23話 ちょっと危ないケモ竜娘
森の中に存在する、周囲を煉瓦の塀で囲まれた広場。
よく使い込まれた多くの刑具が至る所に設置されており、
心無しか、血生臭い空気が漂っていた。
深い青髪に赤い瞳、青が基調の露出の多い装具を身に付けた、
年の割に大人びたグラマー体型の少女、レイ・ブランチャードは、
支給品である未来的な形をした突撃銃H&K XM8を携えながら、
ギロチンや絞首刑台など多くの死刑用具が設置されたこの広場を訪れた。
「何だここは……処刑場か?」
どのような用途でこの広場が使われていたのかはすぐに想像がついた。
「誰かいるだろうか……」
他参加者がいないかと、XM8を構えながら処刑場内を歩き始める。
ドカッ。ドカッ。
「……?」
とある塀の向こうから、レイは妙な物音を聞いた。
ドカッ。グサッ。ガスッ。グチャッ。
何かを叩き斬るような、とても嫌な音が聞こえる。
レイは壁の端から、向こう側を少し顔だけ出して覗き込んだ。
「……!!」
そこには、右手にべったりと血肉が付着した斬首刑用の斧を持った、
赤色の狐獣人に竜の翼と角、毛皮に覆われた長い尻尾を付けたような外見の獣竜、
体型からして恐らく雌――が立っており、その足元には、
胴体が原型を留めていない程、グチャグチャにされた、人間の女性が。
「ぁ……がはっ……ぁあぁ」
(な……あれでまだ息があるのか!?)
何と女性はまだ意識があるようだった。
しかし、もはや完全に息絶えるのも時間の問題であろう。
何せ、女性の腹部から腰の辺りまで、真っ赤なミンチと化しているのだから。
赤色の雌獣竜は再び斧を振り上げ、渾身の力で振り下ろした。
ドカッ!!
「!!」
その一撃により、女性の首が飛び、女性は今度こそ完全に死んだ。
「はぁ……はぁ……誰? そこにいるんでしょ?」
「……」
雌獣竜はレイの存在に気付いていたようだった。
隠れても仕方無いと、レイは赤い雌獣竜の前へと出る。
雌獣竜の腹回りの白い毛皮が、血で赤く染まっていた。
「お前、どうしてその女性を殺したんだ?」
「この人が……私を殺そうとしたのよ。出会うなりいきなり、銃を撃ってきて……」
見れば女性の死体の手元には、確かに拳銃らしき物が落ちている。
そう言えばこの処刑場に来る前、銃声のようなものも聞いた。
つまりこの雌獣竜は女性に襲われ、自分の身を守るために――だが、それにしては。
「……にしては、ちょっとやり過ぎじゃないのか?
何もそこまでしなくとも」
「……まあね。確かにそうなんだけどさ……」
雌獣竜は、持っていた斬首用の斧の刃を口元に近付け、
付着した血痕や肉片を舐め始めた。
「何を……」
「……何でかな、すっごくおいしく感じる。デザートとかよりも、甘く感じるの」
そう言う雌獣竜の水色の瞳には、ある種の興奮の色が宿っていた。
「最初は本当に身を守るつもりだったんだけどね。
この人を斧で叩いているうちに、段々楽しくなってきちゃった。
それで私、思ったの。この殺し合い……知り合いもいないし……乗ろうかなって」
「……」
レイは黙って雌獣竜の言葉を聞く。
そして、この雌獣竜は危険だと判断した。
殺し合いに乗る気があるのは勿論、それを楽しむつもりでいる。
何とかして殺し合いから脱出しようと考えているレイにとって、
この雌獣竜を放っておく事は出来そうになかった。
「……私はレイ・ブランチャード。お前は?」
「姫路礼華。これでも一応大学生だよ」
「そうか……ライカ、はっきり言わせて貰う。お前は危険だ」
「……だから?」
「……お前はここで私が殺す。悪く思うなっ!」
姫路礼華と名乗った赤い雌獣竜に向け、レイはXM8の引き金を引いた。
直後、連射音と共に無数の5.56㎜NATOライフル弾が銃口から放たれる。
しかし、礼華は即座に背中の翼を羽ばたかせ、空を飛び上がり弾丸を回避した。
「くそっ!」
悪態をつきながらレイは飛び上がった礼華に向け照準を合わせ直す。
だが。
ドゴォッ!!
