血と、水


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11話 血と、水


青い髪の上に防災頭巾、白いブラウスという姿の幼い少女、ウォーターⅠは、
寂れた集落の入口付近を歩いていた。

ダァン……。

「ひっ!」

時折どこかから銃声が響く度、身を震わせる。

「うう……何でこんな事に、殺し合いなんて出来ないよ……」

彼女はウォーターⅠという水属性の魔法が人の姿として具現化した、
「魔法具現化」と呼ばれる存在で、厳密には人間では無い。
しかし、密度や身体の構造は限り無く人間に近い。血も出るし、内臓もある。
謎の力により魔力のほとんどが封じられた今、魔法具現化の彼女は、
単なるひ弱な少女に過ぎなかった。

デイパックの中には、基本支給品一式の他に、黒い刀身を持った短剣、
三十年式銃剣と、耐火性のある防災頭巾が入っていた。
現在彼女の被っている頭巾がそれである。右手には申し訳程度に銃剣も握られている。
しかしウォーターに、この銃剣で実際に人を刺すという真似はとても出来そうに無かった。
怖かった。見知らぬ土地で一人ぼっちなだけでは無い。
いつ襲われるか、いつ死ぬか分からない今まで感じたどれとも違う恐怖が、
彼女の心を締め付け、握り潰そうとする。
この殺し合いの開催を宣言したブライアンは、ウォーターも良く知っていた。
少なくともこんな狂ったゲームを開催するような人物では無かった筈、なのにどうして。
首輪爆破の見せしめとして殺したキャロルともしれなりに親しかったのではないか。
また、この殺し合いには知人も多く呼ばれていた。
その中の一人、自分と同じく魔法具現化であるアイスⅢは、親友と呼べる程では無いにしろ、
普段良く付き合っているので、出来る事なら合流したかった。

――彼らが殺し合いに乗っているという可能性を考えるには、ウォーターは純粋過ぎた。
悪く言えば「お人好し」過ぎたのだ。

「……!」

先程から聞こえていた銃声が近付いてきている。
咄嗟に近くの空のゴミ箱の中に隠れるウォーター。
少しだけ蓋を開け、外の様子を窺った。



ゲーム開始早々、明るい緑色のジャケットの下に、白いシャツ、
オリーブ色の丈が短めのゴアードスカートを着た紺色毛皮の狼獣人の女性、
成沢由枝は、水色と白の毛皮を持った雌の人狼に襲われていた。

「無い無い無い無い無い、これは無い、有り得ないよ! 意味が分からない!!」

振り向き様に自分の支給品であるリボルバー拳銃、コルトM1917を発砲するも、
素人がロクに狙いも定めず拳銃を発砲しても命中率などたかが知れている。

「ああ、弾切れ! ううっ、くそっ」

リボルバー拳銃であるM1917の装弾数は6発。
ポケットに突っ込んであった、クリップに纏められた状態の予備弾を取り出し、
空の薬莢を排出して装填しようとした。

背後で由枝を追走する雌の人狼――リーヴァイは、
持っていたドスを、前方の由枝に向けて思い切り投げ付けた。

グサッ!

「ああっ!!」

ドスは由枝の無防備な背中に突き刺さった。
前のめりに倒れ、激痛に悶え苦しむ由枝。

「ぎゃああああ!! い、痛い! 痛いいいい! ぬ、抜いて、誰か……あ」

地面で泣き叫ぶ由枝の元に、リーヴァイが近寄る。
そして、背中に突き刺さったドスの柄を握り、

思い切り体重を掛け、ドスの刃を根元まで押し込んだ。

「ぁ――――あ――――」

大きく目と口を見開いた後、由枝は全身が脱力し、二度と動かなかった。
由枝の落としたM1917と、装填される筈だったフルムーンクリップに纏められた、
6発の.45ACP弾を拾い上げ、改めて装填するリーヴァイ。

「やっちゃったなあ……」

本当は殺したくなど無かったが、これも、最愛の兄の元に帰るためと、
自分に言い聞かせる。
もう一人殺してしまった。今更後には引き返せない。
この殺し合いには自分の知り合いは一人もいない。
生き残り元の世界に帰れるのは最後まで生き残った一人だけ。
ならば、殺し合いを拒否する理由も、リーヴァイには無かった。

