堕ちる雷光王

13話 堕ちる雷光王


青と白の身体を持った竜、ライコーオーは、
エリアA-4にある民家の中に身を潜めていた。

「殺し合いとはどういう事だ……俺は確か……」

ライコーオーは茶の間でこの殺し合いに参加させられる直前の記憶を辿る。
自分は確か、パートナーの雪野タクミと共に、RI-INの放った刺客、アリサと戦い、
瀕死の重傷を負い――意識を失ったはずだった。
だが、目覚めた時には、身体の傷は全て、綺麗に消えており、
首には金属製の首輪がはめられ、更に、身体が人間の成人男性並のサイズまで
縮まっていた。そしてモニターに現れた比叡憲武と名乗る喋る狼が、
殺し合い――バトルロワイアルの開催を声高に宣言した。

そして、気付いた時には、見知らぬ市街地にライコーオーは黒いデイパックと共に
飛ばされていたのだ。
人間サイズになっているので、建物にも比較的容易に入れるようになった。

名簿を取り出し書いてある名前を読んでいく。
自分の名前を含め、48人分の殺し合いの参加者の名前があったが、
知っている名前は何も無かった。

「タクミやネコはいないのか……良かった」

大切なパートナーや仲間がこの殺し合いに呼ばれていない事で少し安心するライコーオー。

「そう言えば武器などが支給されると言っていたが……」

ライコーオーは雷を操る事が出来たが、現在は静電気程度の火花を散らす
事しか出来なくなっていた。
比叡が「魔法とか超能力とか、そういう便利な力は一切使えなくしました。
自分の身体か、支給或いは調達した武器で戦って下さい」と言っていたが、
正にこの事なのだろう、一応爪と牙を使って攻撃する事も出来るのだが、
身体が人間サイズになっているのと比例して力も弱くなっているため、
念のために武器になる物が必要だとライコーオーは判断した。

――弱いと言っても常人に比べれば遥かに強い力を持っているが。

ゴソゴソとデイパックを漁るライコーオー。

「これは……確か『マシンガン』という奴か」

出てきた物は旧日本軍が使用していた軽機関銃・九六式軽機関銃と、
予備のマガジン5個。普通の人間より筋力に優れるドラゴンであるライコーオーは、
まるで突撃銃のように軽々と持ち上げ構える。

「武器はとりあえずは大丈夫だろう……ん? まだあるな」

デイパックの奥にもう一つの支給品らしき物があるのを発見する。
引っ張り出してみると、それは缶入りのミルクティー三本だった。

「これは……タクミがたまに飲んでいた『缶ジュース』と同じ類か?
ふむ……既に水はあるが……」

基本支給品の中に水があるのにわざわざランダムの支給品にまで飲み物を
用意するとは、何かあるのだろうか。
ミルクティーの説明書を読んでみるが「水だけじゃ飽きるだろうから、
ミルクティー的な物でもどうぞ」と書かれているだけだった。

「折角だし飲んでみるか」

ライコーオーは缶の蓋を、以前タクミがやっていたのを思い出しながら、
四苦八苦の末に開き、中身のミルクティーを飲み干した。

「おお、結構うまいな、全部飲むか。どうせ水なら支給品にあるしな」

初めて味わうミルクティーの味が気に入ったのか、
ライコーオーは残っていた二つの缶も飲んでしまった。

「ふぅ……さてと、これからどうするか」

テーブルの前にあぐらをかきながらライコーオーは考える。
この殺し合い、知り合いはいない。だが、かと言って殺し合いに乗る事は
考えられなかった。
パートナーであるタクミの元へ帰りたいという気持ちはあった。
優勝すれば帰れると主催者は言っていた。
だが、他人を犠牲にしてまで帰った所で、タクミはきっと喜ばないだろう。

