まもりきれぬもの


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60話 まもりきれぬもの


沖田総悟、佐藤文博、紺野優佳の三人は警察署へ向かった、
土方十四郎とシリウスの帰りを待っていた。
文博が二十二年式村田連発銃を持って外で見張りに付き、
拠点としている会社事務所で総悟と優佳が会話を交わす。

「沖田さんにとって、土方さんってどんな存在ですか?」
「いけ好かねぇ犬の餌マニアって所だなァ」
「い、犬の餌って?」
「あんたも見たろ? あの人は重度のマヨラーなんでィ」
「あ、ああ……そう言う事ですか」
「カツ丼や焼きそばは愚か、ソバやコーヒーにまでマヨネーズを入れやがる。
この間なんか、マヨネーズ工場に見学に行きたいがために、
真選組の隊士全員にマヨネーズを一日五本分消費するよう強制しやがった」
「何て酷いんだ」
「まぁな…だが、信頼は置ける人だ」
「…そうみたいですね」

土方について二人が会話をしている間、外では文博が周囲に気を配り見張りをしていた。
申し訳程度に旧式の小銃を持ってはいるがいざと言う時使いこなせるかどうか分からない。
その上、この二十二年式村田連発銃については医者であり銃器には疎い文博でも、
故障が多い欠点だらけの小銃だと言う事は知っていた。
そもそもこの殺し合いが始まってからまだ一発も発射していない。

「これ大丈夫かな、いざとなって引き金引いても弾出ないってなったら…。
ああ、早く帰ってきて土方さんにシリウスさん…」

元々気が強い方では無い文博は警察署に向かった二人の早急なる帰還を願いつつ、
見張りを続けていた。

「…ん?」

ふと、数時間前に土方とシリウスが警察署に向かっていった、
西へ続く曲がり角がある北方向の道路に目を向けると、
その曲がり角から誰かが飛び出してきた。

「だ、誰だ!?」

その人影は明らかに土方でもシリウスでも無い、見知らぬ狼獣人の青年。
遠目からでも分かる程衣服は血に染まり、右手には抜き身の刀を持っている。
狼青年は走ってこちらに向かってくるようだった。
雰囲気的に友好的では無いと感じ取った文博は村田銃を構える。

「君! 一旦止まるんだ!」
「―――文博ォ!! 駄目だ! 逃げろ!!」

青年へ警告を発した直後に聞き覚えのある声が文博の耳に入る。

「…今、外から土方さんの声が聞こえたような」
「…俺も聞こえた」

その声は、建物の中にいる総悟と優佳の二人にも聞こえた。

文博は狼青年の後ろに、警察署へ向かっていたはずの土方の姿を確認する。
しかし、同行していたはずの銀色の人狼シリウスの姿はどこにも無い。

「文博ォ!!」

再び土方が叫んだ。明らかに焦りの色が感じられる声で。


直後に、文博は何か、身体全面に例えようの無い衝撃を感じ―――そして意識が途絶えた。


「…はぁ…はぁ…!」

土方の目の前で、病院で知り合った医者の青年が、血塗れの肉塊に変えられた。
文博を斬り倒した狼青年――ノーチラスは、かなりの距離を走ったのにも関わらず、
ほとんど息を切らせている様子が無い。

「もう一人……フフフフ」
「て…テメェ……!」

再び目の前で仲間を殺され、何も出来なかった自分への悔しさと、
ノーチラスに対する憎悪と怒りが土方の心に湧き起こり、渦巻く。

バタン!

事務所の扉が開き、中から武器を携えた総悟と優佳が飛び出した。

「土方さん! …! ふ、文博……何てこった……!」
「そんな…佐藤さん…!」

ついさっきまで生きていたはずの文博が身体の前面を斬られ血溜まりの中に沈んでいるのを見て、
総悟も優佳も差はあれどショックを受けていた。
ノーチラスは視線を二人の方へと向ける。

「……こっちにも、いたか」
「!! 総悟! 優佳!!」

土方が叫んだ。

直後、二人に向け、横に鋭く、強烈な斬撃が繰り出される。

「チィッ!!」

総悟は間一髪で反応し、持っていた打刀で斬撃を防いだが。

「あ――――!?」

優佳は防ぐ事が出来なかった。胸元を横一文字に深く斬られ、鮮血を迸らせ、崩れ落ちた。

「ゆ、優佳……!」
「……ぬうおおおおあああああああ!!!」

怒りに燃える土方は、ノーチラスに向かって突進した。
総悟もまた、土方に加勢し、ノーチラスに斬り掛かる。
ノーチラスは歪んだ笑みを浮かべながら二人の繰り出す剣撃を受け止め、
そして壮絶な斬り合いが始まった。

