想像を絶する現実

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1:想像を絶する現実 エリアG-2、会場の南西端辺り、とある民家の中で虎獣人の少女、 中元梓紗は憤っていた。 「冗談じゃねーよ…」 少女にしては粗雑な言葉遣いで梓紗が言う。 「殺し合いなんて絶対しねーぞ!」 梓紗はいわゆる不良少女で普段は喧嘩や恐喝などを行っていたが、 流石に殺人まで行う気にはなれない。 自分に爆弾付きの危険な首輪をはめて殺し合いに無理矢理参加させた宮原克行と言う 包帯男の事が憎くてたまらない。出来る事なら顔面にきつい一発を見舞いたかった。 「…そのためにも何とかして脱出しねぇと…デイパックには…と」 黒いデイパックを開け中身を漁る。 名簿を開くと男女別五十音順で、顔写真付きで参加者の氏名が載っていた。 「チッ……よりにもよってヤリマンの安田かよ……」 自分の仲間がいれば心強かったが、残念ながら梓紗の知人は、 クラスメイトであり痴女の犬獣人少女安田愛一人だけだった。 それ程仲良くも無い、会っても役に立つかどうか。 「こいつは放っておこ…」 引き続きデイパックの中を漁る梓紗。すると食糧品やメモ帳等に混じって、 黒っぽい金属製の短い棒のような物が出てくる。 それは伸縮式の特殊警棒だった。 更にもう一種類、ゴルフに使うボールが三つ。 シャキンッ、と特殊警棒を伸ばし、ゴルフボールを三つともスカートのポケットに突っ込んだ。 「きっと、あたしと同じ事考えてる奴、一人ぐれぇいるよな…? そういう奴捜すか……」 梓紗は民家の玄関に向け歩き出した。 民家から出て、北方向へ進む。南方向に行くと地図の外になってしまう。 (地図の外に出たら、首輪が作動するって、言ってたしな…) 宮原が言っていた事を思い返す梓紗。 そしてしばらく歩いて行った時だった。背後から殺気を感じた。 「!」 ダンッ! 銃声が響く。梓紗は咄嗟に身体を逸らし回避したが、灼熱の弾丸がつい数瞬前まで 梓紗がいた場所の空気を切り裂いた。 「マジかよ…っ!」 銃弾をかわしながら梓紗は電柱の陰に隠れる。 「誰だ! おい! 殺し合いに乗る気かよ!」 「…そうだよ」 梓紗の問い掛けに答えたのは少女の声。恐らく自分と同年代、と梓紗は感じた。 「こんな所で死にたくないもん。知り合いもいないし、優勝して家に帰るの」 「チッ…冗談じゃねぇぞ」 ダンッ! ダンッ! 相手は銃を持っている。こちらは近接武器しか持っていない。 このままだと距離を詰められて危険だ、何か手は無いものか。 (そうだ、ゴルフボールで…) 梓紗はスカートのポケットからゴルフボールを一つ取り出した。 カチッ カチッ 「!」 梓紗を銃撃している少女――切野美紀の持つ回転式拳銃S&WM10ミリタリー&ポリスの 弾倉が空になった。急いでラッチを操作し空薬莢を排出し、予備の弾を込めようとした。 その隙を突き、梓紗は電柱の陰から飛び出し、美紀に向けてゴルフボールを投げ付けた。 「あ゛っ!?」 かなりの速さで投げられた硬いゴルフボールは美紀の顔面に命中し、 美紀はM10を落とし顔を押さえてその場に倒れ込んでしまった。 (追い掛けられても面倒だから、気絶させておくか) 悶絶する自分とは違う学校制服を着た人間の少女に駆け寄る。 「う、うあああああ!!」 「ッ!?」 だが、美紀が持っていた武器は銃だけでは無かった。 背中の辺り――スカートにでも差し込んでいたのだろう――から文化包丁を取り出し、 梓紗に向かってきた。この文化包丁は美紀の支給品では無い。どこかの民家から調達したものだった。 「このおお!」 「くっ…やめろ!」 包丁を突き刺そうとする美紀の手を必死に掴む梓紗。 特殊警棒は金属音を立てアスファルトの上に落ちた。拾う余裕などとても無い。 激しく揉み合う虎獣人の少女と人間の少女だったが、唐突に勝負は決まった。 グサッ 「……あ」 「……ッ!」 嫌な音がした。ボタボタと赤黒い液体が路面に垂れ落ちる。 「…げほっ…ぁ……い、だっ、い」 「…な…ああ!?」 美紀の腹に深々と包丁が突き刺さっていた。 その場にガクリと膝を突き、美紀はブルブルと震えながら包丁の柄が生えているように見える、 真っ赤に染まった自分の腹部に目をやった。 喉の奥から鉄錆の味がする液体が際限無く溢れ出た。 「あ、そんな、あたし、そんなつもりはっ…お、おい、しっかりしろよ、なあ!」 「痛い、い、痛いよ、あ、さ、寒い…寒い…あ、あ……これ、死ぬ、の? え?」 「血、血ィ止めねぇと…ああ、でも、どうすりゃ良いんだ…!?」 「い、やだ……死にたくない、よ………た…すけ……て……」 「……あ?」 美紀が突然、動かなくなった。見開かれたままの目から光が消えていく。 