下校の時刻を過ぎています。まだ残っている生徒は……

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下校の時刻を過ぎています。まだ残っている生徒は……」(2011/03/20 (日) 14:07:51) の最新版変更点

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49話 下校の時刻を過ぎています。まだ残っている生徒は…… いつしか岸沼良樹は、森の中の沼の畔に来ていた。 教会から、一体どこをどう歩いてきたのか思い出せない。 あの、放送で篠崎あゆみの死を聞いてから、心のどこかに穴が空いてしまったような気持ちだった。 「……」 目の前に水草と藻が浮かぶお世辞にも綺麗とは言い難い沼が見えた。 「……?」 緑色の沼の一角に、明るい色が浮かんでいるのが見えた。 その色に、良樹は見覚えがある。 ――如月学園高等部の、女生徒の制服の色。 急いでその色がすぐ近くに見える沼の淵に走って近寄る。 「…あ、あ」 見慣れた女子制服、見慣れた髪型――顔は見えなかったが、良樹は分かってしまった。 「し、篠崎」 水草や藻が絡み付き、既に異臭まで漂わせている「それ」。 「それ」が、放送で名前を呼ばれ、そして、今まで自分が密かに想いを寄せ続けていた、 怪談好きの委員長である事を再確認する。 「……ぁ、あ、ぁ」 受け入れ難い現実が目の前に広がっていた。 その時、島中に大音量のサイレンが鳴り響いた。 「…放送…か?」 我に返った良樹は、放送に耳を傾ける。 ……… 「…そんな、篠原と、中嶋も…?」 なぜか禁止エリアの発表より先に死者の名前が発表され、 同行していた大沢木小鉄、フェリシア、大神勇吾の三人、あゆみを殺したと言う、 小鉄の親友土井津仁、そして、クラスメイトの中嶋直美と篠原世以子の名前を聞いた。 遂に、この殺し合いにおいての良樹の知人は、全員再会する前に落命した事になる。 「…何だよ…何でなんだよ!! 何で、こんなっ……!」 悔しみ、怒り、悲しみ、数々の負の感情が良樹の中で渦巻き、 地面に拳を激しくぶつけた。 絶望感と、喪失感に打ちひしがれる間も無く、放送主が気になる事を言った。 『……ここで一つ重要なお知らせがあります。 残り人数が大幅に少なくなったので、一旦集まって頂きます。それでは』 「……?(集まって貰うって…どう言う事だ?)」 放送が終わり、数秒も経たない内に、突然、良樹は大きな揺れを感じた。 「!? 何だ、地震か!?」 とても立っていられない程の、大きく激しい揺れ。 良樹は地面に伏せ、頭を両手で覆い――――。 ◆◆◆ 「う、うわああ、な、何だ、おい!?」 長谷川泰三が叫ぶ。 良樹がいる場所からはかなり離れた、島の反対側に存在する島役場跡。 放送直後に激しい揺れが襲い、老朽化した建物が悲鳴を上げる。 棚が倒れ、窓ガラスが砕け、天井から埃や天井板の破片、蛍光灯が落下する。 「な、何だこれ、デカいぞ!?」 「う、上杉さ、い、嫌だ、建物、崩れっ……!」 思わず猫耳娘の中崎美奈が妖狼の上杉憲顕に抱き付いてしまう。 しかし身体に押し付けられる柔らかな乳房の感触に浸る余裕は憲顕には無かった。 「……っ!」 伊東鴨太郎は適当な板切れで頭を保護しながら、 この揺れがただの地震では無い事を勘で悟った。 ◆◆◆ 「っ…何だ…この揺れは!?」 市街地の一角、刻命裕也は建物の近くを避け、比較的落下物の少ない、 道路の中央で身体を伏せ揺れに耐えていた。 「ここまで生き残って、地震で死ぬのは御免だ…!」 瓦礫が地面に落下する音やガラスが砕ける音を耳にしながら、 刻命は忌々しげにそう言った。 その時。 まばゆい光が、空から降り注いだ。 「!?」 