「ヒャハハハハハハ!! いいな…ゾクゾクする! 来い! 俺を楽しませろ! 燃えさせろ!」
「燃えさせてやるよ…テメェを地獄に送って地獄の業火で焼いて貰うぜ!!」
「土方さん…足手まといにはならんで下さいよ!」
「こっちの台詞だ総悟! こいつを逃がすな…ここで確実に仕留めるんだ!!」
「…そう言えば、シリウスはどうしたんですかィ!?」
「……死んだよ。こいつにやられた」
「…そうですかィ…なら、尚更容赦出来ませんね!!」

剣と剣がぶつかり合う音が、肉を刃が切り裂く音が、雄叫びが響く。
次第に灰色のアスファルトには赤い飛沫で彩りが施されていった。

どれくらい経っただろうか、土方と総悟は中央にノーチラスを挟む形で動きを止める。

三人共度合いは違えど傷を負っていた。
土方は身体中に浅からぬ斬り傷を負い少なくない量の血が流れ出ている。
総悟は土方程では無いがやはり身体中に斬り傷が出来ていた。
そしてその二人の攻撃を一身に受け止め続けていたノーチラスは最も重傷だった。
左上腕を斬られ左腕が使えなくなり、身体中深い斬り傷だらけ、出血も夥しい。
常人ならばとっくに動けなくなっているか最悪死に至っているはずの重体。
だが、ノーチラスは手にした妖刀の力によりほとんど痛みは感じていない。

「ゼェ……ゼェ……化け物だぜ…こりゃあ」
「土方さん、大丈夫ですかィ……虫の息じゃないですかィ」
「うるせぇよ……ゼェ……まだだ…まだやれる……っ!?」

ノーチラスは土方に狙いを定め、左腕をぶらつかせながら妖刀薄桜鬼を構え突進した。

「土方さん!!」
「くっ…これで最後だアアアアアアアアア!!!」

土方もまた、刀を構えノーチラスに向かった。



ガキィン!!



ノーチラスが持っていた妖刀薄桜鬼の刀身が、派手な音を立てて折れた。
折れて飛んだ刀身は、近くのアスファルトの上に金属音を立てて落ちる。

「………?」

ノーチラスは先程までの雰囲気からうって変わり、何が起きてるのか分からないという表情を浮かべる。

(え……ここどこだ……? 俺は…そうだ、カラオケ屋で髭の大男に犯されそうになって…。
それで、その後……)

正気に戻ったノーチラスはぼんやりとした記憶を辿ろうした。

「死ね!!」
「え?」

だが、背後から斬撃を食らわされ、その思考は中断させられた。

「ぎゃああぁああ……っ!! あ、あ」

今まで感じた事の無い凄まじい激痛に悲鳴を上げるノーチラス。
そして急速に意識が遠退いていく。

(…なん、で……おれは……おれ…は…)

何もしていない、と思ったが、靄が掛かったような記憶が脳裏に再生された。

(ああ…そうだ……おれは…ようとうに…あやつられて……)

髭面の男を始め、狐族の女性、眼鏡の少年、背中に翼の生えた青と白の狼族の男、
淡い銀と白の狼族の女性、緑髪の少女、銀色の狼族の男、白衣姿の眼鏡を掛けた男、
青髪の女性――見知らぬ人々を、妖刀に操られていたとは言え、
自分はその手に掛けてしまった。

(…だめだな……おれは……けっきょく…また……なにもできなかった……。
そればかりか………おおぜい……ころしてしまった…………)

前回の殺し合いの時は、自分の欲望に忠実になった末に死んだ。
そして今回の殺し合いは、呪われた刀に操られ大勢の人を殺し、死んでいく。
結局自分は前回も今回も他人に迷惑を掛けただけだった。

(………ちく……しょう………)