リーヴァイは由枝のデイパックからM1917の予備弾、食糧を抜き取り、
それを自分のデイパックの中に入れる。
そして装備をM1917に切り替え、次の獲物を捜しに集落を離れ、
木々生い茂る山の方へ伸びる道を歩いて行った。



隠れていたゴミ箱から出て、改めて惨劇の現場を目に焼き付けるウォーター。
ついさっきまで動いていた筈の紺色の狼獣人の女性は、
背中にドスが深く突き刺さり、地面にうつ伏せになったまま動かない。

「あ……ああ……」

今、自分が置かれている状況を再認識する。目の前で人が殺された。
あの水色と白の毛皮を持った雌のワーウルフは始めたのだ。
幸い自分には気付かず立ち去ったようだが。

「……っ」

恐怖心に駆られ、ウォーターはその場から走って逃げ出した。
これ以上死体を見たく無いと言うのもあった。
いや、もしかしたら、迫り来る死の恐怖から逃げ出そうとしたのかもしれない。



【成沢由枝@オリキャラ・新規組  死亡】
【残り55人】



【一日目/朝方/C-5鎌石村東部】
【ウォーターⅠ@VIPRPG】
[状態]健康、恐怖、宛ても無く走っている
[装備]三十年式銃剣、防災頭巾
[所持品]基本支給品一式
[思考・行動]
 基本:死にたくない。知人に会いたい(出来ればアイスⅢ)
 1:怖い……。
[備考]
 ※魔法に制限が掛かっている事を知りました。
 ※リーヴァイ(名前未確認)の容姿を記憶しました。


【リーヴァイ@オリキャラ・再戦組】
[状態]健康
[装備]コルトM1917(6/6)
[所持品]基本支給品一式、.45ACP弾(クリップに6発単位で纏められている、2個)、
 水と食糧(1人分)
[思考・行動]
 基本:殺し合いに乗る。優勝を目指す。
 1:次はどこに行こうかな。
[備考]
 ※個人趣味ロワ開催前からの参戦です。


※C-5一帯に銃声が響きました。
※C-5鎌石村東部に成沢由枝の死体(背中にドスが刺さったまま)、
成沢由枝のデイパック(水と食糧抜きの基本支給品一式入り)が放置されています。


≪支給品紹介≫
【三十年式銃剣】
明治30年から終戦にかけての旧日本軍の主力銃剣。
儀仗、威圧が使用目的のため、刀身に刃が無く研ぐ必要がある、
錆び易い、屈曲、折損し易いと言った欠点が多い。

【防災頭巾】
頭部を保護するための簡易防具で、丈夫な布製の長方形の袋に綿など
緩衝材を入れたものを2枚張り合わせて、頭にかぶることができるようにしたもの。

【コルトM1917】
1917年に米軍の依頼により開発された、
自動拳銃用の.45ACP弾を使用出来るリボルバー拳銃。
但し装填にはムーンクリップと呼ばれる器具が必要。
S&W M1917という同様のコンセプトで作られた別の銃も存在する。

【ドス】
小型の刀。柄と鞘は木製。


≪オリキャラ紹介≫
【名前】成沢由枝(なるさわ・ゆえ)
【年齢】23
【性別】女
【職業】会社員
【性格】明るく快活
【身体的特徴】紺色の狼獣人。身体付きは普通
【服装】明るい緑色のジャケットの下に白いシャツ、オリーブ色のゴアードスカート
【趣味】写真撮影(主に風景)、絵描き
【特技】写真編集技術
【経歴】両親と妹がいる普通の家庭で育った
【備考】一般人



柏木寛子の憂鬱 時系列順 狼少女は罪を感じ、氷女は獲物を捜す
柏木寛子の憂鬱 投下順 狼少女は罪を感じ、氷女は獲物を捜す

ゲーム開始 ウォーターⅠ [[]]
ゲーム開始 成沢由枝 死亡
ゲーム開始 リーヴァイ [[]]
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