13話 Dark field
黒髪の妖艶な美女、エロリアはエリアC-2市街地の川沿いにある道路で目を覚ました。
近くを流れる川の音に誘われ、柵から月の光を反射する黒々とした川を見下ろす。
そして、しばらくして川を見るのをやめ、近くの路上に置かれていた黒いデイパックを見付けた。
「これが私の支給品かしら」
手に取り、街灯の近くで中身を調べる。
そして取り出したのは大型自動拳銃H&K MARK23と、参加者の顔写真が付いた名簿であった。
打刀を装備し、顔写真付参加者名簿に目を通してみる。
顔写真は証明写真らしい物や、隠し撮りされたらしい物まで様々だ。
「結構可愛い女の子もいるみたいだけど…そんな事言ってる場合じゃないか」
元々同性愛の気があるエロリアは自分好みの女性を見付けるが、
殺し合いという状況を考慮し自重した。
「にしても…ディオナ…気の毒に…」
開催式で首輪を爆破され見せしめに殺された同僚の事を思い出す。
普段それ程仲間意識も強くなかったため余り悲しくは無かったが、
だからと言って何の感情も抱かないという訳でも無い。
「何者なのかしら、あの香取って男…傍にいた白い狐の獣人の女もちょっと気になるし、
あ、いや、変な意味じゃないけど。とにかく…これからどうしようか」
これからの行動についてエロリアが考えようとした、その時。
ダァン!
「!!」
一発の銃声と共に、エロリアのすぐ近くの柵から火花が散った。
続けて、二発、三発と銃声が響く。
銃撃されていると判断したエロリアはデイパックを拾い急いでどこかに身を潜めようとした。
だが、四発目の銃声と同時にエロリアの胸元から鮮血が噴き出した。
「ぐぁ…!」
衝撃で手にしていたMARK23を地面に落とし、柵に寄り掛かるエロリア。
肺が傷付いたのだろうか喉の奥から鉄の味のする液体が込み上げ、息苦しい。
そして五発目の銃声が響いた。再びエロリアの胸から鮮血が噴き出した。
二発の銃弾は彼女の生命維持器官を破壊した。
エロリアの口から更に大量の血が溢れる。
「……」
柵にもたれていたエロリアは、そのまま後ろ向きに、柵の向こう側へと落ちた。
ドボン、と、川に水しぶきが上がった。
「はぁ、はぁ」
銃口から煙を噴き出す自動拳銃、南部十四年式拳銃を携え、
カーキ色の学校の制服に身を包んだ白い狼の少女、冬月蒼羅は、
柵から身を乗り出し、エロリアが落下した辺りの水面を見下ろす。
暗くて良くは分からないが、波紋が広がっているのが分かった。
「…殺しちゃった、私、人を……」
やや震えた声で蒼羅が言う。
その後、地面に落ちていたMARK23を拾い上げ、デイパックの中に突っ込んだ。
予備のマガジンもあっただろうが、恐らくあの女性と共に水の底だろう。
それでも銃は多い方が良いに越した事は無い。
自分の支給品はたった今女性を殺害するのに使った南部十四年式拳銃と、
指にはめているスピードリングなる、素早さが上がるらしい指輪。
指輪については説明書を読んだ際、真偽を疑ったが、いざはめてみると、
確かにはめる前より素早く身体を動かせるようになった。
「こんなトコで死にたくない…絶対に」
金色の瞳をぎらつかせながら、狼少女――冬月蒼羅は次の獲物を捜し始めた。
◆
水底へと沈んで行く中、エロリアは不思議と苦しくは無かった。
それどころか妙に穏やかな気分だった。
まさか、こんなにあっさり死ぬ事になるなんて……。
油断したな……ごめん、ディオナ、私もそっちへ行くしかないみたい……。
クレアスは…多分大丈夫、でしょ。まあ、殺し合いに乗るかどうかは別と、して。
ああ、でも…出来る事なら、もっと長生きしたかった…。
こんな……冷たくて、暗い水の底で……………。
【エロリア@VIPRPGシリーズ 死亡】
【残り 47人】
【一日目/深夜/C-3川沿いの市街地】
【冬月蒼羅@オリキャラ】
[状態]健康、精神不安定(軽度)、スピードリングにより素早さ向上
[装備]南部十四年式拳銃(3/8)、スピードリング
[所持品]基本支給品一式、南部十四年式拳銃マガジン(8×3)、
H&K MARK23(10/10)
[思考・行動]
基本:殺し合いに乗る。優勝を目指す。
1:誰であろうと容赦しない。
[備考]
※スピードリングの力により瞬発力や動体視力が向上しています。
※C-3一帯と周辺に銃声が響きました。
※C-3川の底にエロリアの死体、エロリアのデイパック(基本支給品一式、
H&K MARK23マガジン(10×3)、顔写真付参加者名簿入り)が沈んでいます。
浮かんでくる可能性もあります。
≪支給品紹介≫
【H&K MARK23】
1991年に開発された特殊部隊向けの大型自動拳銃。
堅牢な構造で命中精度も高いがかなり重い。
日本では「SOCOM」または「SOCOM PISTOL」という名前で広く知られている。
【顔写真付参加者名簿】
参加者全員分の顔写真が載った名簿。
顔写真は証明写真や盗撮写真など様々。
【南部十四年式拳銃】
旧日本軍の制式拳銃。日本陸軍の技術将校だった南部麒次郎が、
かつて自身が開発した南部式自動拳銃をベースに改良を施し開発した。
日本陸軍の代表的拳銃として大正から昭和の旧軍解散直前まで製造され続け、
将校や憲兵の携帯火器、またはパイロットや戦車兵の護身火器として終戦まで活躍した。
【スピードリング】
素早さが上がる魔法が施された指輪。
某RPGのアイテムが元。
≪オリキャラ紹介≫
【名前】冬月蒼羅(ふゆつき・そら)
【年齢】16
【性別】女
【職業】高校生
【性格】温厚だが、やや淫乱の気がある
【身体的特徴】白い毛皮の狼獣人、金色の瞳、巨乳
【服装】高校制服(カーキ色のブレザー、暗い緑のスカート)
【趣味】小説執筆(凌辱系)、妄想
【特技】性的な語彙が豊富
【経歴】小学5年の時に近所の公園にてホームレスの男に性的暴行を受けるが、
本人はトラウマにはなっていない様子(むしろ気持ち良かった良い思い出らしい)。
以来性に関して陰で貪欲になりつつある
【備考】発育が良く、小学校4年の頃から胸が大きくスタイルが良かった
最終更新:2010年09月26日 00:00