自分自身への不甲斐なさ、そして手に掛けてしまった人々への懺悔の念を胸に、
ノーチラスは再び死出の旅路についた。




地面に伏し屍となった狼青年を見下ろし、止めを刺した沖田総悟は安堵したように息を吐く。

「…死んだみたいでさァ、土方さん」

そう言って前方に立っている土方の方を見る。
だが、土方は無言のまま立ち尽くすだけで何の返事も返さない。

「……土方さん?」
「……」

ドサ。

「……!?」

突然、土方は倒れた。
驚き、総悟は土方に駆け寄り抱き起こした。

「土方さん!?」
「……へへ……どうやら血を流し過ぎちまったみてぇだ……」

土方の下のアスファルトには、どす黒く見える血溜まりが広がっている。
普通の人間の出血許容量を、遥かに上回っているのは明らかだ。
身体中に出来た傷から血は止め処なく溢れていた。

「…良かったな、総悟……これで…副長の座は…お前のモンだ……嬉しい…だろ…」
「な……馬鹿言うんじゃねェよ土方!」

声を荒げて総悟が土方に叫ぶ。

「…総…悟…」
「てめェは俺が倒すんだ…実力で副長の座を手に入れてやる!
だから……こんな所で死ぬんじゃねェ! 死ぬな! 土方!」
「……」

もしかしたらそれは死の間際の幻覚だったのかもしれない。
だが、その時土方は確かに見た。
総悟の目に光るものが滲んでいるのを。

「……ヘッ……悪ぃな…だが…もう…身体が動きやがらねぇ……。
もう…目もほとんど見えなくなりやが……た……」
「……!」
「………総…悟………生きろ………死ぬんじゃ…ねぇ………ぞ………」

そう言うと、土方はゆっくりと目を瞑り、そして、それっきりだった。

「……土方、さん」

腕の中で全ての力が抜け、呼吸が止まった土方を見て、
呆然とした様子で総悟が名前を呼ぶ。
だが、もう返事が返ってくる事は無い。
全身が傷だらけで血塗れになっている事を除けば、その表情はまるで眠っているように綺麗だった。

「……馬鹿野郎……!」

震えた声で罵りながら、総悟は土方の亡骸に縋り、声を押し殺し嗚咽を漏らした。




「な……何なんだよ、これ……」

橋を超え、エリアF-2市街地を訪れていたブライアンが見たものは、地獄絵図。
路上が飛び散った血糊で赤く染められ、四人の死体が転がっていた。
いずれも刀によって斬り殺されたようだった。
そして、ただ一人、建物の壁にもたれかかり呆然と座っている青年。
倒れて死んでいる内の一人と同じような衣服に身を包んでいる。
返り血なのか傷を負っているのかは分からないが彼もまた血塗れだった。

「おい、大丈夫か……?」
「……何だ、あんた……」
「…俺はブライアン。殺し合いには乗っていない。お前は?」
「…沖田総悟。俺も乗ってねェよ…」
「そうか……一体何があったんだ? これは……」

ブライアンが当事者と思しき沖田総悟に何があったのか尋ねる。
総悟はしばらく間を置いてから、ゆっくりと、静かに事の経緯を話し始めた。





「……こんな所だ」
「……」

事の始終を聞かされたブライアンは言葉を失っていたが、しばらくして口を開いた。

「……坂田銀時」
「…え?」
「お前の知り合い、だよな?」
「ブライアン…万事屋の旦那の事知ってるのかィ」
「ああ。数時間前にショッピングモールで会ってな…今は別行動してるけど、
市役所で合流する予定になっている」
「本当か?」
「本当だ。銀時から、土方十四郎と沖田総悟の二人に会ったら宜しく伝えておいてくれって言われてな」
「……」

不意に現れた見知らぬ男が、自分と思わぬ繋がりがあった事に総悟は驚く。

「…それで、これからどうするつもりなんだ? 総悟」
「…決まってんだろ。俺は――香取の野郎をブッた斬る。
そしてこの殺し合いから、脱出してやる」
「……そうか。なら、俺と一緒に行かないか」
「ああ……そうさせて貰うぜ」

その後、ブライアンと沖田総悟は共闘する事となり、
路上や拠点にしていた会社事務所に散らばる犠牲者達の所持品を回収、整理を行った。
襲撃者である茶色い狼青年は大量の銃器弾薬を所持していた。
恐らく彼の手に掛かった者達の意品であろう。
総悟もブライアンも銃を使う事はまず無かったが一応貰っておく事にした。

