度はあれど、この男は、
間違い無く「悪」に分類出来る男――――最初の雰囲気の時点で気付くべきだった。

「じゃあな」

刻命は冷酷にそう言い放つと、正一郎を足蹴にした。
そして、床が崩れ、遥か下の階まで続く穴に、正一郎は落ちる事になる。

「……キ ザ ミィィィィィィ!!!」

奈落へと落ち行く中、正一郎は最期の力を振り絞って叫んだ。

グシャッ、と、嫌な音が穴の底から響き、刻命は再び笑い始める。

「フハハハハハ! 良いぞ、この感覚…! アハハハハ……アァイ!!」

◆◆◆

「何か音がしたと思えば…鈴木君」

塔の一階に辿り着いた倉沢ほのかは、一階奥から響いた妙な物音に誘われ、
調べに行ったのだが、そこで彼女はクラスメイトの一人の無惨な亡骸を目にする。

「上から落ちたの…?」

鈴木正一郎の死体は死後まも無く、損壊が激しかった。
どうやら天井に空いた穴から落ちてきたようだった。それとも落とされたのだろうか。
穴の上の方から誰かの笑い声が聞こえてくる。

「…誰かいるみたい……誰であっても……殺すだけだけどね……!」

興味を失ったのか、正一郎の死体から離れると、クロスボウを携えたほのかは、
上の階へ続く階段を昇り始めた。


【鈴木正一郎@自作キャラでバトルロワイアル  死亡】
【残り40人】


【一日目/早朝/E-1塔】
【刻命裕也@コープスパーティーBCRF】
[状態]良好
[装備]サバイバルナイフ
[道具]基本支給品一式、鈴木正一郎のデイパック
[思考]
1:殺し合いを楽しむ。
[備考]
※Cp3にて持田由香と遭遇する前からの参戦です。
※塔の四階にいます。倉沢ほのかにはまだ気付いていません。

【倉沢ほのか@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]精神不安定
[装備]クロスボウ(1/1)
[道具]基本支給品一式、クロスボウの矢(15)、数字の羅列が書かれた紙
[思考]
1:裕也君を生き返らせるために優勝する。
2:北沢樹里は今度会ったら前以上に惨たらしく殺す。
3:塔の上の階へ昇る。
[備考]
※本編死亡後からの参戦です。
※長谷川泰三の外見を記憶しました。
※塔の上の階に誰かがいると踏んでいます。


※鈴木正一郎の死体は塔一階奥に激しく損壊した状態で放置されています。


≪支給品紹介≫
【サバイバルナイフ】 支給者:刻命裕也
軍事行動中に遭難などで他装備を失った場合に、
それのみで生存を計る目的で設計された大型のシース(鞘付き)ナイフ。
刃の背に金属を切断する鋸刃が設けられている。武器としての威力と堅牢性は高い。


吉凶どちらに転ぶかはまさに神のみぞ知る 時系列順 廃墟に行く時は厚着じゃないと危険
吉凶どちらに転ぶかはまさに神のみぞ知る 投下順 廃墟に行く時は厚着じゃないと危険
ゲーム開始 刻命裕也
ゲーム開始 鈴木正一郎 死亡
愛に狂うのかそれとも狂った愛なのか 倉沢ほのか

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最終更新:2011年01月04日 16:04
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