マコトノヤイバ、アヤカシノヤイバ

57話 マコトノヤイバ、アヤカシノヤイバ


警察署のロビーに足を踏み入れた土方の鼻を突いたのは、真新しい血糊の臭い。
受付のカウンターがズタズタに斬り裂かれていた。
その奥に、血の臭いを発する元があった。

「酷ぇなこりゃ……」

土方に同行するチェーンソーを装備した銀色の人狼――シリウスが言う。
血溜まりの中に横たわる二人の参加者の死体。
一人は薄い銀色と白の雌人狼、もう一人は緑髪の巫女の少女。
前者は心臓を刀か何かで刺し貫かれ、後者は胴体を深く縦に斬り裂かれていた。

「刀だな」

死体の傷口を見て、土方が推測する。
この二人は刀を持った敵に襲われ殺害されたと。
ズタズタになったカウンターも、刀によるものなのだろうか。
だとすれば、相当な刀の使い手である事は間違い無い。
入口付近のガラスの弾痕は、恐らく死体となった二人の内どちらかが反撃した時に
出来たものであろう。死体の傍には短機関銃と思しきものが転がっていた。

「…妙だな、死体は武器持ってるけど、手ェ付けられた様子はねぇぜ」
「シリウス」
「何だ」
「誰か来るぞ」
「…!?」

警察署の奥から足音が近付いてくる。
土方は直刀を、シリウスはチェーンソーをいつでも稼働出来る状態にして身構えた。


ギイイイ……。


廊下へ続く扉が開く。
そして、刀を携え、返り血を浴びた茶色の狼獣人の青年が現れた。

「…フフフ…また二人…現れたな……」
「…また…? …おい、お前」

狼青年――ノーチラスに、土方が直刀の切っ先を向けながら尋ねる。

「何だ……」
「そこに転がっている死体は――お前がやったのか?」
「……そうだ。こいつにもっと血を与えてやらないといけないからな」
「こいつって?」

シリウスがノーチラスに訊く。
するとノーチラスは右手に持った抜き身の刀――薄桜鬼の刃を二人に向けた。
その刀身には薄らと紫色の光が浮かんでいる。
それを見た時、土方は狼青年が持っている刀がただの業物では無い事を悟る。

(あれも妖刀か…? だが俺の持っている奴とは違って、タチが悪そうだな……)

以前、土方はとある妖刀に魂を侵され、ヘタれた二次元オタクと化した事があった。
狼青年が持っている刀も妖刀の類であると測れたのも実際に妖刀に取り憑かれた経験が
あったためだが――狼青年の持っている妖刀は土方の時とは比較にならない程、
血生臭く禍々しい、凶悪な波動を放っていた。

「こいつさ…薄桜鬼……俺はこいつに血をやらないといけないんだ……。
こいつに血を……もっと血を……」
「……どうやら完全に刀に操られちまってるらしいな」
「刀に操られてるだと…?」
「ああ…ありゃ妖刀だ。俺も以前、妖刀を手にしちまって大変な目に遭ったから分かんだよ。
だが……あいつはタチが悪そうだぜ」
「ごちゃごちゃとうるさいんだよ……」

痺れを切らしたのかノーチラスが刀を腰溜めに構え、攻撃の体勢を取る。

「……薄桜鬼に血を吸わせてやってくれ」

その一言と共にノーチラスが駆け出した。


ガキィン!


「ぐっ…!」

間一髪で土方はノーチラスの斬撃を食い止める。

「土方!」

シリウスがチェーンソーを稼働させ、ノーチラスに向け襲い掛かる。

「邪魔だな」
「ぬおっ!?」

ノーチラスは土方を蹴り飛ばし間合いを作ると、狙いをシリウスに変えた。
激しい駆動音を発しながらチェーンソーがノーチラスに振り下ろされた。


ガッ!


だが、チェーンソーのやかましい駆動音は突如として止む。

「な……嘘だろ!?」

持ち主のシリウスが驚愕するのは、チェーンソーの鋸部分が綺麗に切断されてしまったためだ。
切断と同時にチェーンソーは単なる鉄の塊と化してしまった。
ノーチラスは振り払った刃を瞬時に逆さにし、そのままシリウスに向け薙ぎ払った。

「シリウスッ!」

土方が叫ぶ。だが遅かった。

「……くそっ」


ザシュッ!!


シリウスの首が、飛んだ。
切断面から血の噴水を噴き上げ、シリウスの胴体は床に崩れ落ちた。

「……ぬおおおおおおおおああああああああ!!」

土方の頭の中で何かが音を立てて切れた。
雄叫びを上げながら、直刀をノーチラスの背中に向け振り下ろす。

ズシャアッ!!

「ぐああぁぁあっ」

背中を深く袈裟に斬られ、ノーチラスが呻き声を上げる。
土方は一気に畳み掛けようと目にも止まらぬ速さで斬撃を繰り出した。
ノーチラスも必死に薄桜鬼で受け止めるがそれでも身体の至る所に傷を負う。
薄桜鬼のもたらす治癒の力でも間に合わない程であった。

(不利、か……仕方無い)

ノーチラスは土方の刀を打ち払うと、警察署出入口に向かって走り出す。

「逃がすか!!」

怒りに燃える土方はノーチラスの後を追った。



【シリウス@オリキャラ  死亡】
【残り20人】



【一日目/朝方/F-1警察署周辺】
【土方十四郎@銀魂】
[状態]健康、ノーチラス(名前は知らない)に対する激しい怒り、ノーチラスを追跡中
[装備]直刀
[所持品]基本支給品一式(食糧一食分消費)、煙草(残り8箱)、
 業務用マヨネーズ(半分消費)、100円ライター(残りガス少ない、調達品)
[思考・行動]
 基本:殺し合いを潰す。首輪を何とかしたい。襲い掛かる者とは戦う。
 1:ノーチラスの討伐。
 2:坂田銀時を捜す。
[備考]
 ※原作かぶき町四天王篇終了後からの参戦です。

【ノーチラス@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]精神被支配、返り血(大)、人斬りに対する快感、
 上着が穴だらけで血塗れ、背中に深い袈裟斬りの傷及び身体中に斬り傷
 (治癒が追い付かず)、北に向かって走っている
[装備]妖刀「薄桜鬼」
[所持品]基本支給品一式、トカレフ式自動拳銃(8/8)、トカレフのマガジン(8×3)、
 グロック26(11/12)、グロック26マガジン(12×3)、ベレッタM92FS(5/15)、
 ベレッタM92FSマガジン(15×3)、手榴弾(3)、ドス
[思考・行動]
 基本:薄桜鬼に血を……。
 1:一旦逃げよう…。
 2:クラスメイト…。
[備考]
 ※本編死亡後からの参戦です。
 ※妖刀「薄桜鬼」の力で身体能力が飛躍的に向上しています、が、
 その内に身体が悲鳴を上げる可能性があります。
 ※妖刀「薄桜鬼」により精神を支配されていますが、ある程度自我はあります。
 但し、薄桜鬼に基づいて行動するようになっています。
 ※放送は一応聞きました。


※F-1警察署内にシリウスの死体と所持品が放置されています。
チェーンソーは使用不能になりました。


フラグを踏んだらサヨウナラ 時系列順 愚者の舞
フラグを踏んだらサヨウナラ 投下順 愚者の舞

現実は時に想像すらも超える 土方十四郎 まもりきれぬもの
現実は時に想像すらも超える シリウス 死亡
死をも許されぬ傀儡 ノーチラス まもりきれぬもの

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最終更新:2010年10月17日 02:39
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