レイが最期に見た物は、自分に向かって回転しながら飛んでくる斧だった。
顔面に斬首用の斧がめり込み無惨な姿となったレイの死体から、
XM8を拾い上げ、デイパックから予備のマガジンを抜き取る礼華。
更に、先程殺害した女性の死体の手元に落ちていた拳銃――ベレッタ90-Twoを
拾い上げ、更に女性のデイパックから90-Twoの予備マガジンと傷薬を手に入れる。
いずれも、玩具のゴルフクラブが支給品だった礼華にとっては強力な装備であった。
「良い武器も手に入ったし……行こうかな」
装備をXM8に切り替えた赤と白の雌獣竜は、次の獲物を捜すべく、
空へと飛び上がった。
【倉敷静美@オリキャラ・新規組 死亡】
【レイ・ブランチャード@オリキャラ・再登場組 死亡】
【残り 33人】
【一日目/朝方/C-6中央部処刑場上空】
【姫路礼華@オリキャラ・新規組】
[状態]健康、返り血(中)、飛行中
[装備]H&K XM8(15/30)
[所持品]基本支給品一式、H&K XM8予備マガジン(30×5)、
ベレッタ90-Two(10/15)、ベレッタ90-Two予備マガジン(15×3)、
傷薬、玩具のゴルフクラブ
[思考・行動]
基本:殺し合いを楽しむ。
1:獲物を捜す。
[備考]
※特に無し。
※C-6一帯に銃声が響きました。
※C-6中央部処刑場に倉敷静美とレイ・ブランチャードの死体、
それぞれのデイパック(基本支給品一式入り)が放置されています。
また、レイの顔面に斬首用の斧が刺さったままになっています。
≪支給品紹介≫
【H&K XM8】
2008年までに実用化される予定だった、
OICW(Objective Individual Combat Weapon:個人主体戦闘火器)計画に基づく
次世代の歩兵火器、H&K XM29の突撃銃部分を抜き出し再構成させた突撃銃。
良好な性能を誇り一時米軍の次期主力火器として内定していたが、
特徴的過ぎる外観等から反対に遭い、その他諸々の事情もあって白紙になった。
【ベレッタ90-Two】
2006年に発表されたイタリアのベレッタ社の自動拳銃「M92」シリーズの改良モデル。
旧来と比較して曲線的なデザインになっている。
【傷薬】
オロナインに似た強力な傷薬で、塗れば軽度の切り傷なら治癒可能。
痛み止めの効果もある。
【玩具のゴルフクラブ】
プラスチック製のゴルフクラブ。玩具。
≪オリキャラ紹介≫
【名前】姫路礼華(ひめじ・らいか)
【年齢】19
【性別】女
【職業】大学生
【性格】温厚だが、猟奇的
【身体的特徴】赤と白、手足耳の先が黒っぽい雌の獣竜。赤色の狐獣人に、
角と竜の翼、毛皮に覆われた長い尻尾を付けたような外見。スタイル抜群
【服装】全裸(服を着るという概念が無い)
【趣味】スプラッター映画観賞、鳥の踊り食い
【特技】翼を使って飛行可能
【経歴】10歳の時に父親が病死し、母子家庭で育った
【備考】グロ画像や血が大好き。外見に反して筋力と体力がある
【名前】倉敷静美(くらしき・しずみ)
【年齢】23
【性別】女
【職業】化粧品販売店勤務
【性格】普通に明るい
【身体的特徴】やや茶色がかった長髪、身体付きは普通
【服装】明るい緑色のトレーナーに濃い茶色のタイトスカート、スニーカー
【趣味】料理
【特技】料理
【経歴】両親と弟がいる普通の家庭で育った
【備考】どう見てもただのズガン要員です本当にありがry
ゲーム開始 |
レイ・ブランチャード |
死亡 |
ゲーム開始 |
姫路礼華 |
忍び寄るもの |
ゲーム開始 |
倉敷静美 |
死亡 |
最終更新:2010年08月01日 17:25