―――――――昔々のお話。
動物たちと、鳥たちが戦争をしていました。
一匹のこうもりは、場において有利な方に味方し、生き延びていきました。
しかし、双方が和解したとき、こうもりはどちらの仲間にも入れず、
一人ぼっちになりました――――――――――。
俺は多分、こうもりと同じなんだろうな。
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天を仰ぐ、一人の少年がいた。
「何でだよ…!何でまた、殺し合いなんだよ……!?」
七原秋也は、殺し合いの経験者だ。とはいっても、戦ったのはほとんど一緒にいた、もう二度と逢えない友だったが。
たくさんの人たちを失った。自分に恋してくれた人たち、家族同然の親友、
いろんなことを教えてくれた友人も。
「織田信長…………許さねぇ」
島民たちの命を簡単に奪い取り、大勢の人たちを巻き込んだ男。
大勢の人たち?
「あれ…。三村と桐山は、死んだんじゃなかったのか………?」
三村は七原が確認はしていないが、桐山は確かに川田章吾に射殺された筈だ。
これはまずい。桐山がもう一度ゲームに乗れば、恐らく多数の死者が出る。
「どうすりゃ良いんだよ……っ」
「じゃあ、さ」
「俺 が 教 え て あ げ よ う か ?」
後ろを振り向くと、そこには青髪の若い青年が立っていた。
二十歳くらいだろうか、好青年な印象を受ける。
「驚かせちゃったかな、俺は相馬博臣、勿論実験には反対さ」
「で、相馬さん、教えてあげるって、何を…?」
相馬は一呼吸置くと、言葉を発した。
「このゲームから皆を救い出す方法」
七原は目を大きく見開いた。そんな方法があるのか?
「それは……どうやって……?」
「なぁに、簡単なことだよ。君が、殺人者たちを殺してしまえばいい」
つまりマーダーキラーかな、と相馬は笑顔で付け加えた。七原はゆっくりと、
「相馬さん、無理だ。俺は前にもこんなくそゲームに参加したことがあるんだ。そのとき、クラスメイトを殺してしまったんだ。そのとき、凄く、いやだった。人間、皆死にたくないんだよ、だから―――――」
「そうかい」
七原は、感じた。まるで、麻酔無しで外科手術をするような痛み。
湧き上がる、赤い液体。
「う………ヴ…あ…?」
相馬は、変わらずにっこりと、微笑んでいた。黒光りする拳銃を構えて。
「それなら、君は要らないよ。ああ、安心して。肺を撃ったから、すぐに死ねるさ。」
「(の、りこ――――――――さ)」
七原秋也が、死んだ。幸せな生き残りの少年は、動かない。
「やっぱり。俺はこうもりだ。だけどね、俺は」
「どっちも見捨てられるんだよ」
【一日目/深夜】
【相馬博臣@WORKING!!】
[状態]健康
[装備]コック服、改造拳銃(6/6)
[所持品]基本支給品一式
[思考・行動]
基本:人間を操って優勝する
1.佐藤君と小鳥遊君は…………。
[備考]
【七原秋也@BATTLE ROYALE】 死亡確認
【残り28/29人】
最終更新:2011年03月20日 21:43