その光は、瞬く間に刻命の視界一杯に広がる。 いや、島全体を包み込む、と言った方が正しい。 そして。 「何だ、一体、うっ、あ、うわあああああああああああああ―――――!!!!」 ……… ……… 「…ん」 まず目を覚ましたのは良樹だった。 頭を擦りながら、立ち上がり周囲の様子を見る。 「…? ?」 まず、今いるのは先程までいたはずの沼の畔では無い。 薄暗い蛍光灯が点滅する、広い部屋の中。 窓はあるのだが、異常な程真っ暗で何も見えない。 床は木製で、非常に古びた感じがしている。 首元の違和感が無くなっている事に気付く。触れて見ると、はめられていたはずの首輪が無かった。 「…! 人…」 更に、自分の他にも人がいた。いや、人では無く動物もいたが。 「うう…ここは…?」 二人目の覚醒者は伊東鴨太郎。 そして長谷川泰三、上杉憲顕、中崎美奈、刻命裕也と続く。 「あ、あんたら…一体…」 「…僕は伊東鴨太郎だ」 「俺は、長谷川泰三」 「私は中崎美奈です」 「…刻命裕也だ」 この時、泰三と美奈が刻命に対して何の反応もしなかったのは、 先刻の襲撃者の姿を――刻命の姿を良く見ていなかったためである。 (? この二人…俺の事を良く見て無かったのか? …まあいい) 刻命はしばらく黙っておく事にした。 「お、俺は岸沼良樹…あんたらも、あの殺し合いの参加者、だよな? 名簿に名前書いてあった」 「ああ…ん? 岸沼…君が岸沼君か」 「? 知ってんのか、俺の事…?」 「ああ…」 伊東は篠原世以子と中嶋直美の事を良樹に話した。 「…そうか……ありがとう……」 良樹は、何かに耐えるように口を噛み締めると、それだけ伊東に言った。 「…ここは、どこなんだ? …? 首輪が無い?」 「うおっ…(犬? いや狼か…喋ったぞ)」 人語を操る狼――上杉憲顕に良樹が驚く。 憲顕の言葉に既に気付いていた良樹を除く全員が自分の首に手を触れ、 爆弾付きの首輪が無い事に気付いた。 部屋には鉄製の大扉と、木製の大扉、そして外が真っ暗で見えない窓がある。 突然、木製大扉がギイイ、と軋んだ音を立てて開いた。 その場にいた六人が驚き、その扉の方向を注視する。 扉の奥は真っ暗闇の空間だったが、一人の男が現れた。 「…ここまで生き残った六人の方、おめでとうございます」 現れるなり、その男はそう言った。 その言葉の意味するもの――この男はこの殺し合いの運営に携わる人物、だと言う事。 「…あんたがこの殺し合いの主催者なのか!?」 良樹が前に出て怒気の籠った口調で男――比叡憲武こと◆ymCx/I3enUに尋ねた。 「…まあ、そう、ですね。俺は比叡憲武です」 ◆ymCx/I3enUは否定はしなかったが、どこか含みのある言い回しだった。 「…てめえ…てめえのせいで、篠崎も、篠原も、中嶋もっ―――!!」 怒りに燃える良樹が◆ymCx/I3enuに殴りかかろうとするが、 傍にいた憲顕と泰三に制止された。 「放せよ! 放せったら!!」 「落ち着けよ! その…気持ちは分かるけど、下手に手を出さない方が良い!」 「そうだ、何をされるか分からない」 「くっ……!」 二人の説得で、良樹はどうにか怒りを鎮めた。 「…一体、何の真似だ? 比叡憲武。首輪が外されているようだが…?」 伊東が◆ymCx/I3enUに問う。 「…まず、この殺し合いの目的から話させて頂きます。 この殺し合いは、死者の魂を、ある場所に送るためのものです。 ある方の頼みで……どんな方かは言えませんけどね。 それで………残り6人となった今、俺はふと、考えたんですよ…このまま普通に、優勝ENDにするのは、 少し面白く無いと……」 ゆっくりと、しかし分かり易く、◆ymCx/I3enUは述べた。 6人の表情はそれぞれだ。理不尽な理由だと怒りの顔をする良樹と美奈、 驚く泰三、平静な様子の伊東、何やら面白げな刻命。 