DRUNKENNESS DRAGONESS

17話:DRUNKENNESS DRAGONESS


「うぐあああああああああっ!!」
「!!」

それは突然、廃工場内に響いた。
機械の陰に隠れていた、廃工場には似つかわしく無いバニーガールの格好の
少女、神山アキナは身体をビクッと震わせ、突如聞こえた男の悲鳴に驚く。

(何!? 何なの…!?)

何が起きたのかと思ったが、殺し合いと言う状況を考えれば何が起きたかは想像がつく。
アキナは悲鳴の聞こえた方向へ音を立てないようにしながら向かった。
そして廃材の陰からその光景を覗く。

「……!」

そこには想像を絶する光景が広がっていた。
金髪を持った緑色の、竜人体型のドラゴンが立っていた。
身体付きからして恐らく雌だろう。
その雌のドラゴンの右手には血塗れの長剣が握られている。
そして足元には、血塗れになった外国人風の若い男が苦しみ悶えていた。

「〈…あ…が……い、痛い…痛いぃ……〉」

男は英語と思しき単語を発し、床を這いずって何とか雌の竜から逃げようとする。
だが、それは叶わなかった。
雌の竜は長剣を振り上げ――――。

「!」

アキナは思わず固く目を瞑った。直後、グサッと言う嫌な音、男の短い悲鳴が聞こえた。

「……」

もう男がどうなったのかは分かる。出来ればこの瞑った目は開きたく無い。
だがいつまでも閉じている訳には行かない。
早くここから逃げなければ、下手をすれば今度は自分があの雌竜に殺される。
そう思ったアキナは目を開いた。

「…誰!? そこにいるのは」
「あ…!?」

開いた瞬間、雌竜とバッチリ目が合ってしまった。


ライゲは廃工場内で二人目の殺人を行おうとしていた。

「お、お願い、殺さないで下さい…! 嫌だ、死にたくないよぉ…!」

追い詰められ、目の前のバニーガールの少女は恐怖に怯え切った目で命乞いをする。
死にたくないのはライゲ自身も同じだった。だからこそ殺し合いに乗ったのだ。

「私も死にたくないのよ…だから、全員殺して生きて帰る!」
「い、嫌だああああ! 誰かあああああ!!」

少女――神山アキナは形振り構わず、助けを求めようと大声で叫ぶ。
広い廃工場の中に悲痛な叫びが木霊した。
ここで本当に誰かが加勢に来ると面倒である。
ライゲは持っていた長剣、ロングソードをアキナ目掛けて突き出した。

「がっ……」

アキナの右胸の乳房を貫通し、深々と刀身が突き刺さった。
ロングソード越しに刃が骨を、肉を裂く嫌な感触がライゲの手に伝わる。
ドクドクと刺さった部分から血が溢れ、アキナの口からもドス黒く見える血液が溢れ出す。
ライゲがロングソードを引き抜くと、アキナの身体は床に倒れ、血溜まりを作り絶命した。


「はぁ、はぁ……」

二人目の獲物を仕留める事に成功した金髪を持った緑色の雌竜は、
どこか複雑な面持ちだった。

「……後悔なんか無い……後悔なんか……」

僅かに残る罪の意識を振り払い、ライゲは死体となった二人の荷物を漁り始める。
そして、最初に殺した男のデイパックには高級ワインのボトルが三本と長さ10メートル程の
太めの頑丈そうなロープ、二人目の少女のデイパックには玩具のピコピコハンマーと、
ダーツセットが入っていた。

「……」

ライゲはロープを自分のデイパックに押し込むと、ワインのボトルをこじ開け、
惜しげも無く一気にラッパ飲みした。
ゴクゴクと、高級ワインが雌竜の喉の奥へと流れていく。

「……ぷはぁっ」

ワインボトルがあっと言う間に空になり、それを投げ捨てた。

「…ヒック」

そして早速効果が表れる。元々ライゲは酒に強くは無い。
ましてや高いアルコール度数の高級ワインを一気飲みして、ただで済むはずが無い。
顔が紅潮し、目が虚ろになり、息が荒くなる。