それが何を意味するのか梓紗には嫌でも分かった。 「…おい、嘘だろ…あ、ああぁあ……こ、殺しちまった……!」 殺すつもりは無かった。ただ、必死で殺されまいと抵抗した結果こうなった。 そうしなければ自分が殺されていただろうが、それでも自分は、一人殺害してしまった。 「……」 震えながら、梓紗はふと、地面に落ちた美紀が使っていた銃に目をやる。 (…ここから離れよう、とにかく、ここから…) M10を拾い、美紀の衣服とデイパックを調べ予備弾を回収し、 更に落とした特殊警棒も漏れなく拾い、梓紗はその場から逃げるようにして立ち去った。 &color(red){【切野美紀  死亡】} &color(red){【残り41人】} 【早朝/G-2市街地】 【中元梓紗】 [状態]精神的ショック(大) [服装]高校制服(着崩している) [装備]無し [持物]基本支給品一式、特殊警棒、ゴルフボール(2)、S&WM10ミリタリー&ポリス(0/6)、 .38SP弾(18) [思考] 1:殺し合いからの脱出。 2:……何でこんな事になっちまったんだ……。 [備考] ※安田愛はクラスメイトです。 ※G-2市街地に切野美紀の死体(腹部に文化包丁が刺さっている)及び、 デイパック(基本支給品一式入り)が放置されています。近くにゴルフボールが落ちています。 ≪オリキャラ紹介≫ 【中元梓紗(なかもと あずさ)】 16歳の虎獣人の少女。高校一年。荒んだ家庭で育ったためか喧嘩っ早い不良少女。 喫煙、喧嘩、万引き、恐喝など悪事を良く働き補導歴もある。良く高校行けたな。 今の所身体を売る行為などはしていないため意外にも処女。気は強いが精神的に脆い面もある。 【切野美紀(きりの みき)】 17歳の人間の少女。高校二年。占いやお呪いの類が好きな物静かな女の子。 母親が有名な占い師で良く当たると評判。将来は母のような占い師になりたいと思っている。 恋愛系の小説をネットで執筆していたりもする。 |[[OP(俺オリロワ2nd)]]|時系列順|[[サイレントライブラリー]]| |[[OP(俺オリロワ2nd)]]|投下順|[[サイレントライブラリー]]| |&color(blue){GAME START}|中元梓紗|[[]]| |&color(blue){GAME START}|&color(red){切野美紀}|&color(red){死亡}|
1:想像を絶する現実 エリアG-2、会場の南西端辺り、とある民家の中で虎獣人の少女、 中元梓紗は憤っていた。 「冗談じゃねーよ…」 少女にしては粗雑な言葉遣いで梓紗が言う。 「殺し合いなんて絶対しねーぞ!」 梓紗はいわゆる不良少女で普段は喧嘩や恐喝などを行っていたが、 流石に殺人まで行う気にはなれない。 自分に爆弾付きの危険な首輪をはめて殺し合いに無理矢理参加させた宮原克行と言う 包帯男の事が憎くてたまらない。出来る事なら顔面にきつい一発を見舞いたかった。 「…そのためにも何とかして脱出しねぇと…デイパックには…と」 黒いデイパックを開け中身を漁る。 名簿を開くと男女別五十音順で、顔写真付きで参加者の氏名が載っていた。 「チッ……よりにもよってヤリマンの安田かよ……」 自分の仲間がいれば心強かったが、残念ながら梓紗の知人は、 クラスメイトであり痴女の犬獣人少女安田愛一人だけだった。 それ程仲良くも無い、会っても役に立つかどうか。 「こいつは放っておこ…」 引き続きデイパックの中を漁る梓紗。すると食糧品やメモ帳等に混じって、 黒っぽい金属製の短い棒のような物が出てくる。 それは伸縮式の特殊警棒だった。 更にもう一種類、ゴルフに使うボールが三つ。 シャキンッ、と特殊警棒を伸ばし、ゴルフボールを三つともスカートのポケットに突っ込んだ。 「きっと、あたしと同じ事考えてる奴、一人ぐれぇいるよな…? そういう奴捜すか……」 梓紗は民家の玄関に向け歩き出した。 民家から出て、北方向へ進む。南方向に行くと地図の外になってしまう。 (地図の外に出たら、首輪が作動するって、言ってたしな…) 宮原が言っていた事を思い返す梓紗。 そしてしばらく歩いて行った時だった。背後から殺気を感じた。 「!」 ダンッ! 銃声が響く。梓紗は咄嗟に身体を逸らし回避したが、灼熱の弾丸がつい数瞬前まで 梓紗がいた場所の空気を切り裂いた。 「マジかよ…っ!」 銃弾をかわしながら梓紗は電柱の陰に隠れる。 「誰だ! おい! 殺し合いに乗る気かよ!」 「…そうだよ」 梓紗の問い掛けに答えたのは少女の声。恐らく自分と同年代、と梓紗は感じた。 「こんな所で死にたくないもん。知り合いもいないし、優勝して家に帰るの」 「チッ…冗談じゃねぇぞ」 ダンッ! ダンッ! 相手は銃を持っている。こちらは近接武器しか持っていない。 