そして、◆ymCx/I3enUは続ける。 「…あなた達全員に、生還するチャンスを与えようと思いましてね。 ほら…あなた方の後ろに鉄の大扉が見えるでしょう?」 ◆ymCx/I3enUの指差す先には重厚な作りに見える鉄製の大扉。 よく見るとノブや取っ手らしき物が見当たらない。 「その先は一本道です。少し長くて、ちょっとした障害物競争みたいになってますけど、 ずっと行った奥から帰る事が出来ますよ……急いで逃げて下さいね」 「……?」 泰三は、◆ymCx/I3enUの背後に何か大きな影が動いたのを見た。 それが、鉄槌を持った、大男だと気付いた時、その大男は、鉄槌を両手で大きく振り被っていた。 「でないと、俺みたいになりますから。それじゃ、よーい」 グシャッ!! スタートの合図は、◆ymCx/I3enUの頭部がスイカ割りの時のスイカの如く、 見事に破裂した音によって出された。 鉄製の大扉が開き、死の鬼ごっこの始まりを告げる。 「……ぁ、きゃああああああぁぁあああ!!?」 「う、うわあああああっ」 悲鳴を上げる美奈、うろたえる泰三。 「ヴヴヴヴヴヴヴヴヴ」 鉄槌の男――柳堀ヨシカズは、血と脳漿で汚れた鉄槌を持ち、 次の目標を6人に定める。 「…走れ!!」 伊東が叫んだ。所持していた武器は全て没収され丸腰の状態になっている。 ◆ymCx/I3enUの話がどこまで信憑性があるのかは疑問だったが、 今は逃げるしか無い。 鉄扉の向こうに、まず泰三、次の刻命、次に憲顕が進む。 だが、美奈は――――。 「中崎さん! 早くこっちに!!」 「あ…あ、駄目…腰が砕け、て」 目の前で頭部を破壊され人が殺される光景を目の当たりにし、美奈は完全に竦み、 腰が抜けて立ち上がれなくなってしまっていた。 「ヴアアアアア!!!」 「い、嫌ああああああ、アガッ!!!」 美奈の脳天を、鉄槌の一撃が襲う。 「ァ゛、あ、ア、%#$”$%&*――――――!!!?」 もはや、悲鳴と言うより音だった。 何度も何度も、まるで鰹の叩きを作る時のとうに、ヨシカズは美奈の肉体を鉄槌で殴り付けた。 グシャッ、ボキッ、と、壮絶な音が響く。 「く、くそっ……!」 美奈を救えなかった事を嘆きながら、伊東は先の三人に続き、逃走路に入った。 「アアアアアアアアアアアアアアアア」 叫び声を上げながら、ヨシカズが追跡を開始する。 殺し合いそのものは終わったが、最後の試練が生存者達を襲う。 &color(red){【比叡憲武(◆ymCx/I3enU)@???  死亡】} &color(red){【中崎美奈@オリキャラ・女  死亡】} &color(yellow){【柳堀ヨシカズ@コープスパーティーBCRF  追跡開始】} &color(yellow){【上杉憲顕@オリキャラ・男】} &color(yellow){【岸沼良樹@コープスパーティーBCRF】} &color(yellow){【刻命裕也@コープスパーティーBCRF】} &color(yellow){【伊東鴨太郎@銀魂】} &color(yellow){【長谷川泰三@銀魂】} &color(yellow){【以上5人  脱出開始】} |[[俺得ロワ4th第二回放送――そして]]|時系列順|[[光の向こうへ]]| |[[俺得ロワ4th第二回放送――そして]]|投下順|[[光の向こうへ]]| |[[虚空の深い吐息]]|岸沼良樹|[[光の向こうへ]]| |[[いっそ朽ちた箱舟に]]|上杉憲顕|[[光の向こうへ]]| |[[いっそ朽ちた箱舟に]]|伊東鴨太郎|[[光の向こうへ]]| |[[いっそ朽ちた箱舟に]]|長谷川泰三|[[光の向こうへ]]| |[[いっそ朽ちた箱舟に]]|中崎美奈|&color(red){死亡}| |[[導かれしバカたち]]|刻命裕也|[[光の向こうへ]]| |[[俺得ロワ4th第一回放送]]|比叡憲武(◆ymCx/I3enU)|&color(red){死亡}|