「…ふっ、うふふふっ、身体、あつぅい…ひゃはっ! いける、いけるよぉ!
あははははっ! いまなら何れもれきちゃうよぉ!」

酩酊状態になったライゲは異様にテンションが高くなり、
先程まで抱いていた迷いや後悔の念も吹き飛んだ。
酔って感覚を麻痺させようと、飲めもしないワインを一気飲みしたのだが。
予想以上の効果が表れたようだった。

「あはは! みんらころひてやるろ~!」

ロングソードを振り回し、呂律の回らなくなった口で喚きながら、
緑の雌竜はおぼつかない足取りで工場の外を目指し始めた。



【ジョン・ハワード    死亡】
【神山アキナ    死亡】
[残り42人]


【一日目/早朝/F-1廃工場】

【ライゲ】
[状態]酩酊状態、ハイ
[装備]ロングソード
[持物]基本支給品一式、ロープ、高級ワインボトル(2)
[思考・行動]
 基本:みんらころひれやる~!www
[備考]
 ※酩酊状態のため、正常な判断力が鈍っています。また、痛みを感じにくくなっています。


※F-1廃工場内にジョン・ハワードの死体、ジョン・ハワードのデイパック(基本支給品一式入り)、
神山アキナの死体、神山アキナのデイパック(基本支給品一式、ピコピコハンマー、ダーツセット入り)
が放置されています。



≪支給品紹介≫
【ロングソード】
ライゲに支給。
その名の通り長い剣。鋼鉄製で頑丈、切れ味も良い。

【ロープ】
ジョン・ハワードに支給。
長さ10メートル程の丈夫なロープ。人一人吊るしても千切れません。

【高級ワインボトル】
ジョン・ハワードに3本セットで支給。
30年物の高級ワインが入ったボトル。アルコール度数が高い。

【ピコピコハンマー】
神山アキナに支給。
叩くとピコピコ音がするハンマー型の玩具。

【ダーツセット】
神山アキナに支給。
ダーツの矢三本と的のセット。


≪キャラ紹介≫
【名前】神山アキナ(かみやま-)
【性別】男
【年齢】18
【職業】バニーガール
【身体的特徴】淡い桃色の髪、透き通るような肌、スタイルは良い
 紺色のバニーの服、うさ耳姿
【性格】怖がり
【趣味】一人カラオケ
【特技】これと言って無し
【経歴】平和な家庭で育つ
【好きなもの・こと】一人カラオケ、チーズ
【苦手なもの・こと】脂っこい物
【特殊技能の有無】一般人
【備考】伊藤文子は職場の先輩に当たる。本庄忠朝とは面識無し

【名前】ジョン・ハワード
【性別】男
【年齢】24
【職業】雑誌編集者、アルソンズ・ベイルの担当
【身体的特徴】茶色の短髪、特に際立った特徴の無い体型。
 明るい灰色のスーツ着用
【性格】ヘタレ
【趣味】釣り
【特技】これと言って無し
【経歴】小学校の時いじめの標的にされ一時不登校になった
【好きなもの・こと】魚料理
【苦手なもの・こと】アルソンズ・ベイル
【特殊技能の有無】一般人
【備考】いつも何かしらアルソンズにどやされている

【名前】ライゲ
【性別】雌
【年齢】23
【職業】野生のドラゴン
【身体的特徴】金髪を持った緑色の竜人体型のドラゴン。美人。
 身長185cmと人並みの種族
【性格】自己中心的
【趣味】水浴び
【特技】翼を使っての飛行(疲れるので余り長い時間は飛べない)
【経歴】不明
【好きなもの・こと】生肉、歌を歌う事
【苦手なもの・こと】酒
【特殊技能の有無】高い運動能力
【備考】酒に致命的に弱い。笑い上戸らしい



人間なめんな! 時系列順 時計仕掛けのマリオネット
人間なめんな! 投下順 時計仕掛けのマリオネット

ゲーム開始 神山アキナ 死亡
ゲーム開始 ジョン・ハワード 死亡
ゲーム開始 ライゲ 酔っ払いはマジ勘弁

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最終更新:2010年11月29日 22:29
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