此処は、病院だ。部屋の片隅には点滴等が置いてあり、
ところどころに血痕の跡なども見られる。果たしてそれが織田信長の殺戮の跡かは、分からない。
しかし、そんな病室に、空を仰ぐ一人の男がいた。
――――――――――――――浦島太郎。
といっても、童話の浦島太郎ではない。
彼は御伽銀行という組織に所属する一人の学生だ
顔は端整で、性格も女には優しい。まあ、男にまったく興味がなく、女性に目がないのが玉にキズだったが、彼を一途に愛してくれる女性がいた。
『私は、太郎様をいつまでも、愛していますよ』
「………………やっぱり、負けるわけにはいかないな」
浦島はポケットのホルスターから一丁の銃を取り出す
ウィンチェスター銃で、西部劇でよく使われるものだ
弾丸は六発。おそらく織田信長が生み出したものだろう、織田の家紋があるあたり。
浦島は構える真似事をしてみると、もう一度ホルスターにウィンチェスターをしまった。
全て殺そう、乙姫の為に。全て壊そう、自分の為に。
次の瞬間、
「うああああぁぁぁぁああああああああああああああっ!!」
少年の叫びだった
後ろを振り返ると、眼鏡の少年が金属バットを振りかざしていた
「ちっ!!」
浦島は少年のわき腹に蹴りを叩き込む。
グラッ、と少年の重心が崩れたのを確認して、構え直される前に銃を構えた。
パァン、パァン。
二発の銃声が響いて、少年の顔面が吹き飛んでいた。
強力に改造されているのだろうか、と浦島が考えた瞬間、自分は一度しか引き金を引いていないし、そもそもリロードをしていないことを思い出す。
だが、浦島の右肩に、激痛が走った。
「な………ん、だ…これは…っ!」
致命傷にはなっていないが、これは何かに支障が出るかもしれない。
浦島は左手でウィンチェスターを構え直し、出口付近に向けた。リロードは少年を殺したときに終わっていた。引き金を引けば、あれだけの威力の弾丸が放たれるのだ。
しかし、銃口の先に立っていたのは、見知った顔だった
「――――――――――――――――――大、神」
「何やってんだよ、浦島……!?」
大神涼子。浦島の同僚で、同じくこのゲームの参加者だ。
これは不都合だ、と浦島は思う。いくら浦島がゲームに乗っていても、同僚を殺して心が痛まないほど終わってはいない。
だが、大神は躊躇なく浦島を撃った。おそらく少年を助けようとしたのだろう。銃に慣れていたら、危険だった
「何で、こいつを殺したんだよ!!お前はこんなくだらない実験に乗ったのか?」
「ああ、乗った」
即答した
「俺は乙姫のところに帰らなくちゃならない、あいつを裏切ることはできないんだ」
「だから、俺は大神、お前や頭取、………森野も殺すことになる」
森野と聞いたとき、涼子は銃を再び構える。
「撃ってみろよ、大神」
浦島が少し、笑みを浮かべてそういった。
「撃てる覚悟はお前にはないんだろ?急所に当てるなんて、絶対お前にはできない」
「違う!お前が亮士を殺すっていうんなら、俺だってお前を殺す!!」
涼子の手は、小刻みに震えていた。手の震えは、銃撃の精度を大きく下げる。
「お前は人を殺せない。大体、リロードを忘れるような素人には、俺は殺されない」
場を、沈黙が支配した。
数秒、いや、数分だったかもしれない。時間が経ち、涼子は悲しそうに眉をひそめ、
銃をゆっくり降ろした。
そして、毅然とした表情で、浦島にこう言った。
「確かに、今の俺には浦島どころか、ほかの奴だって殺せないだろうさ。だけど俺は、強くなる!そして、お前を止めてやる!」
「楽しみにしてるよ」
浦島は、至急品の包帯で止血をしながら、涼子の前を立ち去った。
「浦島…………」
【一日目/深夜】
【浦島太郎@オオカミさんと七人の仲間たち】
[状態]右肩に銃創(止血済)
[装備]改造ウィンチェスター
[所持品]基本支給品一式
[思考・行動]
基本:殺し合いに乗る
1:大神、頭取、森野にも容赦はしない。
[備考]
【一日目/深夜】
【大神涼子@オオカミさんと七人の仲間たち】
[状態]健康、悲しみ
[装備]拳銃(警官)
[所持品]基本支給品一式
[思考・行動]
基本:殺し合いに乗らない。主催者を倒す。
1:浦島…。
[備考]
※アニメ最終話、亮士に恋心を抱いていることを確信したときからの参戦です
【小鳥遊宗太@WORKING!!】 死亡確認
【残り27/29人】
最終更新:2011年03月20日 21:44