静かに舞う緋色の糸

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21:静かに舞う緋色の糸 軍事要塞を出たバフォメットのクラウスは、寂れた集落を訪れる。 既に使われていない民家が多く、錆びて動かなくなった自動車があちこちにあった。 「ん……」 前方の廃屋の陰で何かが動いた。 黄色い尻尾が見えた事から狐の獣人だろうか。 次の瞬間、廃屋の陰からクラウスに向けて掃射がなされる。 ダダダダダダッ!! 「くっ!?」 慌ててすぐ近くの煙草屋の陰に隠れるクラウス。 (機関銃系の武器か…? 正面からは無理だな……) 連射可能な銃器を相手に正面突破は難しい。 普通の人間より耐久力に優れるバフォメットでも幾つもの弾丸を食らえば無事では済まされない。 (上手く回り込めないかな) S&WM29を携え、クラウスは煙草屋に入って行った。 狐獣人の男、古賀憲昭は標的である翼を持った山羊の獣人が顔を出すのを待っていた。 こちらには突撃銃ハーネルStG44がある。 接近さえされなければ押し負ける事は無いと憲昭は踏んでいた。 「煙草屋の中に入ってったのか…? ちょっと近付いてみるか…」 いつまで経っても山羊が出てこない事に業を煮やした憲昭は、 StG44を構えながらゆっくりと山羊が隠れたと思われる煙草屋へと歩み寄る。 そして彼は気付かない。前方にいたはずの山羊が自分の背後に回っていた事を。 「動かないで下さい」 「……!」 背後から掛けられる冷徹な青年の声。 恐る恐る振り向けばそこには前方にいたはずの山羊獣人。 「…回り込みやがったのか」 「ええ。煙草屋の裏口から上手い事」 「……くそっ」 憲昭はStG44を地面に投げ捨て、両手を上げた。 山羊――クラウスは大型の回転式拳銃の銃口を向けている。 流石にこの状況で無茶をする気にはなれない。 「古賀、憲昭さんですね、名簿に載っていました」 「ああ…え? 顔…は」 「写真も載っているでしょ…って言うか見てないんですか名簿」 「知り合い、いないみたいだし…見てなかった」 「……まあ良いです。古賀さんは殺し合いに乗っているんですか?」 クラウスが憲昭に銃を向けながらStG44を拾い上げつつ訊く。 「乗ってる。お前の前に一人襲ったんだけどな、逃げられた」 「そうですか……」 クラウスが小さく溜息をつきながら言う。 だが、先刻の虎獣人の男とは異なり、しつこく行為を迫る様子は無い。 クラウスは説得を試みる事にした。 「古賀さ――――」 だが、彼の剥きだしの股間を衝撃が襲った。 憲昭がクラウスの巨大な息子を思い切り蹴り上げたのだ。 「あ゛っ!!? ア……!!」 陰茎及び睾丸は鍛えようが無い。 大きく目を見開き、持っていた銃を落とし、クラウスは股間を押さえて地面に両膝を突いた。 憲昭はS&WM29を拾い上げ笑みを浮かべながら銃口を向ける。 「うぐうううううう!!」 「油断したな。それじゃあ、さようなら」 M29の引き金を、憲昭が引いた。 「ぬう!!」 ダァン!! だが、即座に頭を横に逸らし、銃弾をかわす。 そして憲昭の足に思い切り足払いをかけ、転ばせた。 「うわぁ!! このっ…ッ!?」 「ゼェ、ゼェ」 地面に倒れた憲昭に馬乗りになり、クラウスは自分のデイパックからある物を取り出す。 先刻殺害した虎獣人から奪い取った、ハンティングナイフ。 その時虎獣人の首輪も一緒に入手したため、血糊が僅かに残っていた。 首を切り落とすのに使ったためである。 クラウスは憲昭の頭の毛皮を掴み、ハンティングナイフを首筋に宛がった。 憲昭の背筋に悪寒が走る、そして命乞いを始めた。 「ま、待ってくれ! 悪かった、悪かった、謝るよ!」 「…あなたは生かしておく気になれません」 「ひっ、やめ、あ」 鋸のようにハンティングナイフを使いながら、 クラウスは、まだはっきりと意識のある憲昭の首を切り落としにかかった。 頸動脈や肉、気管があっさりと切断され鮮血が高く噴き出す。 憲昭は首元が強烈に熱くなり、急速に意識が遠退き、呼吸が停止するのを感じる。 痛いのではなく、熱いのだ。 「ご、ぉ、ごぼっ、ゴボゴボゴボゴボゴボ」 声を出そうとしても喉の奥から溢れ出る鉄の味の液体によってそれは叶わない。 