Police station where meaning doesn't exist

31話:Police station where meaning doesn't exist


ギイイ……。

「……」
「……」

警察署の裏口を警戒しながら青竜刀を持った戸高綾瀬が開け、
そしてトンプソンM1921サブマシンガンを持った香瀧宏叔が続く。
警察署の中は不気味な程静まり返り、朝方で電気も点けられていないため、
妙に薄暗かった。

「誰か、いるんでしょうか…」
「地図にも書いてある建物だし、いる可能性はあるわね……」

小声で会話する二人。
それぞれの友人や知り合いを探すため警察署にやって来たが、
殺し合いをやる気になっている者も集まっている可能性が高い。
下手に音を立てない方が得策だと、綾瀬も宏叔も考えていた。

様々な部署のオフィス、取調室、被疑者確認室、会議室…部屋を見て回るが今の所誰もいない。
そして二人が一階のトイレの前を通り掛かった時。

「くそっ、水が出ないとは…」

何やら不機嫌そうな女性の声がトイレの中から聞こえた。
直後、露出の高い格好をした少女がトイレから廊下に出る。

「! 誰だ!」

少女――レイ・ブランチャードはM1ガーランド自動小銃の銃口を綾瀬と宏叔の二人に向ける。

「ま、待って! 私達は殺し合う気は無いわ!」
「何?」
「ぼ、僕達、知り合いを探しているんです。一緒に何とかして脱出しようって……」
「……そうか。私もだ。殺し合いには乗っていない」

レイが銃口を下ろすと、綾瀬と宏叔はホッと胸を撫で下ろす。

「私はレイ・ブランチャードだ」
「私は戸高綾瀬…」
「僕は香瀧宏叔です」
「知り合いを捜していると言っていたが…」

綾瀬と宏叔はそれぞれ、自分の知り合いの情報をレイに話した。
しかしどの人物にもレイは会っていない、それ以前にこの殺し合いが始まってから、
綾瀬と宏叔の二人が最初に出会った他参加者だった。

「……すまない、この殺し合いで出会ったのはお前達が最初だ」
「そう…」
「そうですか…」

残念そうな表情を浮かべる二人。
レイ自身も知り合いは三人程呼ばれていた(内一人以外は捜す気は無い)ので、
気持ちは察する事が出来た。

「私も知り合いが呼ばれているからな…気持ちは分かる」
「レイさんも…大変ね…はぁ、本当、殺し合いなんてふざけてるわ」
「そうだな。酔狂も良い所だ……おまけに、首には爆弾付きの首輪と来た。
どうにかして外せないかと思っているんだがな……」

首にはめられた首輪を鬱陶しげな顔をしながら触るレイ。

「私も外す方法を探そうと思ってるのよ」
「ほう…奇遇だな。だが……まずは首輪を調べなくては何とも言えんな」
「そうよね……」
「首輪のサンプルを手に入れる必要があると見た」
「あ、私もそれ考えてたんだ。でも、どうやって手に入れればいいかな」

疑問を呈すように綾瀬が言うが、本人も薄々気付いていたように、方法は一つしか無い。

「死体の首を切れば良いだろう」
「ちょ……レイ……た、確かにそれ以外に無さそうだけど……」

分かってはいる事だが、実際に死体を損壊すると言う事は凄まじく抵抗があり罪悪感も半端では無い。
例えこの殺し合いから脱出する手段を捜すためだとしてもである。
そもそも綾瀬は普通の(変態趣味は除いて)大学生、宏叔も普通の(やはり変態趣味は除いて)高校生なのだ。
エンカウントモンスターと戦いある意味死と隣り合わせの生活を送るレイは二人とは場数が違う。
それ故、綾瀬が抵抗を感じて言い出せなかった首輪入手の方法もさらりと言ってしまった。

「お前が持っているその刀なんて打ってつけじゃないか? 綾瀬」
「切れ味、良さそうですもんね…」
「そう、だね……」

レイと宏叔の視線が綾瀬の持つ青竜刀に向けられる。

「…ところで、レイさんはここで何をしてたんですか?」
「警察署内を探索していたんだ。と言っても役に立ちそうな物は何も無かったが…。
それでさっき急にトイレに行きたくなってな、用を足したんだが、えらいもので、水が出なくてな」
「ああ、だからさっき…」

水が出ないと不機嫌な声を漏らしていたのかと、綾瀬と宏叔は思った。

「断水でもしてるのかな」
「いや、水道の水は出たから、多分、私が入った個室が故障中か何かだったのかもしれない。
……正直どうでも良い話だな。すまん」
「…いいよ別に。緊張してばっかじゃあれだし」

いつ襲われるか分からない緊張感と恐怖の中で、レイとの会話は久方ぶりに、
綾瀬と宏叔の心を和ませた。

「どうだ二人共、しばらくこの警察署を拠点にしては」
「うーん……」

二人は友人知人を捜したいと言う気持ちはあったが、
歩き疲れてもいたし、下手に動き回って危険な目に遭うのも避けたいとも考えていた。

「…しばらく、休みましょうか、宏叔君」
「え…で、でも」
「無理に捜しても危ないし……もしかしたらこの警察署に来るかもしれないよ?
ここ、目立つ建物だし……」
「……分かりました」

友人達が心配ではあったが、疲労の色は隠せず、綾瀬と宏叔は警察署でしばらく待機する事にした。


【一日目/朝方/D-2警察署】

【戸高綾瀬】
[状態]肉体的疲労(小)
[装備]青竜刀
[持物]基本支給品一式、ファイアクリスタル(2)
[思考・行動]
 基本:首輪の内部構造の調査及び解除。友人達を捜す。
 1:香瀧宏叔、レイと行動。しばらく警察署で休む。
 2:首輪のサンプルをどうやって入手するか…。
[備考]
 ※石川昭武、平崎吉治、立沢義の情報を得ました。

【香瀧宏叔】
[状態]肉体的疲労(小)
[装備]トンプソンM1921(50/50)
[持物]基本支給品一式、トンプソンM1921ドラムマガジン(5)、ファイアクリスタル
[思考・行動]
 基本:死にたくない。友人達や先生を見付けたい。
 1:戸高綾瀬、レイと行動。しばらく警察署で休む。
[備考]
 ※久保遼平、高原正封、冬月蒼羅の情報を得ました。

【レイ・ブランチャード】
[状態]良好
[装備]M1ガーランド(8/8)
[持物]基本支給品一式、M1ガーランド装弾クリップ(5)
[思考・行動]
 基本:殺し合いからの脱出。首輪の調査を行いたい。知人についてはエルザは捜索する。
 1:とりあえず綾瀬、宏叔と行動。
[備考]
 ※石川昭武、平崎吉治、立沢義、久保遼平、高原正封、冬月蒼羅の情報を得ました。
 ※警察署内を探索しましたが特に収穫は無かったようです。



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HENTAIは褒め言葉 戸高綾瀬 ある意味幸せな死に方
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最終更新:2010年12月21日 23:00
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