ある日森の中

4話 ある日森の中


木々が生い茂る、昼間でもやや薄暗い森の中、
私ことテトは支給品の回転式拳銃、S&W M27を握りながら歩いていた。
だけど歩けど歩けど森ばかりで何も見付からない。
建物も、他の参加者の姿も。
昨日は何も変わった事の無い一日だった。学校行って、家に帰って、お風呂入って……。
なのに目覚めた時には、最後の一人にならなければ生きて帰れないという殺し合いに
参加させられていた。

名簿を見たらクラスメイトの名前が幾つかあった。全部獣人。
普段よく接したりしている貝町ト子や、思い人のラトの名前は無い。
他にも大勢の名前が書かれていたけど、知っている名前はクラスメイトのみ。

「はあ、これからどうしよう」

殺し合いなんてするつもりは無いけど、首には無理に外そうとしたりすれば
爆発する金属製の首輪。逃げようとしても、主催者に逆らっても、
例えこの殺し合いの参加者全員が殺し合いを拒否しても結局は爆発する。
殺し合いをするしかないと言う、よく出来た仕組み。
でも、それでも私は……。

「グルルルル」
「え!?」

突然獣の唸り声が聞こえ、声の方を振り向く。
そこには主催者、比叡憲武と少し似た、青と白の大きな狼がいた。
首輪をはめているしデイパックも持っているから参加者の一人みたい。
だけど明らかに友好的な雰囲気じゃない。

「ガアッ!」

狼が吠え、私に向かって突進してきた。
まずい、このままじゃ殺される。
私はS&W M27を構え、引き金を引いた。

ダァン!!

銃声が響き、反動が腕と肩に来る。少しきついけど、抑え込めない程じゃない。
だけど、狼は身体を横にずらし銃弾をかわした。

「か、かわし……キャッ!!」

一陣の風が走り抜けると同時に、私の右手に持たれていた拳銃が弾き飛ばされた。

「嘘、全然、見え」

次の瞬間、狼が私を正面から押し倒した。
背中を強か地面に打ち付け一瞬呼吸が出来なくなった。
だけど、間髪入れず、狼が私の喉に食らいついてきた。

「う、うあああああ」

自分でもどこにこんな力があったのかと思えるような力で、
必死に狼の首を押さえ込んで喉を食い破られるのを防ぐ。
痛い、苦しい、口の奥から血が溢れてきた。もう、駄目かな……。

いや、まだ、まだ諦めない。私は左手で狼の首を押さえながら、
右手で腰、スカートに差し込んでいる、私のもう一つの支給品を取り出し、
それを思い切り、狼の脇腹に突き刺した。

「ギャヒィィン!!?」

悲鳴を上げ、狼は私の喉から牙を離し、コンバットナイフが刺さった血塗れになった
脇腹から血を迸らせ、のたうち回る。
そして、口でナイフを抜き捨て、私に背を向けて逃げて行った。
どうにか命の危機は去ったみたい、だけど……。

「い、痛い……げほっ、げほっ」

深く喉に牙が突き刺さったから、首元が血塗れ。
ちょっと気道も傷付いちゃったのかな、息苦しい。
よく生きていられるなあと自分でも思うよ。
地面に落ちたS&W M27とコンバットナイフを拾い、適当な木の根元に座る。
しばらく、休んでいこう……。




くそ、あの猫娘、まさか他にも武器を隠し持っていたなんて。
しかも割と力が強かった。すぐに喉を食い破るつもりだったが出来なかった。
それだけじゃない、脇腹に刃物を突き刺され、退却を余儀なくされた。
傷は……命に関わる程では無いが、深い。
格好悪い、無様だ……くそ。

どうなってるんだ。昨日の夜はレラと熱い交わりを楽しんでいたと言うのに。
殺し合い……最後の一人にならなければ、レラの元へは帰れない。
名簿を見たが、この殺し合いにレラや他の知り合いはいないようだった。
なら、俺はこの殺し合いに優勝する。優勝して、レラの元へ帰る。

そう意気込んで、猫の顔をした少女を襲ったはいいが……返り討ちにされた。

支給品は、狼である俺が扱える物じゃない。
人間ならば、恐らく強力な武器足り得る物なのだろうが、少なくとも俺には意味が無い物だ。

「ウウウ……」

次に見付けた奴は、今度こそ確実に仕留めてみせる……!



【一日目/朝方/D-3森中央部】
【テト@自作キャラでバトルロワイアル】
[状態]喉元に裂傷、血塗れ、息苦しい
[装備]S&W M27(5/6)、コンバットナイフ
[所持品]基本支給品一式、.357マグナム弾(18)
[思考・行動]
 基本:殺し合いはしない。生き残る。
 1:傷の手当てがしたい。
 2:クラスメイトと出来れば会いたい。
[備考]
 ※自作ロワ本編開始前、太田達に暴行を受ける前からの参戦です。
  言わば「綺麗なテト」です。

【一日目/朝方/D-3森西南部】
【シクルゥ@サムライスピリッツシリーズ】
[状態]左脇腹に刺し傷
[装備]無し
[所持品]基本支給品一式、不明支給品(本人確認済、1~2個)
[思考・行動]
 基本:優勝し、レラの元へ帰る。
 1:出会った参加者を片っ端から殺していく。
[備考]
 ※性格などは作者の独自要素が多分に含まれています。


※D-3一帯に銃声が響きました。


≪支給品紹介≫
【S&W M27】
S&W社が開発し1935年に.357マグナム弾と共にデビューした回転式拳銃。
大型リボルバー向けのフレームを使用しているため、余程の事が無い限り、
S&W M19のように破損したりはしない。その代わり拳銃としては重量がある。

【コンバットナイフ】
大型の軍用ナイフで、頑丈に作られ刃こぼれしにくい。切れ味も抜群。



表と裏 時系列順 馬鹿の確変入りました
表と裏 投下順 馬鹿の確変入りました

ゲーム開始 テト テトは犠牲になったのだ……。
ゲーム開始 シクルゥ だめだこいつらはやくなんとかしないと

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最終更新:2010年08月01日 14:39
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