このままだと距離を詰められて危険だ、何か手は無いものか。 (そうだ、ゴルフボールで…) 梓紗はスカートのポケットからゴルフボールを一つ取り出した。 カチッ カチッ 「!」 梓紗を銃撃している少女――切野美紀の持つ回転式拳銃S&WM10ミリタリー&ポリスの 弾倉が空になった。急いでラッチを操作し空薬莢を排出し、予備の弾を込めようとした。 その隙を突き、梓紗は電柱の陰から飛び出し、美紀に向けてゴルフボールを投げ付けた。 「あ゛っ!?」 かなりの速さで投げられた硬いゴルフボールは美紀の顔面に命中し、 美紀はM10を落とし顔を押さえてその場に倒れ込んでしまった。 (追い掛けられても面倒だから、気絶させておくか) 悶絶する自分とは違う学校制服を着た人間の少女に駆け寄る。 「う、うあああああ!!」 「ッ!?」 だが、美紀が持っていた武器は銃だけでは無かった。 背中の辺り――スカートにでも差し込んでいたのだろう――から文化包丁を取り出し、 梓紗に向かってきた。この文化包丁は美紀の支給品では無い。どこかの民家から調達したものだった。 「このおお!」 「くっ…やめろ!」 包丁を突き刺そうとする美紀の手を必死に掴む梓紗。 特殊警棒は金属音を立てアスファルトの上に落ちた。拾う余裕などとても無い。 激しく揉み合う虎獣人の少女と人間の少女だったが、唐突に勝負は決まった。 グサッ 「……あ」 「……ッ!」 嫌な音がした。ボタボタと赤黒い液体が路面に垂れ落ちる。 「…げほっ…ぁ……い、だっ、い」 「…な…ああ!?」 美紀の腹に深々と包丁が突き刺さっていた。 その場にガクリと膝を突き、美紀はブルブルと震えながら包丁の柄が生えているように見える、 真っ赤に染まった自分の腹部に目をやった。 喉の奥から鉄錆の味がする液体が際限無く溢れ出た。 「あ、そんな、あたし、そんなつもりはっ…お、おい、しっかりしろよ、なあ!」 「痛い、い、痛いよ、あ、さ、寒い…寒い…あ、あ……これ、死ぬ、の? え?」 「血、血ィ止めねぇと…ああ、でも、どうすりゃ良いんだ…!?」 「い、やだ……死にたくない、よ………た…すけ……て……」 「……あ?」 美紀が突然、動かなくなった。見開かれたままの目から光が消えていく。 それが何を意味するのか梓紗には嫌でも分かった。 「…おい、嘘だろ…あ、ああぁあ……こ、殺しちまった……!」 殺すつもりは無かった。ただ、必死で殺されまいと抵抗した結果こうなった。 そうしなければ自分が殺されていただろうが、それでも自分は、一人殺害してしまった。 「……」 震えながら、梓紗はふと、地面に落ちた美紀が使っていた銃に目をやる。 (…ここから離れよう、とにかく、ここから…) M10を拾い、美紀の衣服とデイパックを調べ予備弾を回収し、 更に落とした特殊警棒も漏れなく拾い、梓紗はその場から逃げるようにして立ち去った。 &color(red){【切野美紀  死亡】} &color(red){【残り41人】} 【早朝/G-2市街地】 【中元梓紗】 [状態]精神的ショック(大) [服装]高校制服(着崩している) [装備]無し [持物]基本支給品一式、特殊警棒、ゴルフボール(2)、S&WM10ミリタリー&ポリス(0/6)、 .38SP弾(18) [思考] 1:殺し合いからの脱出。 2:……何でこんな事になっちまったんだ……。 [備考] ※安田愛はクラスメイトです。 ※G-2市街地に切野美紀の死体(腹部に文化包丁が刺さっている)及び、 デイパック(基本支給品一式入り)が放置されています。近くにゴルフボールが落ちています。 ≪オリキャラ紹介≫ 【中元梓紗(なかもと あずさ)】 16歳の虎獣人の少女。高校一年。荒んだ家庭で育ったためか喧嘩っ早い不良少女。 喫煙、喧嘩、万引き、恐喝など悪事を良く働き補導歴もある。良く高校行けたな。 今の所身体を売る行為などはしていないため意外にも処女。気は強いが精神的に脆い面もある。 【切野美紀(きりの みき)】 17歳の人間の少女。高校二年。占いやお呪いの類が好きな物静かな女の子。 母親が有名な占い師で良く当たると評判。将来は母のような占い師になりたいと思っている。 恋愛系の小説をネットで執筆していたりもする。 |[[OP(俺オリロワ2nd)]]|時系列順|[[サイレントライブラリー]]| |[[OP(俺オリロワ2nd)]]|投下順|[[サイレントライブラリー]]| |&color(blue){GAME START}|中元梓紗|[[SAD GIRL SO BAD]]| |&color(blue){GAME START}|&color(red){切野美紀}|&color(red){死亡}|

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