49話 下校の時刻を過ぎています。まだ残っている生徒は…… いつしか岸沼良樹は、森の中の沼の畔に来ていた。 教会から、一体どこをどう歩いてきたのか思い出せない。 あの、放送で篠崎あゆみの死を聞いてから、心のどこかに穴が空いてしまったような気持ちだった。 「……」 目の前に水草と藻が浮かぶお世辞にも綺麗とは言い難い沼が見えた。 「……?」 緑色の沼の一角に、明るい色が浮かんでいるのが見えた。 その色に、良樹は見覚えがある。 ――如月学園高等部の、女生徒の制服の色。 急いでその色がすぐ近くに見える沼の淵に走って近寄る。 「…あ、あ」 見慣れた女子制服、見慣れた髪型――顔は見えなかったが、良樹は分かってしまった。 「し、篠崎」 水草や藻が絡み付き、既に異臭まで漂わせている「それ」。 「それ」が、放送で名前を呼ばれ、そして、今まで自分が密かに想いを寄せ続けていた、 怪談好きの委員長である事を再確認する。 「……ぁ、あ、ぁ」 受け入れ難い現実が目の前に広がっていた。 その時、島中に大音量のサイレンが鳴り響いた。 「…放送…か?」 我に返った良樹は、放送に耳を傾ける。 ……… 「…そんな、篠原と、中嶋も…?」 なぜか禁止エリアの発表より先に死者の名前が発表され、 同行していた大沢木小鉄、フェリシア、大神勇吾の三人、あゆみを殺したと言う、 小鉄の親友土井津仁、そして、クラスメイトの中嶋直美と篠原世以子の名前を聞いた。 遂に、この殺し合いにおいての良樹の知人は、全員再会する前に落命した事になる。 「…何だよ…何でなんだよ!! 何で、こんなっ……!」 悔しみ、怒り、悲しみ、数々の負の感情が良樹の中で渦巻き、 地面に拳を激しくぶつけた。 絶望感と、喪失感に打ちひしがれる間も無く、放送主が気になる事を言った。 『……ここで一つ重要なお知らせがあります。 残り人数が大幅に少なくなったので、一旦集まって頂きます。それでは』 「……?(集まって貰うって…どう言う事だ?)」 放送が終わり、数秒も経たない内に、突然、良樹は大きな揺れを感じた。 「!? 何だ、地震か!?」 とても立っていられない程の、大きく激しい揺れ。 良樹は地面に伏せ、頭を両手で覆い――――。 ◆◆◆ 「う、うわああ、な、何だ、おい!?」 長谷川泰三が叫ぶ。 良樹がいる場所からはかなり離れた、島の反対側に存在する島役場跡。 放送直後に激しい揺れが襲い、老朽化した建物が悲鳴を上げる。 棚が倒れ、窓ガラスが砕け、天井から埃や天井板の破片、蛍光灯が落下する。 「な、何だこれ、デカいぞ!?」 「う、上杉さ、い、嫌だ、建物、崩れっ……!」 思わず猫耳娘の中崎美奈が妖狼の上杉憲顕に抱き付いてしまう。 しかし身体に押し付けられる柔らかな乳房の感触に浸る余裕は憲顕には無かった。 「……っ!」 伊東鴨太郎は適当な板切れで頭を保護しながら、 この揺れがただの地震では無い事を勘で悟った。 ◆◆◆ 「っ…何だ…この揺れは!?」 市街地の一角、刻命裕也は建物の近くを避け、比較的落下物の少ない、 道路の中央で身体を伏せ揺れに耐えていた。 「ここまで生き残って、地震で死ぬのは御免だ…!」 瓦礫が地面に落下する音やガラスが砕ける音を耳にしながら、 刻命は忌々しげにそう言った。 その時。 まばゆい光が、空から降り注いだ。 「!?」 その光は、瞬く間に刻命の視界一杯に広がる。 いや、島全体を包み込む、と言った方が正しい。 そして。 「何だ、一体、うっ、あ、うわあああああああああああああ―――――!!!!」 ……… ……… 「…ん」 まず目を覚ましたのは良樹だった。 