視界は自分の血で真っ赤に染まり、何も見えない。 (熱い、首が、熱、い……俺、死ぬのか……こんな、所で………畜…生……!) ブチッ 嫌な音が響き、憲昭の胴体と首が完全に分離した。 そのほんの数瞬前に憲昭の意識は消滅していたが。 クラウスは返り血で真っ赤になっていた。 血と脂で濡れた憲昭の首輪を、クラウスは手に入れる。 「はぁ…はぁ…痛い……」 股間はまだ痛む。だが先程よりはだいぶ楽になった。 M29、StG44を拾い、更に憲昭のデイパックからStG44の予備のマガジンを手に入れ、 そして憲昭の首輪を、憲昭の死体の服で余分な血と脂を拭い取り、自分のデイパックに放り込む。 「身体中、血塗れだ……どこかで身体を洗った方が、良いな」 血で汚れた身体を洗うため、クラウスはまだ使っていそうな民家に向け歩き出した。 &color(red){【古賀憲昭  死亡】} &color(red){【残り30人】} 【朝方/E-2集落】 【クラウス】 [状態]股間に痛み、返り血(大) [服装]無し(服を着る習慣無し) [装備]S&WM29.44マグナム(4/6)、ハンティングナイフ [持物]基本支給品一式、.44マグナム弾(18)、ハーネルStG44(9/30)、 ハーネルStG44予備マガジン(4)、上田俊孝の首輪、古賀憲昭の首輪 [思考] 1:殺し合いからの脱出。首輪を調べたい。襲い掛かる者や役に立ちそうにない者は殺す。 2:身体を洗う。 [備考] ※特に無し。 ※E-2集落に古賀憲昭の死体、古賀憲昭のデイパック(基本支給品一式入り)が 放置されています。 |[[この世界に自重と言う言葉は一応存在するが]]|時系列順|[[人の進化なんて大して信じるだけ無駄に思う]]| |[[この世界に自重と言う言葉は一応存在するが]]|投下順|[[人の進化なんて大して信じるだけ無駄に思う]]| |[[借りた金返せない→人生\(^o^)/オワタ]]|クラウス|[[]]| |[[希望を持ち続けるのって難しい]]|古賀憲昭|&color(red){死亡}|
21:静かに舞う緋色の糸 軍事要塞を出たバフォメットのクラウスは、寂れた集落を訪れる。 既に使われていない民家が多く、錆びて動かなくなった自動車があちこちにあった。 「ん……」 前方の廃屋の陰で何かが動いた。 黄色い尻尾が見えた事から狐の獣人だろうか。 次の瞬間、廃屋の陰からクラウスに向けて掃射がなされる。 ダダダダダダッ!! 「くっ!?」 慌ててすぐ近くの煙草屋の陰に隠れるクラウス。 (機関銃系の武器か…? 正面からは無理だな……) 連射可能な銃器を相手に正面突破は難しい。 普通の人間より耐久力に優れるバフォメットでも幾つもの弾丸を食らえば無事では済まされない。 (上手く回り込めないかな) S&WM29を携え、クラウスは煙草屋に入って行った。 狐獣人の男、古賀憲昭は標的である翼を持った山羊の獣人が顔を出すのを待っていた。 こちらには突撃銃ハーネルStG44がある。 接近さえされなければ押し負ける事は無いと憲昭は踏んでいた。 「煙草屋の中に入ってったのか…? ちょっと近付いてみるか…」 いつまで経っても山羊が出てこない事に業を煮やした憲昭は、 StG44を構えながらゆっくりと山羊が隠れたと思われる煙草屋へと歩み寄る。 そして彼は気付かない。前方にいたはずの山羊が自分の背後に回っていた事を。 「動かないで下さい」 「……!」 背後から掛けられる冷徹な青年の声。 恐る恐る振り向けばそこには前方にいたはずの山羊獣人。 「…回り込みやがったのか」 「ええ。煙草屋の裏口から上手い事」 「……くそっ」 憲昭はStG44を地面に投げ捨て、両手を上げた。 山羊――クラウスは大型の回転式拳銃の銃口を向けている。 流石にこの状況で無茶をする気にはなれない。 「古賀、憲昭さんですね、名簿に載っていました」 「ああ…え? 顔…は」 「写真も載っているでしょ…って言うか見てないんですか名簿」 「知り合い、いないみたいだし…見てなかった」 「……まあ良いです。古賀さんは殺し合いに乗っているんですか?」 クラウスが憲昭に銃を向けながらStG44を拾い上げつつ訊く。 