ある意味幸せな死に方

39話:ある意味幸せな死に方


「嘘…平崎が…死んだって…」
「そんな、蒼羅に遼平が…」
「…エルザにフォナが…死んだのか」

放送後、警察署内で、レイ・ブランチャード、香瀧宏叔、戸高綾瀬の三人は
それぞれ放送で知った知人友人の死に放心していた。
実感がわきにくかったが、嘘を言っているとは思えない。

「う、うあああ…何で、何で蒼羅が、遼平が…!? あの二人が何したって言うの…!」
「綾瀬さん…」

泣き崩れる綾瀬を宏叔が宥める。
宏叔自身も頬を涙が伝っていた。
レイは普段会話する機会も多かった女戦士エルザの死を、涙こそ流さなかったが悼んだ。

「ぐすっ…ヒック…あ、ありがとう、宏叔君…もう、大丈夫、ごめんね、宏叔君やレイも悲しいのに」
「い、いや…無理、無いですよ」
「…悲しい時は素直に泣いた方が良い」
「……レイは泣いてないように見えるけど」
「…それ程親密では無かったしな…悲しいのは事実だが」
「そう……」

所持品の医療ケースの中に入っていたポケットティッシュで涙を拭き取る綾瀬と宏叔。
二人が落ち着いた事を確認すると、レイは23人分の名前が横線で消された自分の
参加者名簿と、禁止エリアが書き込まれた地図に目をやる。
最初の四時間で参加者の約半数が脱落した。

(思っていたより進行のペースが速いな…そんなにやる気になっている奴がいるのか?
いや、それとも…)

単独で大勢殺害している実力者がいるのか、とレイは推察する。

(この分だとあまり猶予は無いのかもしれないな…なら)

「レイ?」
「……」
「どうかしたんですか?」

突然レイの様子が変わった事を不審に思う綾瀬と宏叔。
少し間を置いてレイが二人に話し始めた。

「綾瀬、宏叔、前に話したな。首輪の入手には死体から首輪を剥ぎ取るしか無いと」
「……うん、言ったよ」
「言いました、けど」
「……そうだ、だから……」

レイは持っていた自動小銃M1ガーランドの銃口を二人に向けた。

「すまないが死んで貰う」

ダァン!

「……あ?」

一発の銃声と同時に綾瀬は胸元に衝撃を感じた。
そして急速に意識は遠退いて行く。
何が起きたか分からなかったが、脳が機能を停止する最期の数秒間は、
彼女に自分の身に起きた事を理解させる事が出来た。

(私、撃たれ……? 何で、何でよ、レイ――――?)

ドサ、と言う重い音を部屋に響かせ綾瀬の身体を床に崩れ落ちた。
穴が空いた胸元から赤い液体が床に広がっていく。

「…え? え? 綾瀬さ、え? あ? あぁあぁああああああああああぁ!!? 何で!? 何で!!?」

宏叔が亡骸となった綾瀬に縋り付く。
だが、命を失い物体となった綾瀬は二度と動く事は無い。

「何で、何で殺したんですか!? 何で!!?」

大粒の涙を流し牙を剥き出しながら狐獣人の少年は噛み付くようにレイに怒りの咆哮をあげる。
レイは冷徹な表情を浮かべながら答えた。

「だから言っただろう。首輪を入手するには死体から奪うしか無いと」

その一言で、宏叔は全てを理解した。

「ま、まさか、綾瀬さんの首輪を…!?」
「思っていたより死者が出るペースが速いからなぁ。余りモタモタしてると手遅れになりそうだ。
悪いがお前ら二人は足手纏いと判断したんだよ」
「……!! こ、このおおおおぉおお!」

余りに非道なレイの言い分と手口に怒り狂った宏叔が飛びかかろうとするが、
即座に鳩尾にレイの重い足蹴りが入った。

「うぐっ!? ぉ、おお」

一瞬で呼吸が困難になり苦しみ悶え始める宏叔。

「弾が勿体無いな…これで死んで貰うぞ」

レイは下着を脱ぎ、宏叔のマズルを掴むと、そのまま腰をマズルに向け下ろした。

「むぐぅうぅ!?」

宏叔の狐のマズルがレイの温かな中へ入り込む。
狐少年の顔の上にしゃがむような体勢でレイがふぅ、と息を吐いた。
そしてマズルが入り込んだ中を力んで締め付ける。

「う……ん、ぐぅ、うぅうう!! う、ウ」
「どうだ? 私の中は…中々良い締まりだろう?」

鼻と口が真空状態のレイの内部にある宏叔は全く呼吸が出来なくなる。
手足をバタつかせ何とか逃れようとするがレイ自身の筋力は普通の女性より遥かに強い。
ましてや同年代の少年と比べても体力も力も無い宏叔がどうあがいても無駄だった。

「ゴ……おぉ、オ、ォ、…う……ウ………ぁ…………」

次第に宏叔の抵抗が弱くなってくる。
そして、数分後、ついに宏叔は数回身体を痙攣させた後、動かなくなった。

「逝ったか……んっ」

ズルッ、と、そこから宏叔のマズルを引き抜くレイ。

「この前発情期のワーウルフに襲われた時に即興で繰り出した技だったが、
まさかまた使う事になるとは……痛……少し濡らしてから入れるべきだったな……」

所持品のティッシュで軽く後始末をした後、下着を穿き、
二人分の死体に目をやる。
これで二つの首輪を入手できる事になる。

「すまんな…宏叔、綾瀬。短い間だったが楽しかったぞ……」

そう言いつつ、レイは綾瀬が持っていた青竜刀を拾い上げ、作業を開始した。



【戸高綾瀬    死亡】
【香瀧宏叔    死亡】
[残り25人]


【一日目/午前/D-3警察署】

【レイ・ブランチャード】
[状態]良好、局部に痛み
[装備]青竜刀
[持物]基本支給品一式、M1ガーランド(7/8)、 M1ガーランド装弾クリップ(5)
[思考・行動]
 基本:殺し合いからの脱出。首輪の調査を行いたい。手段は問わない。
 1:綾瀬、宏叔の死体から首輪を取り、解析する。
[備考]
 ※石川昭武、平崎吉治、立沢義、久保遼平、高原正封、冬月蒼羅の情報を得ました。


※銃声は警察署の外に少し漏れたようです。



相反する二人 時系列順 救いなど無い
相反する二人 投下順 救いなど無い

Police station where meaning doesn't exist 戸高綾瀬 死亡
Police station where meaning doesn't exist 香瀧宏叔 死亡
Police station where meaning doesn't exist レイ・ブランチャード 光の途絶

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最終更新:2010年12月27日 11:40
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