頭を擦りながら、立ち上がり周囲の様子を見る。 「…? ?」 まず、今いるのは先程までいたはずの沼の畔では無い。 薄暗い蛍光灯が点滅する、広い部屋の中。 窓はあるのだが、異常な程真っ暗で何も見えない。 床は木製で、非常に古びた感じがしている。 首元の違和感が無くなっている事に気付く。触れて見ると、はめられていたはずの首輪が無かった。 「…! 人…」 更に、自分の他にも人がいた。いや、人では無く動物もいたが。 「うう…ここは…?」 二人目の覚醒者は伊東鴨太郎。 そして長谷川泰三、上杉憲顕、中崎美奈、刻命裕也と続く。 「あ、あんたら…一体…」 「…僕は伊東鴨太郎だ」 「俺は、長谷川泰三」 「私は中崎美奈です」 「…刻命裕也だ」 この時、泰三と美奈が刻命に対して何の反応もしなかったのは、 先刻の襲撃者の姿を――刻命の姿を良く見ていなかったためである。 (? この二人…俺の事を良く見て無かったのか? …まあいい) 刻命はしばらく黙っておく事にした。 「お、俺は岸沼良樹…あんたらも、あの殺し合いの参加者、だよな? 名簿に名前書いてあった」 「ああ…ん? 岸沼…君が岸沼君か」 「? 知ってんのか、俺の事…?」 「ああ…」 伊東は篠原世以子と中嶋直美の事を良樹に話した。 「…そうか……ありがとう……」 良樹は、何かに耐えるように口を噛み締めると、それだけ伊東に言った。 「…ここは、どこなんだ? …? 首輪が無い?」 「うおっ…(犬? いや狼か…喋ったぞ)」 人語を操る狼――上杉憲顕に良樹が驚く。 憲顕の言葉に既に気付いていた良樹を除く全員が自分の首に手を触れ、 爆弾付きの首輪が無い事に気付いた。 部屋には鉄製の大扉と、木製の大扉、そして外が真っ暗で見えない窓がある。 突然、木製大扉がギイイ、と軋んだ音を立てて開いた。 その場にいた六人が驚き、その扉の方向を注視する。 扉の奥は真っ暗闇の空間だったが、一人の男が現れた。 「…ここまで生き残った六人の方、おめでとうございます」 現れるなり、その男はそう言った。 その言葉の意味するもの――この男はこの殺し合いの運営に携わる人物、だと言う事。 「…あんたがこの殺し合いの主催者なのか!?」 良樹が前に出て怒気の籠った口調で男――比叡憲武こと◆ymCx/I3enUに尋ねた。 「…まあ、そう、ですね。俺は比叡憲武です」 ◆ymCx/I3enUは否定はしなかったが、どこか含みのある言い回しだった。 「…てめえ…てめえのせいで、篠崎も、篠原も、中嶋もっ―――!!」 怒りに燃える良樹が◆ymCx/I3enuに殴りかかろうとするが、 傍にいた憲顕と泰三に制止された。 「放せよ! 放せったら!!」 「落ち着けよ! その…気持ちは分かるけど、下手に手を出さない方が良い!」 「そうだ、何をされるか分からない」 「くっ……!」 二人の説得で、良樹はどうにか怒りを鎮めた。 「…一体、何の真似だ? 比叡憲武。首輪が外されているようだが…?」 伊東が◆ymCx/I3enUに問う。 「…まず、この殺し合いの目的から話させて頂きます。 この殺し合いは、死者の魂を、ある場所に送るためのものです。 ある方の頼みで……どんな方かは言えませんけどね。 それで………残り6人となった今、俺はふと、考えたんですよ…このまま普通に、優勝ENDにするのは、 少し面白く無いと……」 ゆっくりと、しかし分かり易く、◆ymCx/I3enUは述べた。 6人の表情はそれぞれだ。理不尽な理由だと怒りの顔をする良樹と美奈、 驚く泰三、平静な様子の伊東、何やら面白げな刻命。 そして、◆ymCx/I3enUは続ける。 「…あなた達全員に、生還するチャンスを与えようと思いましてね。 ほら…あなた方の後ろに鉄の大扉が見えるでしょう?」 ◆ymCx/I3enUの指差す先には重厚な作りに見える鉄製の大扉。 