「乗ってる。お前の前に一人襲ったんだけどな、逃げられた」 「そうですか……」 クラウスが小さく溜息をつきながら言う。 だが、先刻の虎獣人の男とは異なり、しつこく行為を迫る様子は無い。 クラウスは説得を試みる事にした。 「古賀さ――――」 だが、彼の剥きだしの股間を衝撃が襲った。 憲昭がクラウスの巨大な息子を思い切り蹴り上げたのだ。 「あ゛っ!!? ア……!!」 陰茎及び睾丸は鍛えようが無い。 大きく目を見開き、持っていた銃を落とし、クラウスは股間を押さえて地面に両膝を突いた。 憲昭はS&WM29を拾い上げ笑みを浮かべながら銃口を向ける。 「うぐうううううう!!」 「油断したな。それじゃあ、さようなら」 M29の引き金を、憲昭が引いた。 「ぬう!!」 ダァン!! だが、即座に頭を横に逸らし、銃弾をかわす。 そして憲昭の足に思い切り足払いをかけ、転ばせた。 「うわぁ!! このっ…ッ!?」 「ゼェ、ゼェ」 地面に倒れた憲昭に馬乗りになり、クラウスは自分のデイパックからある物を取り出す。 先刻殺害した虎獣人から奪い取った、ハンティングナイフ。 その時虎獣人の首輪も一緒に入手したため、血糊が僅かに残っていた。 首を切り落とすのに使ったためである。 クラウスは憲昭の頭の毛皮を掴み、ハンティングナイフを首筋に宛がった。 憲昭の背筋に悪寒が走る、そして命乞いを始めた。 「ま、待ってくれ! 悪かった、悪かった、謝るよ!」 「…あなたは生かしておく気になれません」 「ひっ、やめ、あ」 鋸のようにハンティングナイフを使いながら、 クラウスは、まだはっきりと意識のある憲昭の首を切り落としにかかった。 頸動脈や肉、気管があっさりと切断され鮮血が高く噴き出す。 憲昭は首元が強烈に熱くなり、急速に意識が遠退き、呼吸が停止するのを感じる。 痛いのではなく、熱いのだ。 「ご、ぉ、ごぼっ、ゴボゴボゴボゴボゴボ」 声を出そうとしても喉の奥から溢れ出る鉄の味の液体によってそれは叶わない。 視界は自分の血で真っ赤に染まり、何も見えない。 (熱い、首が、熱、い……俺、死ぬのか……こんな、所で………畜…生……!) ブチッ 嫌な音が響き、憲昭の胴体と首が完全に分離した。 そのほんの数瞬前に憲昭の意識は消滅していたが。 クラウスは返り血で真っ赤になっていた。 血と脂で濡れた憲昭の首輪を、クラウスは手に入れる。 「はぁ…はぁ…痛い……」 股間はまだ痛む。だが先程よりはだいぶ楽になった。 M29、StG44を拾い、更に憲昭のデイパックからStG44の予備のマガジンを手に入れ、 そして憲昭の首輪を、憲昭の死体の服で余分な血と脂を拭い取り、自分のデイパックに放り込む。 「身体中、血塗れだ……どこかで身体を洗った方が、良いな」 血で汚れた身体を洗うため、クラウスはまだ使っていそうな民家に向け歩き出した。 &color(red){【古賀憲昭  死亡】} &color(red){【残り30人】} 【朝方/E-2集落】 【クラウス】 [状態]股間に痛み、返り血(大) [服装]無し(服を着る習慣無し) [装備]S&WM29.44マグナム(4/6)、ハンティングナイフ [持物]基本支給品一式、.44マグナム弾(18)、ハーネルStG44(9/30)、 ハーネルStG44予備マガジン(4)、上田俊孝の首輪、古賀憲昭の首輪 [思考] 1:殺し合いからの脱出。首輪を調べたい。襲い掛かる者や役に立ちそうにない者は殺す。 2:身体を洗う。 [備考] ※特に無し。 ※E-2集落に古賀憲昭の死体、古賀憲昭のデイパック(基本支給品一式入り)が 放置されています。 |[[この世界に自重と言う言葉は一応存在するが]]|時系列順|[[人の進化なんて大して信じるだけ無駄に思う]]| |[[この世界に自重と言う言葉は一応存在するが]]|投下順|[[人の進化なんて大して信じるだけ無駄に思う]]| |[[借りた金返せない→人生\(^o^)/オワタ]]|クラウス|[[君は微笑んで、ずっと]]| |[[希望を持ち続けるのって難しい]]|古賀憲昭|&color(red){死亡}|

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