49話 宿命-sadame-
癪に障る主催者の声で第一回目の放送が会場中に流れた。
最初の四時間で14人もの死者が出たらしい。
先刻会った源ちずると、今捜し歩いている俺の弟ギンギライガーの名前は呼ばれなかった。
ちずる……知人の少年を殺した犯人――銀髪の少女だったか――に、
復讐心を燃やしていたが、その復讐は果たしたのだろうか。
それともまだ果たせてはいないのか……俺にはもう関係無いがな。
ギンギライガーがまだ生きている事が分かっただけで良い。
決着を着けるチャンスはまだ残っている。
禁止エリアは何とか地図に分かる程度には書き込んだ。
気付かず入って爆死は避けたい。
「……」
ギンギライガー……今どうしてるんだろうな。
「……ん」
嗅ぎ覚えのある匂いを、俺の鼻が嗅ぎ付けた。
間違い無い。間違えるはずは無い。
俺はとある民家の前に立った。
匂いはこの民家の中に続いている。ここに、いる。
「ギンギライガー。いるんだろう」
……。
……。
……。
入口の扉がゆっくりと開き、中からそいつは出てきた。
銀色の毛皮が赤く染まっている。怪我をしているのだろうか。
「ギンギライガー…やっと会えたな」
「ライガーか……」
「傷を負っているのか?」
「フン…大した事無い」
心無しか、ギンギライガーの表情に元気が無いように見える。
何かあったのか?
◆
放送によって発表された14人の死者の中に、兄のライガーの名前は無かった。
当然か、あいつが簡単にくたばる訳が無い。
禁止エリアは北のホテルのあるエリアが指定された事以外は、気にする必要は無さそうだ。
……傷の痛みもだいぶ収まり、治癒もした。
取り乱して、涙を流したりもした。
だが、もう大丈夫だ、落ち着いている。今の俺は。
俺は弱くなんか無い、ムー様に忠誠を誓い生まれ変わったんだ、もう昔の俺なんかじゃない。
それをライガーを倒して証明してみせる。
「ギンギライガー。いるんだろう」
……外から聞き覚えのある声が聞こえた。
この声、間違い無い。
……。
……。
……。
扉を開け、ゆっくりと外に出る。
門の前にいた――青と白の獣。俺が捜し求めていた影。
「ギンギライガー…やっと会えたな」
「ライガーか……」
「傷を負っているのか?」
「フン…大した事無い」
傷の事を聞かれるが流す。
余りに無様で、話したくも無い。それより……やっとライガーに会えたんだ。
これからするべき事は一つしか無い。
「……ギンギライガー。お前はこの殺し合いに乗っているのか」
「…乗っている、と言ったら?」
「どっちでも構わないがな…どちらにせよ」
ライガーが身構え、俺も同じく戦闘態勢を取った。
「お前と決着を着けるだけだ」
「……フン……行くぞ」
「ああ」
◆
夜明け前の市街地を、二人の獣が駆け、戦っていた。
牙で噛み付き、爪で引き裂き、目にも止まらぬ速さで動き回る。
アスファルトの上には血しぶきが飛び散り、巻き添えになった窓ガラスや
ゴミ箱は見るも無残に破壊されていった。
「ガアアアア!」
青と白の獣が吼える。
「グルルルル!」
銀と白の獣が唸る。
牙と牙、爪と爪がぶつかり合う音が静かな街に響いていた。
【一日目/早朝/B-7住宅街】
【ライガー@モンスターファーム~円盤石の秘密~】
[状態]肉体的疲労(小)、身体中に切り傷と噛み傷、高速移動中
[装備]無し
[所持品]基本支給品一式
[思考・行動]
基本:ギンギライガーと決着を着ける。
1:ギンギライガーを倒す。
[備考]
※アニメ27話、ギンギライガーとの一対一の対決直前からの参戦です。
【ギンギライガー@モンスターファーム~円盤石の秘密~】
[状態]肉体的疲労(小)、精神的疲労(中)、胴体に三発被弾(出血は止まっている)、
身体中に切り傷と噛み傷、高速移動中
[装備]無し
[所持品]基本支給品一式、不明支給品(未確認)
[思考・行動]
基本:ライガーと決着を着ける。
1:ライガーを殺す。それのみ。
[備考]
※アニメ27話、一対一の対決直前からの参戦です。従ってワルモンです。
※源ちずる、テト(名前は知らない)の容姿を記憶しました。
※A-6方面へ移動していたつもりが、何らかの間違いで
B-7方面へ来てしまったようです。
最終更新:2010年10月08日 22:35