少なくともこの時まではライコーオーはそう考えていた。
はっきりと、明確かつ冷静な思考が出来た。

「……?」

異変は突然やってきた。目まいがライコーオーを襲った。
そして、心臓の鼓動が早くなり、息苦しくなり、身体が火照ってきた。

「はぁ、はぁ、な、何だ……??」

突然の自分の異変に戸惑うライコーオーだったが、
次第にとても淫靡な気分になってくるのを感じた。
頭の中が、パートナーであるタクミの事で一杯になっていく。
タクミ。タクミ。タクミ。タクミ。タクミ。

「あ、あ゛ーーーー……?」

遠くを見詰め、涎をボタボタと畳の上に垂らし始める始末。
ついには、普段は身体の中に収納されているライコーオーの分身が、
顔を出し、先端から透明な汁を垂らしながら固くそそり立っていた。
さながらそれは真っ赤な槍。肉の槍。

「たくみ……たくみ、たくみぃ、あいたい……はぁん……ハッ、ハッ、ハッ」

普段の勇ましく、冷静な彼を知っている者、特にパートナーのタクミやその仲間なら、
今の彼を見たらとても普段の彼とは結び付かなかっただろう。
無意識の内にライコーオーはタクミの事を考えながら自分を慰め始めた。
その間も蕩け切った表情と声でパートナーの名前を呼び続け、数分程で果てた。

「ガァァア!」

長く太いそれに見合った大量のミルクが茶の間を汚す。

「ぁはぁ~~きもちいいよおぉ~~たくみぃぃ」

ライコーオーの目は、完全にイってしまっている。
舌と涎を垂らし、衰える様子のない自身を青と白の竜は再びいじり始めた。
ライコーオーの頭の中にはタクミの事しか無い。
タクミの元に帰りたい。それならどうするべきか。手っ取り早い方法はやはり、

殺し合いに優勝する事。

「たくみ、ぜったいぃ、かえる……かえるぅ……そのために、い、ああ……、
この、ころひあいにっ……あ、あ、……ゆうしょう、んぁあああ!」

呂律が回らない声で、ライコーオーはタクミへの思いから
殺し合いに乗り優勝する事を宣言する。
と、同時に身体を震わせ、再び白く濁った、濃厚な、生臭い液を撒き散らした。



【一日目/朝方/A-4市街地中央部民家一階】
【ライコーオー@ドラゴンドライブ】
[状態]禁止薬物の効果でパートナーのタクミに発情、思考力低下、興奮、快感
[装備]九六式軽機関銃(30/30)
[所持品]基本支給品一式、九六式軽機関銃予備マガジン(30×5)、
 禁止薬物入りミルクティー(空き缶3本)
[思考・行動]
 基本:たくみのもとにかえるためにゆうしょうする。
 1:きもちいいよお~たくみ~。
 2:たくみ~。
[備考]
 ※原作漫画、アリサ戦後に消滅した後からの参戦です。
 ※禁止薬物の効果で、パートナーの雪野タクミ(本ロワ不参加)に対し
  これ以上ない程発情、人格が崩壊しています。薬物の効果は
  切れるかどうかは不明です。



≪支給品紹介≫
【九六式軽機関銃】
1936年(皇紀2596年)に旧日本軍の制式となった軽機関銃。
チェコ製のVz26軽機関銃等を参考に開発された。
マガジンの残弾確認カウンターや銃剣の着脱装置など一見必要あるのかと
思う装備が付いているが、銃身の交換が容易で部品の互換性も高く、
オイルレスでも問題なく作動する成功作である。
弾薬は当時の日本軍制式小銃三八式歩兵銃と同形だが、故障が多かったため、
減装弾を使用している。

【禁止薬物入りミルクティー】
オリジナル支給品。服用すると思い人に対し激しい劣情を抱き、
性的欲求が増しそれを解消する行動に走ってしまう催淫剤の改造型の一種を、
市販の缶入りミルクティーの中に仕込んだ物。
一口飲んだだけで相当な効果がある。主催者からのトラップアイテム。






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ゲーム開始 ライコーオー ボウソウ、ジメツ

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最終更新:2010年08月08日 13:50
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