「雷帝」


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「殺し合え……か。人間のくせになかなか面白い事を考えるじゃねえか」

 威圧的な言葉が暗闇の森林の中に木霊した。
 声の発生源はその大人びた口調とは裏腹な、精々小学生前半の身長しかない小柄な少年。
 その出で立ちは、銀髪に銀色の外套という派手なものだった。

「ワープ技術に謎の首輪……チッ、魔力も制限されているな」

 少年は物怖じ一つ見せる事なく、森林を進んでいく。
 深夜という時間帯も影響して、景色の殆どが闇に覆われているというのに、少年の足取りは軽やかなもの。
 段差や木の根にも軽々と対応しながら、少年は足を動かし続ける。

「このゲームが王を決める戦いに関連しているとは考えにくい……おそらくは何らかの『力』を有した愚かな人間が企てたものだろう」

 その右手には大きな灰色の―――いや光沢はなけれどこちらも銀色か―――本が握られていた。
 それは彼の野望を達成する為には必要不可欠なアイテム。
 野望―――『魔界の王になる』という大きな大きな野望。
 その野望の為に少年は血反吐を吐くような過酷な特訓を幼少時からこなしてきた。
 だからこそ、彼は自身の実力に自信を持っている。
 術を使わずとも、この場にいる全ての人間を抹殺する自信を―――、

「……まぁ良い。デュフォーの奴と合流できれば脱出への『答え』を導ける筈だ。今は精々『ゲーム』とやらを楽しませてもらうか」

 その顔に獰猛な笑みが浮かんでいく。
 少年のそれとはかけ離れた、まるで肉食獣の如く笑顔。
 常人なら、その表情を見ただけで警戒を覚えるだろう。

「そしてガッシュ……お前はただでは殺さんぞ……苦しませて苦しませた末にゆっくりと『なぶり』殺しにしてやる」

 ガッシュという名を告げた瞬間、笑みが怒りへと移り変わる。
 急激に強まった握力により本がギチリと音を鳴らし、僅かにシワを形成した。

 ―――自分には与えられなかった『自由』を与えられ、『バオウ』という強大な力を受け継いだ弟。
 そして、父からの寵愛により王の候補者にさえ選ばれた弟。
 『バオウ』しか取り柄のない、苦労知らずの落ちこぼれが王の候補者に選ばれる訳がない。
 そう、父はこの弟こそを王へとしたかったのだ。
 そして、自分は父に憎まれているのだ。
 だからこそ『バオウ』を受け継がせ、弟を候補者へと滑り込ませた。
 だからこそ、自分には地獄のような鍛錬を与え、弟には自由な暮らしを与えた。

 許せなかった。

 自分が味わった苦しみを奴にも与えてやろうと思った。
 その憎しみは、今も変わらない。
 この殺し合いは、丁度良い機会のように感じた。
 奴への、ガッシュへの恨みを晴らすには最高の場のように感じた。

「絶対に殺してやるぞ、ガッシュ……そしてそのパートナー高嶺清麿……!」

 ―――灼熱の怨念を燃えたぎらせたまま、少年は殺戮の会場を進んでいく。
 少年の名はゼオン・ベル。
 『雷帝』と呼ばれ、魔界の王を決める戦いの優勝候補と唄われる少年。
 彼は知らない。
 もしこのバトルロワイアルに参加していなければ、彼の未来には憎悪の対象である弟との和解の道が広がっていたことを―――、
 自身の憎しみが間違いであったと認めていたことを―――、

 知らずに、ゼオンは突き進む。
 殺戮の会場を、憎しみに任せただひたすらに突き進む。


【一日目/深夜/A-3・森林】
【ゼオン・ベル@金色のガッシュ!!】
[状態]健康
[装備]魔本(ゼオン・ベル)
[道具]基本支給品一式、ランダム支給品×0~2
[思考]
1:ガッシュを苦しませて殺す。またそのパートナーである高嶺清麿を殺す
2:この『ゲーム』を楽しむ
3:デュフォーと合流し、『ゲーム』から脱出する
[備考]
※魔力の制限に気付きました



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