近頃の若い奴はとよく言うけれど


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8話:近頃の若い奴はとよく言うけれど


エリアG-1市街地の一角。

木製バットと、スピードリングなる指輪が、
青い狼獣人の高校生の青年――石川昭武(いしかわ・あきたけ)の支給品であった。
説明書には「指にはめると素早さが上がる」などと書かれていたスピードリングを
指にはめると、確かに少し身が軽くなったような気がした。

「殺し合いなんて…出来る訳無い…!」

木製バットを握り締め、昭武は殺し合いには乗らないと決意する。
だが自分の命を守るためなら、戦う事も辞さない構えであった。
そのために木製バットを装備した。

「平崎に香瀧、おまけに立沢先生もいるんだな…捜すか…」

殺し合いに呼ばれている友人二人と、通っている学校の数学教諭と合流しようと、
昭武は木製バットを片手に幾つもの車が放置された道路を歩き始めた。

「寒いな…」

時間帯は早朝辺りだろうか。空は白んでいるとは言えまだ薄暗い。
昭武の吐く息が少し白くなっていた。
防寒着でも欲しい所である。ブレザーだけでは毛皮に身体が覆われているとは言え寒い。

ダァン!

「!!」

突如、一発の銃声が市街地に響いた。
同時に昭武の背後にある建物の壁に小さな穴が空く。
明らかに昭武を狙った銃撃であった。

前方の車の陰から両手で自動拳銃――Nz75を構えた、
緑色の甚平姿の老人が現れる。
震えているのは寒さからか、それとも別の理由か。

ダァン! ダァン!

「うああ!」

慌てて昭武は近くに停めてあった白いバンの影に隠れた。

「ちょっ、待って! 待ってってじいさん! 何でこんな事すんだよ!?」
「わ、ワシは…ワシは生きて家族の元に帰るんじゃあ!」

老人――山本良勝(やまもと・よしかつ)は半狂乱になりながら拳銃を乱射する。
昭武が隠れる白いバンに次々と穴が空き昭武は追い詰められていく。

「く、くそ…俺だって、死にたく無いんだ…!」

このままだと間違い無く殺される。友人達を捜す前に死んでは、元も子も無い。
昭武は意を決して、隠れていたバンから飛び出した。

「うおおおああああああ!!」

良勝は自分目掛けて突進してくる青い狼青年に向けて銃を撃つが、
焦っているのかロクに照準も定まらず、一発も当たらない。
昭武自身がスピードリングの力により動きがいつもより俊敏になっている事も一因だった。
だが当然老人はそんな事を知る由は無い。

そしてそうこうしている内にNz75のスライドがバックしたまま固定された。弾切れである。

「あ……弾が」

良勝が弾切れに気付き急いで予備のマガジンをデイパックから取り出そうとしたが、もう遅かった。

ドゴォッ!!

良勝の脳天に、本体がへし折れる程の勢いで、昭武の木製バットが振り下ろされた。
一瞬で意識が遠退き、身体全体の痺れを良勝は感じた。
生温かい液体が頭の上からゆっくり掛けられるような感覚。
視界が真っ赤になる。自分が今どうなっているのか理解出来ない。そんな猶予ももう残っていない。

「た、ただよし、ぃ、じ、じい、ちゃん、は、ぁ――――」

良勝老人が最期に呟いたのは、愛する孫の名前だった。


「……あ」

ハッと昭武が我に返った時、眼下に頭から血を流して倒れ、動かなくなっている老人と、
折れた木製バットの先端部分が見えた。
自分の右手にはバットの握り部分が持たれている。

「…あ、あ…俺、殺しちまった…殺しちまった…」

バットの握り部分をも路上に落とし、呆然とした様子で昭武が呟く。
自分の身を守るためとは言え、見知らぬ人間を、殺害してしまった。
勿論、自衛のために戦う覚悟もしていた。だが、リアルの殺人は、
昭武にその覚悟以上の重い罪悪感を圧し掛からせていた。

「う…うっ…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…!」

涙を流し、青狼青年は自分が殺してしまった老人に謝り続けた。


【山本良勝    死亡】
[残り47人]


【一日目/早朝/G-1市街地】

【石川昭武】
[状態]強い罪悪感、スピードリングにより素早さ上昇中
[装備]スピードリング
[持物]基本支給品一式
[思考・行動]
 基本:殺し合いはしないが自衛のためなら戦う。
 1:何て事を……。
 2:友人二人(平崎吉治、香瀧宏叔)、学校の先生(立沢義)と合流したい。
[備考]
 ※特に無し。


※G-1一帯に銃声が響きました。
※G-1市街地路上に山本良勝の死体、Nz75(0/15)、
山本良勝のデイパック(基本支給品一式、Nz75マガジン(3))が放置されています。



≪支給品紹介≫
【木製バット】
石川昭武に支給。
硬い材質の木で作られたバット。釘を打てば釘バットになる。

【スピードリング】
石川昭武に支給。
素早さが上がる魔法が施された指輪。某RPGのアイテムが元。

【Nz75】
山本良勝に予備マガジン3個とセットで支給。
チェコのCz75を中国ノリンコ社がコピーした自動拳銃。
仕上がりはオリジナルに比べ程度が低いが拳銃としての性能は十分。
Cz75の安価型とでも言った方が良いか。

≪キャラ紹介≫
【名前】石川昭武(いしかわ・あきたけ)
【性別】男
【年齢】17
【職業】高校二年生、サッカー部所属
【身体的特徴】濃い青色の狼獣人、引き締まった身体付き、学校の制服の灰色ブレザー着用
【性格】誠実だが、メンタル的に脆い部分もある
【趣味】友人と遊びに行く事、TVゲーム
【特技】サッカーが得意
【経歴】物心つく前に母親が病死、父子家庭で育った
【好きなもの・こと】冷奴、孫
【苦手なもの・こと】鳥肉、体力仕事
【特殊技能の有無】動体視力が良い
【備考】平崎吉治、香瀧宏叔は同じ学校の友人、立沢義は学校の数学教師

【名前】山本良勝(やまもと・よしかつ)
【性別】男
【年齢】77
【職業】隠居老人
【身体的特徴】禿頭の老人、緑色の甚平姿
【性格】陽気
【趣味】将棋、盆栽の手入れ
【特技】盆踊り(!?)
【経歴】若い頃に従軍経験があるが、実戦経験は無し
【好きなもの・こと】冷奴、孫
【苦手なもの・こと】鳥肉、体力仕事
【特殊技能の有無】一般人
【備考】老人のため体力と身体能力に難がある



おふくろの味ならぬオヤジの味 時系列順 消えゆく命の灯
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ゲーム開始 石川昭武 オヤジはそんな高位存在だったのか
ゲーム開始 山本良勝 死亡
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