愛する人を失った世界には(前)

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28話 愛する人を失った世界には E-2平野内、三瀬笑子は放送を聞いていた。 何度も同じことが頭の中でリピートされている。 死亡者、禁止エリア、そして、動機。 彼女の動機は「家族の死体」を見せつけられる事だった。 それは絶対的な記憶力を持つ彼女にとってトラウマを植え付けたも同然のものだった。 そんな彼女はずっと動けずにいた。 「………正人……助けて…!」 そんな彼女の願いは静かに消されていった。 彼女の目の前に現れたのは、決して人間ではない。 殺し合いが始まってから間もなく、彼女が愛する剣士と戦闘をした、半人半妖の剣士である。 彼女は、名刀「紅鬼」を抜き、語り始めた。 「わたしは…この戦いに生き残らなくてはならないんです…」 彼女の動機は、何なのか分からない。 しかし、分かる事は彼女は若干焦っていたということだ。 三瀬笑子は逃げだそうとしたが、足がすくんで逃げられなかった。 妖夢は、一歩一歩、こちらに向かって歩いてくる。 距離が、少しづつ、少しづつ縮まり、避けられない間合いとなった。 刀を構えられたのを見て、三瀬笑子は死を覚悟した。 しかし、その瞬間は訪れなかった。 「悪い笑子、遅れた」 目の前に現れた男により死は免れた。 その、守ってくれた男は 「正人!!」 「笑子、どっかに隠れてろ、ちょっと時間がかかる」 「うん…絶対帰ってきてね?」 「当たり前だろ…早く行け」 三瀬は走って近くにあった巨大な岩に身を隠した。 「わざわざ待ってくれるとは、アンタ実はいい奴なのか?」 「さあ、どうでしょうね」 「まあ、こんな殺し合いに乗る時点で、まともじゃないんだろうけど」 「それについては否定できませんね」 古川は、受け止めていた剣を振り払い、距離を取る。 しかし、妖夢は息をつかせる隙もなく古川を襲う。 横一線を繰り出すが、古川は剣で受け止め、それを支点とししゃがみながら受け流す。 妖夢が剣を構えようとするが、古川は突きを繰り出す。 攻撃は当たらず避けられてしまうが、古川が無理やりに相手に斬撃を与えようと剣を振る。 それを若干押されながらもすべて処理する妖夢。 この二人の勝負は、終わりの姿を見せない。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 「正人……」 三瀬笑子は陰から戦いを見守っていた。 古川が負けるとは思わないが、それでも相手は強すぎる。 自分も、死ぬ姿に直面するのはよくない。 死体ならもうすでにみたが、死ぬ瞬間は見ていない。 いや、見たくないから。 そんな彼女が、背後に気配を感じたのは、すぐだった。 そこには、 青い鬼が、立っていた。 「え?」 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」 「くっ……」 勝負は、古川が若干優勢になっていた。 もし、古川が何かの流派にとらわれていたら確実に負けていたが、あくまでチャンバラ剣法、喧嘩に使うような剣である。 その剣の使い方ついてはいつか説明するかもしれない。 簡単に言うと、流派が無いという事は決まりが無いという事である、 剣を極めたものが最も恐ろしい相手は、流派に沿った完璧な剣でもなく、銃を使うものでもない。 中途半端に剣を使うような人間である。 初心者でもなく極めたものでもない。そんな相手である。 剣を極めたような彼女にとって、一番分の悪い相手であろう。 「いまだあああっ!!」 「!!」 古川は、力任せに一閃を繰り出す。 その斬撃は、確実に妖夢の体を通過した。 これで、二人の剣士の戦いは終わったのである。 「……終わった」 つぶやいてみたが、特に何もなかった。 妖夢の持っていた名刀「紅鬼」を拾い上げ、黙祷し自分の恋人のところに向かって行った。 「きゃあああああああああああああ!!!」 [[愛する人を失った世界には(後)]]に続く

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