闇(推理キャラロワ)


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【闇】

1.暗い状態。光のささない状態。また、その所。「―に紛れる」
3.心が乱れて、正しい判断ができなくなること。「恩愛の―」
4.人に知られないところ。「―に葬る」
5.前途に希望のないこと。見通しのきかないこと。「一寸先は―」
6.秩序の失われた状態。道義が行われないこと。「義理が廃ればこの世は―だ」

――三省堂『大辞林 第二版』より一部抜粋



推理キャラロワ 第0話 「闇」



闇。
その空間は一言で言ってしまえばそんなところだった。
時間差はあれど、徐々に目を覚ました者たちのざわめきが次第に大きくなっていく。
ここが何処なのか、それすら分からず集められた人間、実に65名。
不安。怒り。動揺。そこには様々な負の感情が渦巻いていた。

……と。
その時、まるでスポットライトが当たったかのようにある一点が照らし出された。
途端に全員の視線がその一点に集中し、先程までざわめいていた空間は水を打ったように静かになった。
まるで65人を見下ろすかのように一段高いところに照らし出されたのは一人の男だった。

「これはこれは皆さん、今日はお集まりいただき感謝する」

両手を開き歓待の意を示す男だったが、その顔には歪な笑みが貼り付けられていた。
悪意に満ちたその表情に危険性を感じた者は多かったようで、再びざわめきが起きる。
中にはその声色、その容姿に心当たりがある者が複数いたようで、それぞれに意外な表情を見せていた。
男は見知った者たちの動揺を感じ取り、しばし悦に浸ったところで言葉を続ける。

「先に自己紹介をしておこう。私はシックス、『選ばれし血族』の頂点に君臨するものだ。
 今ここに集まってもらったのは他でもない、君たちもまた『選ばれし血族』の候補であるからだ」

シックスなる男の言う『選ばれし血族』なる謎の単語。
何が何だか分からない者たちが一様に怪訝そうな表情を浮かべる。
よりいっそうざわめきが多くなる空間で、シックスとはまた別の方向にスポットライトが当たる。
照らし出されたのは先程の男とは印象の異なる、一見すると細身の優男。
だが、その顔に貼り付けられていた笑みはシックスと同種のものであった。

「……ですが、少々これでは『選ばれし』と称するには人数が多いようですね……
 ……そこで、ご足労いただいたところ申し訳ないのですが、ここは一つ選別をさせてもらいましょう」

落ち着き払った声で優男が言葉を並べていく。
眼下にひしめく一団の中から優男の知り合いなのか、「高遠っっ!!」と怒声が聞こえてくる。
だが、高遠と呼ばれた男はそんな声にも顔色一つ変えることはなく、一瞥さえしなかった。
次いで、またスポットライトが一人の男を照らす。
高遠とはまた違った雰囲気の細身の男の姿に、また各所からどよめきが起こる。


「ルールは簡単です。あなた達の中で誰か1人だけを『選ばれし血族』として末席に加えましょう。
 その為に、これからあなた達には血で血を洗う抗争に身を投じていただきましょう。
 そう、所謂『バトルロワイアル』というやつです」

暗に殺しあえ、ということを意味する言葉に辺りは今までで一番大きいざわめきに包まれた。
群衆の中からは3人目の男の名を示すらしい"ケルベロス"なる単語もポツリポツリと発せられていた。
ふざけるな、何様のつもりだ、そんな怒声も響き渡ったその直後。

……ドン!

大きな音が響き渡り、一瞬にしてどよめきが鎮められた。
65人の視線が音のする方へ向いたと同時に、4つ目のスポットライトが照らしていたのは長身で金髪の男。
その服装は黒一色に統一されており、その鋭い眼力と相まって不気味さを下にひしめく者たちに与えた。
左手はポケットに突っ込まれたまま、右手は銃を握って天高く上げられている。
上に向けての威嚇発砲だったわけだが、銃という凶器があるという事実が65人に与えた影響は大きかった。
男達が冗談や悪ふざけでなく、本気で殺し合いをさせようという意思を感じ取るには十分であった。

「ダメですねぇ……きちんと人の話は聞いておかないと後悔しますよ?」

呆れかえったような声で高遠が吐き捨てた。
銃声に気圧された者が大半だったようで、そうでなかった者も4人の動きを一瞬たりとも見逃すまいと厳しい視線を送る。
結果として、先程までのざわめきとは打って変わって場には静寂が訪れた。

「では、ルール説明を続けましょう。
 これから皆さんにはとある島に向かっていただき、そこでバトルロワイアルを行ってもらいます。
 あぁ、もちろん丸腰というのもなんでしょうから、皆さんには適当に武器を与えるとしましょうか。
 何が当たるかは向こうへ言ってのお楽しみにしましょう、『選ばれし血族』になるには運もまた必要ですしね」

