10話:For the appearance of the loved elder sister
紫がかった黒の毛皮を持つ、狼のような頭部の雌獣竜の少女、レオーネは、
姉のリュードを捜しエリアF-4の住宅街を歩いていた。
「お姉ちゃんどこにいるんだろ…」
しかし捜すと言っても広大な会場のどこに姉がいるのか。
空を飛んで捜そうとも思ったが狙い撃ちされる危険がある上に、
余り高く飛び過ぎても首輪が作動するらしいので飛ぶに飛べない。
「殺し合いなんて無理だよ……どうしてこんな……」
一体なぜ、姉と共に平和に暮らしていたはずなのにこのような殺し合いをさせられるのか。
あの香取亮太と名乗った男と、セイファートと名乗った、恐らく自分と姉と同種の雌獣竜は、
何の意図があってこのような殺し合いゲームを自分達にさせるのか。
いくら考えても答えなど出るはずも無く。
「……うっ…うっ……」
いつ襲われるか分からない恐怖、そして見知らぬ土地で独りぼっちという心細さから、
レオーネはついに涙を浮かべる。
「お姉ちゃん、どこぉ…?」
「おーい、そこのお前」
「え…!?」
不意に男の声がレオーネに掛けられる。
「安心しろ。俺はこんな殺し合いをする気はねェよ」
それは青い警官の制服に身を包んだ茶色と白の毛皮の柄の悪そうな狼獣人の男だった。
男――須牙襲禅(すが・しゅうぜん)はレオーネにやや乱暴ながらも安心させるべく話し掛ける。
「あ、あ……だ、誰!?」
「俺か? 俺は須牙襲禅っつーんだ……見ての通り警官だ。
取り敢えず何もしねーからビビんな」
「……」
ビビるなと言われても警官とは思えないようなチンピラのような口調と雰囲気に、
レオーネの警戒感はほとんど薄れなかった。
「……本当に何もしない?」
「しねぇよ」
「…分かった。信じる」
しかし一人でいても孤独なだけなので、思い切ってレオーネは襲禅を信じる事にした。
その選択が正しいのかどうかは分からなかったが。
近くの民家の中に入りレオーネと襲禅は情報交換に入る。
「私はお姉ちゃんがこの殺し合いにいるの…リュードって言うんだけど、
私の身体を青くしたような感じで」
「そうか。俺ァ…二人いるな。朝倉清幸と一色利香だ。どっちも俺の同僚だな。
朝倉は人間で一色はシェパード犬の獣人だ」
「…私はお姉ちゃんを捜したい。襲禅さん、は? 同僚の人達は捜さなくていいの?」
「ああ…まあ、大丈夫だろ」
「……」
襲禅が進んで同僚二人を捜さないのはそれ程仲が良い訳でも無いためだが、
恐らくそう簡単に死ぬ事は無いとも考えている事が大きい。
信頼しているのかそうでないのか今一つ微妙である。
「支給品の確認に移るか…俺はこいつだ」
襲禅は装備していた短機関銃、IMIウージーをレオーネに見せる。
「私…何かな」
まだ自分の支給品を見ていなかった事を思い出すレオーネ。
急いで自分のデイパックの中を漁る。
すると、赤く塗られた鞘を持った太刀と、癇癪玉が出てきた。
癇癪玉はともかく、太刀の方はかなりの業物のようだ。
説明書に「朱雀麗雅の刀」とあり、どうやら参加者の一人である朱雀麗雅なる人物の物らしい。
レオーネは鞘から刀を抜いてぎらりと光る刀身を見詰める。
「切れ味良さそうじゃねぇか」
「うん……試し切りしたいな、あ、あれで良いか…」
レオーネは朱雀麗雅の刀を携え障子戸に近付き、
ヒュッ!
横に刀を払った。
すると、障子戸は綺麗に二つに切れてしまった。
「すげぇ」
「うん」
「それ、間違っても俺に向けるなよ」
「だが断る」
「な、なにをするきさまー!」
【須牙襲禅 死亡】
「…何て事になりたくねぇから」
「分かった」
「さて、これからどうするか……ここらは…エリアF-4辺りか?
近くに病院があるみてぇだから行ってみるか」
「そうだね…」
レオーネと襲禅は病院へ向かう事にした。
【一日目/早朝/F-4住宅街】
【レオーネ】
[状態]良好
[装備]朱雀麗雅の刀
[持物]基本支給品一式、癇癪玉(5)
[思考・行動]
基本:お姉ちゃんを見付ける。殺し合いから脱出したい。
1:襲禅さんと行動。病院に向かう。
2:襲われたら…。
[備考]
※朝倉清幸、一色利香の情報を得ました。
【須牙襲禅】
[状態]良好
[装備]IMIウージー(32/32)
[持物]基本支給品一式、IMIウージーマガジン(5)
[思考・行動]
基本:殺し合いに乗る気は無い。何とかして脱出したい。
1:レオーネと行動。病院へ向かう。
2:朝倉清幸、一色利香と合流?
[備考]
※リュードの情報を得ました。
≪支給品紹介≫
【朱雀麗雅の刀】
レオーネに支給。
赤髪の女剣士朱雀麗雅が愛用する太刀。赤く塗られた鞘を持つ。
名刀匠の業物で、切れ味、耐久性は一級品。
【癇癪玉】
レオーネに5個セットで支給。
投げ付けると破裂する小さな火薬玉。玩具。
驚かせたりするのに使える?
【IMIウージー】
須牙襲禅にマガジン5個とセットで支給。
1951年に開発された堅牢な短機関銃。部品の多くがプレス加工を多用し生産性が高く、
分解・整備が容易なよう設計されている。金属製の折り畳みストック付き。
オールスチール製で重い(約3.8㎏)ので「文鎮」とも呼ばれる(笑)
≪キャラ紹介≫
【名前】レオーネ
【性別】女
【年齢】18
【職業】野生の獣竜
【身体的特徴】紫がかった黒と赤の毛皮を持った直立二足歩行の獣竜。
狼のような頭部を持つ。身長は175㎝と比較的長身。よく引き締まった魅力的な身体付き。
姉より胸が大きい
【性格】心優しい、臆病
【趣味】食べる事、姉と過ごす事
【特技】翼を使ってある程度飛行出来る、姉に教わった格闘術
【経歴】幼少時にある事件で両親を失い以来姉と二人で生きてきた。
【好きなもの・こと】姉(リュード)、生肉
【苦手なもの・こと】蛇
【特殊技能の有無】生命力は強い
【備考】姉よりナイスバディで可愛らしい。最近姉に性の手ほどきをされてるとか
【名前】須牙襲禅(すが・しゅうぜん)
【性別】男
【年齢】28
【職業】警察官
【身体的特徴】茶色と白の狼獣人。引き締まった身体付き、鋭い目付き。
青い警官の制服を少し着崩した状態で着用
【性格】ワル
【趣味】射撃場通い
【特技】射撃の腕前がピカイチ。ある程度剣も扱え、格闘技にも通じる
【経歴】中学、高校と札付きの不良だった
【好きなもの・こと】ラーメン、銃
【苦手なもの・こと】野菜、銃規制推進者
【特殊技能の有無】銃に非常に詳しい
【備考】ガンマニアでもある。朝倉清幸と一色利香は同じ警察署の同僚。
被疑者に対する暴行、押収品の横領など問題が多いが検挙率が高く、捕えた犯人の
再犯率がダントツで低いなど、警官としては優秀なようだ。そのためか免職されずに済んでいる
最終更新:2010年12月12日 10:00