路上の遺体を事務所の中まで運び、横たえる。
埋葬も出来ず上に何かを被せてやる事も出来ないが、
野ざらしにしておくのは気が引けた。

「……それじゃ、行こうかィブライアン。市役所で旦那と待ち合わせしてるんだろ?」
「そうだ……銀時、まだ無事だと良いんだが」
「……」

銀髪天然パーマ侍の無事を祈りながら、二人は四人の遺体が安置された、
会社事務所を後にした。




土方十四郎は、白い靄のようなもので地面が覆われた真っ白な空間にいた。

「…ここはどこだ? 俺は…」
「おいおい土方君、随分早くこっちに来てしまったんだな」
「! お前は…」

土方の前に、真選組隊長の制服を身に纏った、眼鏡を掛けた男が現れる。
それは土方が良く知る男であり、そして、彼の存在により、
土方は自分が本当に、この世の者では無くなってしまった事を悟る。

「…お迎え役がお前とはな…」
「そう嫌そうな顔をするなよ。君の彼女が直々に来たかったそうだが、
都合がつかなかったらしくてね、僕に行ってやってくれって頼んで来たのさ」
「! か、彼女とかそう言うんじゃねぇよ!」
「隠すなよ。顔が赤くなっているぞ」
「チッ……うるせぇな、とっとと行くぞ。無駄話しに来たんじゃねぇんだろ」
「ああ…そうだな」

土方と、もう一人の男は、共に真っ白な空間の奥へと歩いて行く。
途中、一度だけ、土方は後ろを振り向き、言った。



「……後は頼んだぜ、総悟……そして、万事屋」





【佐藤文博@オリキャラ  死亡】
【紺野優佳@オリキャラ  死亡】
【ノーチラス@自作キャラでバトルロワイアル  死亡】
【土方十四郎@銀魂  死亡】
【残り14人】




【一日目/早朝/F-2市街地】
【沖田総悟@銀魂】
[状態]肉体的疲労(中)、身体中に斬り傷、返り血(中)、決意
[装備]打刀
[所持品]基本支給品一式(食糧一食分消費)、二十二年式村田連発銃(8/8)、
 8㎜×53R弾(16)、トカレフ式自動拳銃(8/8)、トカレフのマガジン(8×3)、
 直刀、医療道具(包帯や消毒液等、調達品)、双眼鏡
[思考・行動]
 基本:殺し合いには乗らないが、襲い掛かる者には容赦しない。
 1:ブライアンと行動。市役所に向かう。
 2:可能なら協力者も捜す。
[備考]
 ※原作かぶき町四天王篇終了後からの参戦です。
 ※冬月蒼羅(名前は知らない)の容姿を記憶しました。
 ※土方十四郎よりシリウスが死んだ事を知らされました。

【ブライアン@VIPRPGシリーズ】
[状態]健康、鎧が部分的に煤けている
[装備]バスタードソード
[所持品]基本支給品一式、コルトM1903(5/8)、コルトM1903マガジン(8×3)、
 ベレッタM92FS(5/15)、ベレッタM92FSマガジン(15×3)、グロック26(11/12)、
 グロック26マガジン(12×3)、手榴弾(3)、ドス薬草(30)
[思考・行動]
 基本:殺し合いには乗らない。アレックス達と合流したい。
 1:沖田総悟と行動。市役所へ向かう。
 2:ドラゴナスに要注意。
[備考]
 ※志村新八、土方十四郎、沖田総悟の三人とエルフィのクラスメイト
 (森屋英太、銀鏖院水晶、ノーチラス、フラウ)の情報を得ました。
 ※沖田総悟から聞かされた「襲撃者」がノーチラスだと言う事には気付いていません。



※F-2市街地会社事務所(何の会社かは不明)に、
土方十四郎、佐藤文博、紺野優佳、ノーチラスの死体が安置されています。
また、四人分のデイパック(基本支給品一式入り、土方の物のみ煙草(残り8箱)、
業務用マヨネーズ(半分消費)、100円ライター(残りガス少ない、調達品)入り)が放置されています。
※妖刀「薄桜鬼」は刀身が折れ、効果を失いました。F-2市街地路上に放置されています。



涙を拭いて 時系列順 耳障りな誘惑、花椿の香り
涙を拭いて 投下順 耳障りな誘惑、花椿の香り

現実は時に想像すらも超える 沖田総悟 Directorate of Operations
現実は時に想像すらも超える 佐藤文博 死亡
現実は時に想像すらも超える 紺野優佳 死亡
マコトノヤイバ、アヤカシノヤイバ 土方十四郎 死亡
マコトノヤイバ、アヤカシノヤイバ ノーチラス 死亡
背筋伸ばして生きていけ ブライアン Directorate of Operations
ツールボックス

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