よく見るとノブや取っ手らしき物が見当たらない。 「その先は一本道です。少し長くて、ちょっとした障害物競争みたいになってますけど、 ずっと行った奥から帰る事が出来ますよ……急いで逃げて下さいね」 「……?」 泰三は、◆ymCx/I3enUの背後に何か大きな影が動いたのを見た。 それが、鉄槌を持った、大男だと気付いた時、その大男は、鉄槌を両手で大きく振り被っていた。 「でないと、俺みたいになりますから。それじゃ、よーい」 グシャッ!! スタートの合図は、◆ymCx/I3enUの頭部がスイカ割りの時のスイカの如く、 見事に破裂した音によって出された。 鉄製の大扉が開き、死の鬼ごっこの始まりを告げる。 「……ぁ、きゃああああああぁぁあああ!!?」 「う、うわあああああっ」 悲鳴を上げる美奈、うろたえる泰三。 「ヴヴヴヴヴヴヴヴヴ」 鉄槌の男――柳堀ヨシカズは、血と脳漿で汚れた鉄槌を持ち、 次の目標を6人に定める。 「…走れ!!」 伊東が叫んだ。所持していた武器は全て没収され丸腰の状態になっている。 ◆ymCx/I3enUの話がどこまで信憑性があるのかは疑問だったが、 今は逃げるしか無い。 鉄扉の向こうに、まず泰三、次の刻命、次に憲顕が進む。 だが、美奈は――――。 「中崎さん! 早くこっちに!!」 「あ…あ、駄目…腰が砕け、て」 目の前で頭部を破壊され人が殺される光景を目の当たりにし、美奈は完全に竦み、 腰が抜けて立ち上がれなくなってしまっていた。 「ヴアアアアア!!!」 「い、嫌ああああああ、アガッ!!!」 美奈の脳天を、鉄槌の一撃が襲う。 「ァ゛、あ、ア、%#$”$%&*――――――!!!?」 もはや、悲鳴と言うより音だった。 何度も何度も、まるで鰹の叩きを作る時のとうに、ヨシカズは美奈の肉体を鉄槌で殴り付けた。 グシャッ、ボキッ、と、壮絶な音が響く。 「く、くそっ……!」 美奈を救えなかった事を嘆きながら、伊東は先の三人に続き、逃走路に入った。 「アアアアアアアアアアアアアアアア」 叫び声を上げながら、ヨシカズが追跡を開始する。 殺し合いそのものは終わったが、最後の試練が生存者達を襲う。 &color(red){【比叡憲武(◆ymCx/I3enU)@???  死亡】} &color(red){【中崎美奈@オリキャラ・女  死亡】} &color(gold){【柳堀ヨシカズ@コープスパーティーBCRF  追跡開始】} &color(gold){【上杉憲顕@オリキャラ・男】} &color(gold){【岸沼良樹@コープスパーティーBCRF】} &color(gold){【刻命裕也@コープスパーティーBCRF】} &color(gold){【伊東鴨太郎@銀魂】} &color(gold){【長谷川泰三@銀魂】} &color(gold){【以上5人  脱出開始】} |[[俺得ロワ4th第二回放送――そして]]|時系列順|[[光の向こうへ]]| |[[俺得ロワ4th第二回放送――そして]]|投下順|[[光の向こうへ]]| |[[虚空の深い吐息]]|岸沼良樹|[[光の向こうへ]]| |[[いっそ朽ちた箱舟に]]|上杉憲顕|[[光の向こうへ]]| |[[いっそ朽ちた箱舟に]]|伊東鴨太郎|[[光の向こうへ]]| |[[いっそ朽ちた箱舟に]]|長谷川泰三|[[光の向こうへ]]| |[[いっそ朽ちた箱舟に]]|中崎美奈|&color(red){死亡}| |[[導かれしバカたち]]|刻命裕也|[[光の向こうへ]]| |[[俺得ロワ4th第一回放送]]|比叡憲武(◆ymCx/I3enU)|&color(red){死亡}|

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