18話:時計仕掛けのマリオネット
森の中に建つ、木造の和風の旅館。
だが、瓦は壊れ、窓は割れ、微妙に建物自体も歪んでいる。
営業しなくなり久しいようだった。
比較的綺麗な状態の客室で、銀髪の売春婦、日宮まどか(ひみや-)は、
廃旅館にて遭遇した自分好みの黒と赤の身体を持った竜人体型の雄竜、ヘルムートとの
幾度もの行為の後始末を行っていた。
「うわぁ、濃~い……流石ドラゴンね」
「はぁ…はぁ…」
ヘルムートは恍惚とした表情で、畳の上にしかれた布団の上で仰向けになり、
ぼんやりと天井を眺めていた。
彼に取っては生まれて初めての異性との関係。
しかも相手は同族の竜では無く人間の女性。
言いしれぬ興奮と背徳感が、より一層彼を興奮させ、激しく女性の身体を味わう結果となった。
「…凄いです、ね…まどかさん…」
「まあね。商売でやってるし」
「……それで、まどかさん……結局、まどかさんは……」
「…ああ、その話…」
ヘルムートが布団の上で上体を起こしながらまどかに問う。
「…取り敢えず、疲れたでしょ。甘い物欲しく無い?」
「え? …あ、はい」
「これあげる。私の支給品の、激甘イチゴミルク」
まどかはヘルムートの問いには答えようとせず、自分のデイパックから、
瓶に入ったイチゴ牛乳三本を取り出し、ヘルムートに手渡した。
「全部飲んで良いよ」
「あ、ありがとうございます」
特に何の変哲も無い、ただ異常に甘くしてあるだけのイチゴ牛乳にしか見えなかったため、
ヘルムートは警戒もせずにその激甘イチゴミルクの一本を開け、口に注いだ。
ゴク、ゴクと、ヘルムートは激甘イチゴミルクを飲む。
「…甘! 甘ったるいんですけどコレ」
「そりゃあ激甘だからねぇ」
「あ…でも、おいしいです」
ヘルムートは味をしめたのか、一気に三本全てを飲んでしまった。
流石に気持ちが悪くなったのかヘルムートは口元を押さえる動作をする。
「うぷ…」
「大丈夫? ヘルムート君」
「だ、大丈夫……です……?」
ここでヘルムートは、頭の中が急に熱っぽくなるのを感じた。
いや、頭ばかりか身体そのものの体温が急上昇し始めている。
心臓の鼓動が早まり、次第に息が荒くなる。
「ねぇ、ヘルムート君…?」
まどかの声がどこか反響しているように聞こえた。心の底にまで響くような気さえする。
黒と赤の雄竜青年は自分の下腹部に飛び出している赤い―――を握り、
優しく上下に手を動かしながら語り掛けてくる銀髪の美女が先程までよりも妖艶かつ魅力的に見えた。
明らかに自分の様子がおかしくなっている事にも気付いてはいたが、
本能の方がそれに勝った。
「私ね…この殺し合いで優勝したいの…でもね」
「…あ…はい…」
「私一人じゃちょっとキツイのよ…だからね、ヘルムート君、手伝って欲しいの。
私のために、戦ってくれる? 盾になってくれる?」
「……ッ」
次第に高まる自身の象徴への快感の中、ヘルムートはふやけた思考でまどかの願いを
聞き入れるかどうか考える。
もし平時の彼ならばいくら初対面の自分の童貞を卒業させてくれたとは言え、
自身に全く得の無い、言ってしまえば自己中心にも程がある願いなど即座に拒絶しただろうが、
この時の彼は「願いを聞き入れる」という選択肢を作ってしまっていた。
「…願い、聞いてくれるなら…ね? 私の身体…いつでも味わって良いんだよぉ?」
「……!」
「このおっぱいも…お尻も…――――も、みんな、ヘルムート君の好きにして…」
「ハァ、ハァ、ハァ、ま、まどかさん、俺、まどかさんのために戦います!
まどかさんの盾になります! まどかさんのためなら死んでも良いです!
