THE END OF THE GAME

55話 THE END OF THE GAME


森の中に存在する、多くの使い込まれた処刑器具が設置された、
煉瓦作りの高い塀に囲まれた広場。
黒狼レックスは、森を抜け、どこからか死臭の漂うその広場に足を踏み入れた。

「……近くに死体があるな」

辺りを警戒しながら、レックスは漂ってくる死臭を辿る。
処刑器具に染み付いたそれよりも、嗅いでいる死臭は真新しい。

「……うお」

そしてレックスは発見する。顔面に斧が刺さった露出の高い装具の若い女性と、
胴体が直視しかねる程損壊された同じく若い女性の、二つの死体を。

「これは酷い……」

今まで何人もの女性参加者を性的暴行の末その牙で殺害した彼でさえ、
思わず凄惨さに言葉を失う。

「ねえ」
「?」

ふと、レックスに声を掛ける者が現れる。
レックスが声のした方向を振り向く。

ドォン!!

「ぐあ!!」

爆ぜるような音が響き、直後にレックスの身体が軽く後ろに吹き飛んだ。

「があああ……い、痛ぇ……これは……散弾か?」

身体中に走る激痛にレックスが自分の身体を見ると、所々に小さな穴が空き、
そこから血が噴き出しているのが分かった。
辺りを見回すと、銃口から煙を噴き出す散弾銃と思しき銃をこちらに向け構えた、
血塗れの二足歩行の雌狐の姿を見付けた。

ドォン!!

「ぎゃあああぁぁああああぁああ!!」

再び爆ぜる音。そしてレックスの腹部が弾け、鮮血と内臓の破片が飛び散った。

「がはっ……がああ」
「ごめんなさいね、狼君」

雌狐――費覧はレックスを見下ろしながら、銃口を今度は黒狼の頭部に向ける。

「う……」

自分は腹に大穴を開けられ動く事が出来ない。
いや、もしこの場を凌げたとしても、腸を滅茶苦茶にされ出血も酷い。
どちらにしてももう自分は助かりそうにない。
レックスは覚悟を決め、固く目を瞑った。

「それじゃ……さよなら」

費覧はニヤリと笑みを浮かべながら、持っていた半自動散弾銃レミントンM1100の引き金を、


ダンッ!


「がはっ……!?」

引けなかった。一発の乾いた銃声が響いた直後、費覧は背中に衝撃を感じた。

「ふふふふふふ、あはははははは。みんな、殺してやる」

明らかに正気とは思えない笑い声を上げながら、
費覧に向け自動拳銃ベレッタM92FSの銃口を向ける、色黒のダークエルフの男。
男――ダーエロに向け、レミントンM1100を発射しようと費覧は銃口を向ける。
だが、間髪入れず、ダーエロはベレッタM92FSを費覧に向け乱射した。

ダンッ! ダンッ! ダンッ! ダンッ!

「ぐっ、うあっ、あっ」

レミントンM1100の引き金を絞る間も無く、次々と費覧の身体に穴が開けられていく。
その度に雌狐の毛皮は新鮮な赤で染まり、口から血反吐が溢れる。

「ははははははははははははは!!」

狂った笑い声を上げながら、ダーエロは尚も費覧を撃ち続けた。

(狂ってやがる……)

ダークエルフの男の様子を見て、心の中でレックスが呟く。

「がぁ……げほっ……な゛……なめ゛るなぁぁああ!!」

最早身体中に拳銃弾を食らい、立っている事もやっとになった雌狐だったが、
最期の力を振り絞り、レミントンM1100を構え、ダーエロに向けて発砲した。


ドォンッ!!


「ぎゃあぁあああぁぁあああああああああ!!!?」

ベレッタM92FSを構えていたダーエロの右腕の肘から先が吹き飛んだ。
肉の塊と化した右腕の肘から先が、ベレッタと共に地面に落ちる。
血が噴き出す傷口を半狂乱になりながら押さえようとするダーエロ。

ドォンッ!!

そこへ、費覧がレミントンM1100の弾倉内に残った最後のバックショット弾を撃ち込んだ。
ダーエロの身体が後ろへ吹き飛ばされ、地面に仰向けに倒れる。
胴体と顔に細かい穴が数多く空き、見開かれたままの目はどこも見ていなかった。
思い人のために殺し合いに乗り、見ず知らずの人間や大切な同僚までも手に掛け、
挙句の果てに思い人の死によって狂ってしまった哀れな男の最期であった。

男が倒れ、動かなくなった事を見届けると、費覧はガクリと両膝を地面に突き、
仰向けに倒れ、血溜まりを作って、同じように動かなくなった。

「……」

それを見たレックスも、既に意識が朦朧としていた。
どこか寒気を感じる。痛みも無い。と言うより、身体中の感覚が消えていっている。
間も無く自分も物言わぬ屍となるだろう。

(……死ぬのは嫌だったはずだけど……いざ死ぬってなると、結構冷静でいられるもんだな)

どうしようもなく眠くなってきた。いよいよだろう。
レックスはいつも寝床で眠りにつくように、ゆっくり目を閉じた。

(……色々可愛い子とヤれたし……もう、いいや……)




【ダーエロ@VIPRPG  死亡】
【費覧@オリキャラ・再登場組  死亡】
【レックス@オリキャラ・再登場組  死亡】
【残り  0人】


【ゲーム終了】


【優勝者無し――――ゲームオーバー】



救いなんて有りはしない、どこにも。 時系列順 [[]]
救いなんて有りはしない、どこにも。 投下順 [[]]

自重しない狼君 レックス 死亡
油断大敵を絵に描いたような 費覧 死亡
狂わば死鐘 ダーエロ 死亡

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最終更新:2010年08月21日 23:34
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