疾走スル狂刃


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44話 疾走スル狂刃


信じられない。信じられないよ。
今の僕には理解出来ない。

優しいけど芯の強かった静香ちゃん。
乱暴者だけど妹思いでいざと言う時は頼りになるジャイアン。
腹立つ言動が多かったけどそれでも友達だったスネ夫。

みんなが、死んでしまったなんて。


病院近くの民家、眼鏡の少年野比のび太は放送を聞いて愕然としていた。
この殺し合いに呼ばれていた自分の友達三人の名前が死亡者として呼ばれたのだ。

「嘘でしょ……そんな……みんなが…死んだなんて…」

信じたく無かった。たった四時間の間に、今まで数々の冒険を共にした、
大切な友達四人が、全員、この世からいなくなってしまったなんて。
だが、開催式の時、主催者は女性の首輪を爆破し、殺した。
つまり本気――冗談などでは無い――三人は、死んだ。

信じる信じないに関わらず、それが不変の現実。

受け入れるしか無かった。

「う……あ……あああああああああ……!
何で……! 何でこんなっ……!」

のび太は床に突っ伏し、声を上げて泣いた。
あれが最後だったと言うのか。あの開催式の時にみんなと会ったのが、
最後の別れになってしまったと言うのか。
どうして、なぜ三人が死ななければならなかった? どうして――?

「ああああ…うっ…ぐすっ……えぐっ……!
僕はどうすれば良いんだよ…! 助けて…助けてドラえもん…!」

今まで友達がどこかで生きているという希望を持ち行動していたのび太にとって、
三人の死は、その希望を絶望へと変化させるのに十分な材料だった。
この殺し合いにはいない、青い猫型ロボットに助けを乞うのび太。

「――どうすれば良いか教えてやるよ」

だが、聞こえた返事はいつもの少ししゃがれた声では無く、低目の青年の声。
それも背後から。

のび太は驚いて振り向いた。

「こいつにお前の血を与えてやってくれ」


ドカァッ!!


のび太が最期に見たものは、自分の首に向かって刃を振るう人影だった。



「……美味いか、薄桜鬼……」

真っ赤に染まったリビング、首と胴体が離れ離れになった眼鏡の少年の死体の傍で、
返り血を少し浴びた狼獣人の青年、ノーチラスは、文字通り血を「吸っている」、
得物の刀、薄桜鬼をまるで飼い犬が餌を食べるのを見るような目付きで見る。

民家から泣き声がすると思って入って見れば、案の定、参加者がいた。
小学校高学年ぐらいの、黄色い服を着た眼鏡の少年。
恐らくさっきの放送で友人か誰かの名前が呼ばれ、それで泣いていたのだろう。
泣く事に夢中で、背後まで迫った自分には気付いていないようだった。

「ああああ…うっ…ぐすっ……えぐっ……!
僕はどうすれば良いんだよ…! 助けて…助けてドラえもん…!」

などと言っていたので、ノーチラスは道を指し示す事にした。


即ち、薄桜鬼に血を捧げさせる――。


少年が持っていた拳銃とマガジンを回収し、ノーチラスは民家を出た。

ダァン!! ダァン!! ダァン!!

「…ッ!」

側方からの銃撃を、薄桜鬼の力により平時より遥かに上昇した反射神経により
ノーチラスは難なくかわした。
そしてすぐさま、銃撃犯のいる方向へ身構え、刀を向ける。
自分に拳銃らしき物を向ける、背中から翼の生えた青と白の二足歩行の狼に。

二足歩行の翼の生えた狼――マティアスは、
ベレッタM92FSの銃口を向けながら少し驚いた表情を浮かべていた。
不意を突いたつもりだったがまさかああも簡単に回避されるとは。
ただの獣人の青年に見えたが――どうやら間違いだったらしい。

「…あの刀…」

マティアスはノーチラスが持つ、薄らと紫色の光を帯びた刀に目をやる。
離れていても、刀が異様な波動を放っているのがはっきりと感じられた。

「ただの刀じゃないな…」
「……こうも立て続けに獲物と出会えるなんて嬉しいな……。
薄桜鬼も、喜んでいるよ……ククク」
「…ハクオウキ…刀の名前か?」
「ああ……もっとこいつに血をやらなくちゃ、いけないんだ…こいつが、
血を欲しいって言っているから……!」

熱に浮かされたように喋るノーチラスを見て、マティアスは直感する。
こいつは刀に操られていると。
恐らくは先程の驚くべき反射神経も刀の力によるものだろうか。
だとすれば、相手は自分が思っている以上に厄介かもしれない。

(後一時間でこの辺りは禁止エリアになる…戦いが長引くとまずい…。
首輪で爆死は俺も御免だからね…ここは逃げておこうか)

先刻の放送で現在位置である病院のあるエリアは一時間後に禁止エリアになると告知された。
一時間と言うのは思っている以上に経つのが早い。
まごついているとあっと言う間に禁止エリアになる時刻になってしまう。
相手が簡単に仕留められないようなら戦いは長引く。
はっきり言って逃げるのは不本意だったが――。

「遅い」

だが、マティアスは思考に時間を欠き過ぎた。
気付いた時には、既に、刀を構えた茶色の狼の青年が目の前まで迫っていた。




ノーチラスは上機嫌であった。
放送後、一気に二人分の血を薄桜鬼に吸わせる事が出来たのだから。

「ははははは……良いな、久し振りに最高の気分だ……」

しかし、ノーチラス自身は気付いていない。
いつの間にか、刀に血を吸わせるためでは無く、自分自身も、
人を斬る事に快感を覚えてきている事に。



……妖刀って奴か……恐ろしいな…多分…元の人格はとうに色褪せているんだろうね。

このまま刀に呑まれるか、それとも……。

ああ、俺にはもう、関係の無い、事だけど。

結局……俺は…大した事出来なかったな……ははは…………。



ほとんど血塗れの肉塊と化したマティアスは、
残された最期の時間を、たった一人殺しただけで終わる自分への嘲笑に使った。



【野比のび太@ドラえもん  死亡】
【マティアス@オリキャラ  死亡】
【残り35人】



【一日目/早朝/F-3病院周辺の市街地】
【ノーチラス@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]精神被支配、現在は冷静、返り血(小)、人斬りに対する快感
[装備]妖刀「薄桜鬼」
[所持品]基本支給品一式、トカレフ式自動拳銃(8/8)、トカレフのマガジン(8×3)、
 グロック26(11/12)、グロック26マガジン(12×3)
[思考・行動]
 基本:薄桜鬼に血を……。
 1:獲物を捜す。
 2:クラスメイトは…。
[備考]
 ※本編死亡後からの参戦です。
 ※妖刀「薄桜鬼」の力で身体能力が飛躍的に向上しています、が、
 その内に身体が悲鳴を上げる可能性があります。
 ※妖刀「薄桜鬼」により精神を支配されていますが、ある程度自我はあります。
 但し、薄桜鬼に基づいて行動するようになっています。
 ※放送は一応聞きました。


※F-3一帯と周辺に銃声が響きました。
※F-3病院周辺の民家の中に野比のび太の死体、
野比のび太のデイパック(基本支給品一式、サーベル、蜘蛛糸玉(3)入り)が放置されています。
また、F-3病院周辺の市街地の路上にマティアスの死体と所持品が放置されています。


ロンリーウルフ 時系列順 背筋伸ばして生きていけ
ロンリーウルフ 投下順 背筋伸ばして生きていけ

闇より来る者 野比のび太 死亡
闇より来る者 ノーチラス 死をも許されぬ傀儡
ひゅるりひゅるり マティアス 死亡
ツールボックス

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