だから、ああ、ウオオォォオオォオオオオ!!」
「あ――――!」
ついに辛抱出来なくなったのか、ヘルムートは雄叫びを上げながら、
まどかを布団の上に押し倒し、大きく股を広げさせ、己の猛々しい雄を
一気に突入させた――。
◆
(こうも上手く行くなんて、凄いなぁ、あの禁止薬物入り激甘イチゴミルク)
涎を垂らし、焦点の合わない目で激しく自分に腰を振る黒と赤の雄竜青年を
眺めながら、計画通りと言った様子でまどかは思う。
先程雄竜青年――ヘルムートに飲ませた物は、
禁止薬物が仕込まれた激甘イチゴミルクであった。
説明書に寄れば惚薬の違法改造版のような薬物が入っているらしい。
実際その効果はまどかの予想を遥かに上回るレベルで実証された。
「ウゥッ!」
「あっ…」
ヘルムートが身体を大きく震わせ達する。
そしてまどかに覆い被さり、余韻に浸り始めた。
(どうやら完全に私の操り人形になってくれたみたい……。
ドラゴンだからそう簡単には死なないだろうし、良い手駒になってくれそうね……。
…私が生きて帰るために、頑張って貰うからね、ヘルムート君?)
「まどかさん…」
「うふふ…可愛い子」
優しくヘルムートの頭を撫でるまどか。
無論、ただ単に愛おしいだけでは無く、これから自分の都合の良い駒として、
その働きを期待するという意味でもあった。
全て嵌められたという事に、当然本人は気付く由も無い。
狡猾な女の操り人形と化した哀れな竜が誕生した。
(あ…きららの奴、今頃どうしてるかな…ま、いいか。どうせ全員殺すし)
【一日目/早朝/H-5廃旅館二階客室】
【日宮まどか】
[状態]肉体疲労(大)、全裸、快楽、ヘルムートと結合中
[装備]無し
[持物]基本支給品一式、???
[思考・行動]
基本:優勝を目指す。ヘルムートを最大限に利用する。
1:浅井きららはどうでも良い。
[備考]
※特に無し。
【ヘルムート】
[状態]肉体疲労(大)、快楽、日宮まどかと結合中、薬物により日宮まどかに夢中
[装備]無し
[持物]基本支給品一式、???(1~2)
[思考・行動]
基本:日宮まどかのためにこの身を捧げる。それのみ。
[備考]
※薬物の効果により日宮まどかに心底惚れ込んでいます。効力が切れるかどうかは不明です。
※禁止薬物入り激甘イチゴミルクは全て消費されました。
≪支給品紹介≫
【禁止薬物入り激甘イチゴミルク】
日宮まどかに3本セットで支給。
日本風異世界国家で販売されている乳飲料、激甘イチゴミルクに、
禁止薬物を仕込んだトラップアイテム。惚れ薬を強くしたような薬が入っている。
≪キャラ紹介≫
【名前】日宮まどか(ひみや-)
【性別】女
【年齢】28
【職業】売春婦
【身体的特徴】銀髪で、豊乳。まだ20代前半に見える。
緑色の着物、黄色い腰帯、編上靴、黒いマフラー状の布を首に巻いている
【性格】さばさばしているが、時折冷酷
【趣味】音楽鑑賞(バラード系が好き)
【特技】ベッドテクニック、おねだり、甘える事、割と鋭い洞察力、推理力
【経歴】父親が14歳の時に事故で他界し、再婚相手の義父から性的暴行を受けていた。
現在、その義父はアルコール中毒で死亡。17の時から娼館で働き始める。
母親は現在一人暮らしをしている
【好きなもの・こと】セックス、童貞の男、チョコレート
【苦手なもの・こと】辛い物
【特殊技能の有無】一般人
【備考】浅井きららは売春婦仲間
【名前】ヘルムート
【性別】雄
【年齢】23
【職業】野生のドラゴン
【身体的特徴】黒と赤の竜人体型の竜。鋭い瞳、引き締まった身体付き
【性格】好奇心旺盛
【趣味】探検(遺跡、洞窟など)
【特技】翼による飛行
【経歴】冒険者との交戦経験有り
【好きなもの・こと】探検
【苦手なもの・こと】氷系魔法
【特殊技能の有無】口から炎が吐ける(体力を使う)
【備考】年の割に子供っぽい
最終更新:2010年12月19日 12:57