ケルベロスと一部に呼ばれた男が冷静にルール説明を続ける。
続いて、高遠が自分の首の辺りをチョンチョンと指差しながら話し始めた。

「島、と言いましたが逃げようとしても無駄ですよ?
 あなた達の首には勝手ながら首輪をつけさせていただきました。
 これがある限り、皆さんは常に我々の監視下にあることをお忘れなく……」
「やかましいわ! さっきからゴチャゴチャと訳の分からんことを……!」

高遠の言葉を遮るようにして、関西弁を話すリーゼントヘアの男が群集をかき分けて前に出てきた。

「何が『選ばれし血族』や? 何が『バトルロワイアル』や? お前ら頭おかしいんと違うか?」

怒りが収まらないらしく、男は一気にまくし立てる。
黒服の男がそんな男に銃口を向けようとするが、シックスがそれを手で制するように合図を送る。

「それでは何だ? お前は『選ばれし血族』になれるかもしれない栄誉を自ら放棄するというのだな?」
「当たり前やろ!? どこの馬の骨とも分からんキ○ガイに選ばれたって嬉しくも何ともないわ!
 ええからさっさとこの胸糞悪い首輪を外せや! 俺は犬と違うんやぞ!」
「ふむ……そこまで言うなら仕方ない」

やれやれ、といった表情をシックスが見せながら指をパチンと鳴らした、次の瞬間だった。

……ボン!

炸裂音が響き渡り、辺りを閃光が照らした。
一瞬目を閉じた近くの者たちが次に見たのは、首から上を失った関西弁の男の胴体がゆっくりと崩れ去る様子だった。
少し遅れて爆発で飛ばされた首が落ちて床を転がり、同時に鮮血が辺りを紅に染めた。
衝撃的な光景に息を飲む者、悲鳴を上げる者、目を背ける者……残った64人がそれぞれに反応を示した。
それぞれの反応を愉しみながら、シックスが口を開く。


「今のを見れば分かったかとは思うが……お前達に反抗の余地など無い。
 不穏な動きがあれば……今の男のような末路を辿ることになることをゆめゆめ忘れるな」

シックスの口元が邪な笑みで吊りあがった。
少し溜めを作った後、もっとも、とシックスが前置きをして話を続ける。

「私は叡智を求めているものでな、その首輪を外してのける者がいるのなら1人とは言わない。
 2人でも3人でも……なんだったら全員でも構わん、我が配下としてやることもやぶさかでないぞ。
 その為のチャンスも舞台には十二分に用意しておこう。
 なにせ、今は慢性的な人材不足なものでな、猫の手でも借りたいのだよ」

ひとしきり言葉を並べ、シックスは高笑いをしてみせた。
高笑いするシックスを尻目に、高遠とケルベロスが続ける。

「そうそう、大事なことを忘れていました……
 会場の島の地図は皆さんにお渡ししますが、その島を6×6の36のエリアに分けました」
「2時間に1つずつ、どこかのエリアが禁止エリアに指定され、そこに踏み込んだ方は……ドカン!です。
 ……つまり、エリアは36個ですから、72時間経っても生き残りが複数いた場合は全員の首輪が爆破されることになりますね。
 また、12時間に渡って脱落者が出なかった場合も同様に全員の首輪を爆破させていただきますので悪しからず」

2人の説明が終わるのを待って、シックスが高圧的な態度で説明を付け加える。

「では、最初の禁止エリアの発表といこう、聞き逃しても次は無いからな?
 2時からF-1、4時からA-3、6時からE-6だ。
 私からは6時間に一度、追加の禁止エリアと脱落者を放送で案内しよう。
 それでは……精々頑張りたまえ」

その言葉と同時に、黒服の男が無言でまた一発発砲した。
まるでマラソンの号砲のようなその音とともに、また辺りが一面闇に包まれ……
闇が晴れた時に残されたのは関西弁の男の遺体に、舞台上の4人の男と……異形の存在が1つ。
異形の者がキシシ、と薄ら笑いを浮かべながらシックスに近づく。

「それにしてもえげつないことするんだな、ノートをこんなことに使った奴はお前が初めてだ」
「私からすればそのようなノートを市井の者に預けて反応を見ようとするリュークの方がえげつなく思えるがな」

意に介さないような表情でシックスが返すと、それに高遠が言葉を継ぐ。

「まぁ、そもそも人間誰しも心のどこかに悪意を秘めているものですからね」
「性悪説というやつですか、実に興味深いですね、貴方もそう思うでしょう、ジンさん?」
「フン……」

ケルベロスに水を向けられた黒服の男――ジンだったが、他の者たちとは距離を置く姿勢をとった。
安易に与することはないような、そんな思惑はジンのみならず、高遠も、ケルベロスも、シックスも同じだった。
そんな四者四様の思惑を感じ取ったリュークは笑いをこらえきれない。

(やっぱり……人間って面白! 月に負けず劣らず面白そうな奴らがいるものだな!)

一転の曇りも無く闇に染め上げられた者たち。
そうした者たちの思惑が闇に蠢く饗宴が、その幕を静かに開けようとしていた。

【島田 紳助@さんまの名探偵 死亡】
【残り 64人】
【推理キャラロワ 開幕】


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島田 紳助 死亡

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