奈落に咲いてしまった紅い華

4話:奈落に咲いてしまった紅い華


私こと伊藤文子(いとう・あやこ)は、閑静な住宅街の道路の上にいた。
遠くに学校と思しきものが見える。この殺し合いの開催式が行われた場所。
確か主催者は言っていた。この殺し合いが始まったら、
学校のあるエリアは禁止エリアになるって。

「……」

意を決して私は数歩進む。
すると首輪から警告音が等間隔で発せられ始めた。

「!!」

すぐに引き返すと、警告音は止んだ。
きっとあのままなり続けていたら首輪が爆発するんだろうけど、
どうやら禁止エリアに入ってすぐボンッって訳じゃないみたい。
……学校を禁止エリアにしたって事は、あそこを主催達は本部にしてるのかな。

「ふぅ、寒い…」

早朝の冷たい空気は、肌の露出が多いバニーガールの格好には堪える。
おっぱいの上の部分とお尻と太腿の辺りが冷たい。
忠朝君は喜んでくれるけどね。忠朝君、今どうしてるかな、生きてるかな……。
そんな事を考えながら住宅街を歩いていると。

「そこの、ちょっと良いか?」
「え?」

細い曲がり角から現れた人に声を掛けられた。
支給品である、レイ・ブランチャード(参加者の一人らしい)の自動拳銃を構え警戒しつつ、
その声を掛けた人の方を向く。
それは赤い長髪を持ち、赤い着物を着た美人の女性だった。

「突然ですまないが…尋ねても良いか?」
「え? あ? うん…」
「カーキ色の制服を着た狐獣人の少女と、緑っぽい服を着た黒髪の人相の良くない男を
見ていないか?」
「いや、見てないけど…あなたの、知り合い?」
「…見ていないか…なら良いんだ……」
「……??」

赤髪の女性は、腰に差していた刀を抜いた。
いや、ちょっと待って。何で抜くの? それって、つまり――――。

「…済まないが、死んでくれ」

ビュンッ!!

「ひいっ!?」

赤髪の女性が私に向かって刀を真一文字に払ってきた。

「そ、そんな! やめて!」
「無駄に動かなければ、それ程苦しまずに逝けるぞ」
「嫌だ! まだ逝きたくない! 忠朝君のお○○ぽに突かれてイくのは良いけど!」
「何を言ってるんだお前は」

ヒュッ!

「痛っ!?」

お腹の所を斬られた! 痛い…血が出てるよ…でも、浅いみたい…。
このままじゃ殺される…やるしか無い。
私は拳銃を赤髪の女性に向けて、引き金を引いた。

ダンッ! ダンッ! ダンッ!

三発発砲したけれど、いずれもかわされてしまった。

「うっ…うううう! 死にたくない! 死にたくないよ!」

もう勝ち目が感じられなかった。私は女性に背を向けて一目散に逃げた。
てっきり追跡されると思ったけど、一瞬だけ振り向いた時、女性は私の事を追う様子は無かった。


私――朱雀麗雅(すざく・れいか)に背を向けて逃げていく、
金髪のバニーガールの女性――いや、少女だろうか。
腹の部分に刀を振るった時、手ごたえはあったが、あれだと傷は浅いな。

…これで後戻りは出来ない。私はこの殺し合いに、大切な者のためとは言え乗ってしまった。
美琴、そして勝憲。どちらも私は失いたくない。
首には爆弾内蔵の首輪がはめられ、脱出は限り無く不可能に近いだろう。

私に出来る事はあいつら二人が生き残れる可能性を上げる事だ。

私の支給品の一つであるこの刀――説明書によれば、
この殺し合いの参加者の一人、勤武尚晶が愛用している刀らしい。
勤武尚晶は名前だけなら知っている。掻い摘んで言えば「人斬り」だ。
この刀も多くの人間の血を吸ってきたのだろう。

「……美琴、勝憲……」

もう迷わない。私は、二人を生き残らせるために、修羅となろう…。


どれくらい走っただろう、私はとある民家の庭先で休んでいた。
お腹の斬り傷は痛むけど大した事は無い、ああでも、傷跡残っちゃうかな…。
それにしても、まさか本当にこんな殺し合いに乗る人がいるなんて。
しかも銃撃をあんなあっさりかわすなんて…。

