表と裏


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3話 表と裏


古風な木造校舎の小中学校。
教室には机が綺麗に並べられ、小学生が使っていたと思われる掲示板には、
家族や動物などが絵の具で描かれた絵が何枚も貼られている。
図書室で、黒髪のマントを羽織った少女が、金髪のエルフの少女に決意を述べていた。

「私は、こんな殺し合いになんて絶対に乗らないわ!」

少女――女勇者こと、エリスは強い意志を宿した瞳で、
エルフの少女――ヘレンに言う。
やっとの思いで仲間達と共に魔王ゾーマを打ち倒し、平和を取り戻し、
故郷に帰って平穏な日々を過ごしていたと言うのに、気付いた時には、
比叡憲武と名乗る謎の狼型モンスターに殺し合いを強制されていた。
首には爆薬入りの死の首輪がはめられ、見せしめで一人の、自分よりも小さい少女が殺された。
勇者として、エリスはこのような殺し合いを受け入れられるはずも無く、
殺し合いを潰そうと思い立つのも当然の成り行きだった。
参加者名簿には自分の名前は無かったが、「女勇者」「女賢者」「女遊び人」の三人が、
それぞれ自分こと「エリス」、「フィーナ」、「ミルカ」の事を顕しているのだろうという事は、
容易に想像がついた。
なぜ本名ではなく性別と職業名で登録されているのかは分からなかったが、
そこまで深く追求しても仕方無いと保留にする事にした。
そして、スタート地点の校舎を探索していた時に金髪の髪を持ったエルフの少女、ヘレンと出会った。

「私もですエリスさん。一緒に頑張りましょう」
「ええ。ありがとうヘレン」

穏やかな笑みを浮かべるヘレン。
しばらくヘレンと会話した女勇者エリスがヘレンに持った印象は上々のもの。
いかにも清楚で、温厚な性格だと捉え、疑う余地など見られなかった。
だからこそ、背中を見せても大丈夫だと考えた。

「ふう……その前に、フィーナ達と合流しなくちゃ……」

ヘレンに背を向けたまま、仲間との合流を思案するエリス。
しかしその思考は強制的に中断される事となる。

「がっ!?」

エリスの首に、何やら文字の書かれた白い布の帯が背後から巻かれ、
そして思い切り絞め上げられる。
これでもかと言う程の力で、エリスの気道が、頸動脈が圧迫される。

「な゛っ、な゛、に゛?」

何が起きたか分からず、また急に呼吸が不可能になった事で、
エリスは激しく混乱した。とにかく、首を絞めている帯を振り解かなければ。
必死で両手を帯に引っ掛けようとするが焦りと薄れる意識からか上手く行かない。
そうしている間にも帯を絞める力は更に強くなっていく。

「……! …………ッ!? ……っ……!」

もう声を出す事も叶わない。目の前が霞んでいく。
自分はここで死ぬのか、呪文も使えなくなっている今、蘇生呪文で蘇る事は出来ない。
その手の道具も無い。つまり――本当の、死。

「ぃ……や……だ…………」

死にたくない。今まで命の危機に直面してきた時、何度も思った事。
だが今まではそれでも諦めずに乗り越えてきた。乗り越えられた。
しかし。

今回は、乗り越えられそうになかった。
エリスの瞳から光が失われていく。
口からは泡が溢れ、股間からは黄色い液体まで染み出している。

「……死……たく……な…………」

それが、アリアハンに生まれ、魔王ゾーマを倒した女勇者、エリスの最期の言葉となった。



ヘレンは、先程までと打って変わって冷酷な表情で、
凶器の根性鉢巻を手に持ちながら、絞殺した女勇者エリスの死体を見下ろしていた。
死体の上に根性鉢巻を捨てると、エリスのデイパックに近付き、中身を漁る。
基本支給品の他に入っていた物は、大型回転式拳銃タウルス レイジングブルと予備の弾丸十数発。
ヘレンはレイジングブルと予備弾、食糧を抜き取り、予備弾と食糧を自分のデイパックの中に入れた。

「ごめんなさい、エリスさん。でも、私はまだ死にたくないのよ」

ヘレンは、あの小部屋でモニター越しとは言え、首にはめられた首輪が
どういう物なのかを見せ付けられた時に、殺し合いに乗る事を決意していた。
ゲーム開始後、名簿を確認すると、何人か友人や知人の名前が確認出来た。
リリア、ブライアン、ダーエロとは特に関わりが深い。
但しダーエロについては「悪い意味」で、だが。
ランダム支給品は「根性」と書かれた、いわゆる「根性鉢巻」で、到底戦いに使える代物では無い。
つまり、これから殺し合いを有利に進めて行くにはそれなりの武器が必要だった。
そんな時に木造校舎内で出会った、リリアとは別の「女勇者」であると言う、エリス。
いつも通りの、温厚で物腰柔らかな自分を演じた所、あっさり信用してくれたようで、
すぐに隙だらけの背中を見せるようになった。
後は簡単であった。

正直な所、エリスが自分より強力な武器を持っているかどうかは分からなかったが、
強力そうなリボルバーを入手出来、ヘレンは満足だった。

「それじゃ、行こうか……な」

レイジングブルを携えた金髪のエルフの少女は、
自らが手に掛けた黒髪の少女の死体を一瞥すると、図書室を後にした。



【女勇者@ドラゴンクエストⅢ  死亡】
【残り  47人】



【一日目/朝方/E-5小中学校内】
【ヘレン@VIPRPG】
[状態]健康
[装備]タウルス レイジングブル(5/5)
[所持品]基本支給品一式、.454カスール弾(15)、水と食糧(1人分)
[思考・行動]
 基本:殺し合いに乗る。優勝を目指す。
 1:友人や知人でも容赦しない(特にダーエロは問答無用で殺す)
[備考]
 ※女勇者から女賢者、女遊び人についての情報を得ました。



※E-5小中学校内図書室に女勇者の死体、その上に根性鉢巻、傍に
女勇者のデイパック(水と食糧抜きの基本支給品一式入り)が放置されています。
※女勇者の本名はエリス、女賢者の本名はフィーナ、女遊び人の本名はミルカという設定です。



≪支給品紹介≫
【根性鉢巻】
額に当たる部分に「根性」と書かれた白い鉢巻。
頭に巻いてギュッと締めれば身も心も引き締まる、と思うよ。

【タウルス レイジングブル】
ブラジルのタウルス社が開発した大口径回転式拳銃。
バレル側面に大きく描かれた「RAGING BULL(怒れる牡牛)」の文字が特徴的。
流線型による美しさとマグナムによる破壊力を兼ね備えていながら、
リボルバー界の大御所であるS&W社のものより安価なことから人気を獲得した。
本ロワに登場する物は.44マグナム弾より強力な.454カスール弾を使用する、
銃身8インチ、454SS8Mモデルである。



二つの「青」 時系列順 ある日森の中
二つの「青」 投下順 ある日森の中

ゲーム開始 女勇者 死亡
ゲーム開始 ヘレン [[]]
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