38話:相反する二人
「う…う」
気だるさが残る中、仮死状態から蘇生して間も無い狼の少女、藤堂リフィアは、
第一回放送で発表された情報を纏めていた。
「皐月さんは…生きてる、みたいだけど」
友人の無事は確認出来たが、既に50人いた参加者の内23人がたった四時間の間に
死亡しているという事実には衝撃を受けた。
次の四時間後には一ケタになっているのでは無いか。
いや、それまで自分が生きていられればの話だが。
同行していた久保遼平の名前も当然呼ばれたが、遼平を殺害し、自分を仮死状態に追い込んだ、
遼平の友人の狐獣人、高原正封の名前は呼ばれ無かった。
代わりに二人の友人と言う冬月蒼羅の名前は呼ばれた。
「……よい、しょ、と」
感覚が鈍っている手足で、リフィアは何とか立ち上がろうとする。
何度か転倒しつつ、どうにか立つ事が出来た。
傍に横たわる遼平の死体に目をやる。
このまま放置するのは忍び無かったが、埋葬する余力も道具も無い。
手だけ合わせ、リフィアはふらふらとその場を歩き去った。
まだ脱出する事を諦めた訳では無い。生きていれば何とかなるとリフィアは信じる。
◆
「リフィーはまだ生きてるんだ…」
公民館内で皐月眞矢は放送を聞き、クラスメイトの不死身狼娘の生存を確認する。
「それにしてもたった四時間で23人…凄いな…」
思っていたよりペースは早かった。
僅か四時間の内に参加者の約半数が死亡。
先程呼ばれた名前の中には自分が殺した二人も含まれているだろう。
禁止エリアはいずれも現在位置の公民館のあるエリアからは離れている。
取り敢えずは気にする必要は無さそうだ。
眞矢は支給された食糧で軽い食事を取る事にした。
「カレーパン…これで良いか」
包装を開けカレーパンを頬張る。
咀嚼しながら眞矢はこれからについて考えた。
(西に警察署があるみたいだし…そこに行ってみようかな)
地図を広げ、眞矢は次の行き先をエリアD-2の警察署に定めた。
「優勝…夢じゃないかもねぇ、ふふふ」
【一日目/午前/F-6森】
【藤堂リフィア】
[状態]胸元に貫通銃創(心臓は治癒)、手足の感覚がやや鈍っている
[装備]直刀
[持物]基本支給品一式
[思考・行動]
0:殺し合いには乗らない。脱出手段を探す。
1:森を抜ける。
[備考]
※手足の感覚は時間が経てば元に戻ります。
※高原正封、戸高綾瀬、冬月蒼羅の情報を得ました。
【一日目/午前/D-4公民館和室】
【皐月眞矢】
[状態]良好、食事中
[装備]レイ・ブランチャードの拳銃(10/14)
[持物]基本支給品一式(食糧消費中)、レイ・ブランチャードの拳銃マガジン(3)
コルトパイソン(1/6)、.357マグナム弾(18)、皐月眞矢のナース服
[思考・行動]
0:殺し合いに乗る。優勝を目指す。
1:しばらく食事、その後警察署へ。
2:友人(藤堂リフィア)には出来れば会いたくない。
[備考]
※特に無し。
最終更新:2010年12月27日 21:44