「忠朝君…アキナ…私、どうしよう」

仲良くし、身体を交えた事もある竜人の少年と、後輩のバニーガールの名前を呟く。

「…ちょっとだけ、ここにいよう」

走って疲れたせいもあるけど、いきなり殺され掛けて心が動揺している。
二人を捜さなければという思いはあった。でも、今は休んで心を落ち着かせたい。
民家には鍵が掛かってて入れないから、芝生の上に身を横たえた。

「……ぐすっ、う……」

でも、段々と涙が出てきてしまった。止めたくても、止められなかった。



【一日目/早朝/D-6住宅街北部】

【伊藤文子】
[状態]腹部に浅い斬り傷、恐怖、嗚咽
[装備]レイ・ブランチャードの拳銃(11/14)
[持物]基本支給品一式、レイ・ブランチャードの拳銃マガジン(3)
[思考・行動]
 基本:死にたくない。本庄忠朝、神山アキナの捜索。
 1:最悪の場合、殺し合いに…。
[備考]
 ※朱雀麗雅(名前は知らない)の外見を記憶しました。
 ※首輪は禁止エリアに侵入してもすぐには爆発しないと気付きました。


【一日目/早朝/D-6住宅街南部】

【朱雀麗雅】
[状態]良好、決意
[装備]勤武尚晶の刀
[持物]基本支給品一式、???
[思考・行動]
 基本:四宮勝憲、葛葉美琴を生き残らせるため殺し合いに乗る。二人には会いたくない。
 1:獲物を捜す。
[備考]
 ※伊藤文子(名前は知らない)の外見を記憶しました。


※D-6南部周辺に銃声が響きました。




≪支給品紹介≫
【レイ・ブランチャードの拳銃】
伊藤文子にマガジン3個とセットで支給。
ガンナーであるレイ・ブランチャードが市販の拳銃をベースに改造した大型自動拳銃。
外見的にはコルトガバメントに酷似。弾薬も.45ACP弾に酷似している。

【勤武尚晶の刀】
朱雀麗雅に支給。
人斬り・勤武尚晶の愛用する黒い鞘の打刀。
特に何の変哲も無い刀だが大勢の人間の血を吸っている。


≪キャラ紹介≫
【名前】伊藤文子(いとう・あやこ)
【性別】女
【年齢】19
【職業】カジノのバニーガール
【身体的特徴】金髪ロングヘア、豊乳でスタイル抜群、赤いバニー衣装を着ている
【性格】明るいが本当は怖がり
【趣味】ネイルアート、百合小説読書
【特技】身体が柔らかい
【経歴】両親と二歳下の妹のいるごく普通の家庭で育つ。幼少時毛虫に刺され大炎症を起こし
 病院に担ぎ込まれた事がある。以来毛虫が大嫌いになった(当然か)
【好きなもの・こと】コロッケ
【苦手なもの・こと】毛虫、名前を読み間違えられる事
【特殊技能の有無】一般人
【備考】名前をよく「ふみこ」と読み間違えられるのがちょっと悩み。
 本庄忠朝は近所に住む竜人の少年で仲が良く肉体関係も持っている。
 神山アキナは後輩のバニーガール。

【名前】朱雀麗雅(すざく・れいか)
【性別】女
【年齢】25
【職業】剣道道場主
【身体的特徴】赤髪の美人、赤い着物に編上靴を着用
【性格】謹厳実直で正義感が強い
【趣味】竹刀の素振り、書道
【特技】剣術、柔術に優れる
【経歴】代々剣術道場を営む家で生まれ、
    幼少時から父親に剣術や柔術、礼儀作法を厳しく教えられる。
【好きなもの・こと】和食、鍛錬、父親
【苦手なもの・こと】洋食、だらしない人
【特殊技能の有無】居合抜き
【備考】道場の生徒からは鬼の師範代として恐れられているが実を言うと男に奥手。
 近所に住む友人に高校生の葛葉美琴、幼馴染の雑貨店店主四宮勝憲がいる




愉しまなきゃ損 時系列順 落ち着く場所ありますか?
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ゲーム開始 伊藤文子 私の殲滅華
ゲーム開始 朱雀麗雅 心の奥までは偽れない

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最終更新:2010年12月05日 02:19
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