足軽の如く

34話 足軽の如く


紅白の鎧姿の男とジャージに烏帽子姿の男を追っていた
勤武尚晶だったが、市街地に入った所でその二人を見失ってしまった。

「見失ったか……まあいい」

そこまであの二人に固執する事も無いと諦めを付け、
尚晶は手近な建物で休息を取る事にした。

その建物は元々は雑居ビルだったのだろうが、使われなくなって久しいらしく、
廃墟のようになり今では物置のように使われているようだった。
古びたソファーが置かれていたので尚晶はそれに座った。
ふと、適当な壁を見ると、赤いスプレーか何かで落書きがされているのに気付く。
どうやら、大きな犬――狼かもしれない――が、四つん這いになった女を犯している絵のようだ。

「……」

自分もああやって生まれたのだろうか、と尚晶は思う。

尚晶は孤児院で育った。両親は全く以て不明。孤児院の前に赤子の時捨てられていたと、
孤児院の先生から聞かされた。

そして血液検査やDNA検査の結果、自分は純粋な人間では無く、
人間と妖狼の間に生まれたハーフだと言う事が分かったのは8歳の時。
自分の人間離れした鋭い八重牙、赤い瞳、縦に細長い瞳孔はそのせいだ。
人間の男と妖狼の雌が交わったのか、妖狼の雄と人間の女が交わったのかは分からない。
ただ、前者より後者の方が子供の生まれる確率は高いらしい。
とは言っても、そもそも人間と妖狼の間に子供が出来る事は、滅多に無い。
事実、市販で出回っている妖狼が出演している獣姦モノのアダルトビデオでは、
何の避妊対策もなされていない。

人間と獣のハーフは珍しく無い、尚晶の住む国では野良犬の雄と有名富豪の令嬢が
関係を持ち、生まれたハーフの子供が後に軍のトップになった例もある。
それ故、尚晶も差別的な事こそ無かったが、その赤い瞳や牙で恐れられる事はあった。

他愛も無い低俗な落書きと、自分の生い立ちを、尚晶は重ねていた。



ブライアンと聖徳太子は、市街地の一角にある倉庫の中に隠れていた。

「あの男はまだ近くにいるのだろうか」
「分からねぇけど……しばらくここから動かない方が良いな」

青い髪に赤い鉢巻を巻いた青年に追われ、
会場である島の北部の市街地まで来た二人。
どうにか青年は撒いたようだったが、まだ近くでうろついている可能性があるため、
油断は出来ない。

「やはり殺し合いに乗った奴はいるんだな……妹子の奴がますます心配になってきた」
「俺も……リリアやヘレン達が心配だ……」

殺し合いをする気になっている者と相対し、改めて今自分達が死と隣り合わせの
状況にいる事を実感し、同時に、殺し合いに呼ばれている知り合いの安否が気に掛かる、
ブライアンと聖徳太子。

出来る事なら、今すぐにでも捜しに行きたい。
だが、外にはもしかしたらついさっきの青年がいるかもしれない。
そうで無くとも、銃や剣を持った殺人鬼がうろうろしているかもしれない。
息を切らせ、心臓が破裂しそうな思いをしてやっと手に入れられた安息を
まだ手放したくは無い。

知り合いを心配する気持ちはあっても、自分の命を危険に晒してまで、
捜しに行こうとする度胸も勇気も、ブライアンと聖徳太子には無かった。



【一日目/午前/B-1市街地東部廃墟の雑居ビル内】
【勤武尚晶@オリキャラ・新規組】
[状態]肉体的疲労(小)、返り血(少)
[装備]備前長船兼光
[所持品]基本支給品一式、九八式軍刀、S&W M36(5/5)、38sp弾(15)
[思考・行動]
 基本:殺し合いを楽しむ。
 1:しばらく休息する。
[備考]
 ※ブライアン、聖徳太子(名前は知らない)の容姿を記憶しました。


【一日目/午前/B-2市街地西部倉庫内】
【ブライアン@VIPRPG】
[状態]肉体的疲労(中)
[装備]バトルアックス
[所持品]基本支給品一式
[思考・行動]
 基本:殺し合いを潰す。リリア達を捜す。死にたくない。
 1:聖徳太子と行動。
[備考]
 ※聖徳太子から小野妹子の情報を得ました。
 ※勤武尚晶(名前は知らない)の容姿を記憶しました。

【聖徳太子@ギャグマンガ日和】
[状態]肉体的疲労(中)
[装備]籠手
[所持品]基本支給品一式、双眼鏡
[思考・行動]
 基本:殺し合いを潰す。妹子を捜す。死にたくない。
 1:ブライアンと行動。
 2:武器が欲しい。
[備考]
 ※ブライアンからリリア達友人知人の情報を得ました。
 ※勤武尚晶(名前は知らない)の容姿を記憶しました。





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最終更新:2010年08月14日 22:47
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